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清流劇場「The Cradle」「SALT」&MONO『赤い薬』

2/27(土)
目がかゆい。晩春から花粉症が発症するのが自分だったのに、もう反応しているのか。
目薬を差しながら森小路を行く。駅前の工事。今年度末は特に工事が多いように思う。
ラーメン店が多い街。前はお好み屋が多い印象があったのは、乾さんと食べたことを思い出すからか。大阪市立芸術創造館。僧侶姿の男性がいる。

清流劇場。誰の紹介かと聞かれ、思わず「田中君」というと、となりで、田中孝弥さんが笑っている。そんなに親しい友達でもないのに、どうして「君」って言ってしまったのだろう、すこし恥ずかしい。
このチラシはバイリンガルで書かれていることもあって、ちょっとよく分からなかった。
分からないまま、13時から60分強のインターナショナルステージ「The Cradle」(作:田中孝弥、演出:ザシャ・ベルナー)を見る。英語と日本が混じりあい、字幕が出たり出なかったり。そのうち、ちょっとドイツ語、あとポルトガルかスペイン語など。

テーマは「移民やアイデンティティー、そして文化の壁についての物語」と田中さん。
つまりは、人間たちがかってに作った国境という壁を越えることをめぐる苦痛、軋轢。エピソードな断片の積み重ね。ギターの歌あり。客席との絡みがけっこうある。前でなくてよかったが、目が痛いので、字幕がよく見えない。

廊下にいったん出て今度は、日本語(全リンダさんだけコリアン語が混じる:観客の一部に受けていたのが印象的)のお芝居。でも、テーマはやっぱり、国境と格差、支配と奴隷、そして、健康と差別のミュージカル(これをミュージカルとぼくは思っていて、これがミュージカルだと他の人も思ってもらえれば、ぼくはミュージカル好きである:ちょっとかってな論理構成だけど、さ)。90分。

『SALT』作・演出:田中孝弥。この前、河童えびセンを持ち帰って来てビールとともに食べていると、妻がとても塩についてチェックが厳しく、すぐにこれは妻に見せねばと思う。
そして、この肝っ玉かあさんや寿歌(ほぎうた)を参照(オマージュ)して鑑賞し楽しみまくったステージはちょうど帰ってきた次女に見せたいと思う。

哀しいとか思うシーンもあるが、いい加減すぎる宣教師でガンジーもどきなイシダトーショウさんがまあ、とてもいい味で(ひょっとしたら、もともとは外国人がやる役柄で実際、台詞を入れる余裕がなかったのかも知れないが)、いやあ、こういうの大好きなのだ、芝居づくりの裏側見せをしつつ(自己批評的)、でも、きちんと前向きにマーチするお芝居!ヤッホーという気持ちになってから、目のかゆみもふっとぶ。

前の席で下手側だったので、英語の字幕はちょっとしか見なかった(上手に座ればまだ見られたが)が、どうも、シーンの説明をしているもので、外国人には鑑賞の手助けになるかも。音楽と演奏:仙波宏文さん。魔瑠さんから、うるさい、とか言われるのも、おかし。13時からのお芝居をぼくの横で見ていた。

時間調整に横浜とんこつラーメン、キャベツいっぱい。ちゃんと薄味にするが、けっこう味がついている。ご飯無料だが、700円。

ヘップホールは、MONO第37回公演『赤い薬』作・演出:土田英生。彼もずっと出ているのは、再演だからだろうか。最近の終わり方とはずいぶん違うなあと思ったりする(この一抹の寂しさもまたいまの時代を映しているのかも知れないが)。「-初恋」や「きゅうりの味」の頃の作品。いささか、スリラーテイストだが「こどもの一生」的な展開ではなく、日常が少しずつ狂って行く世界。MONOのお芝居にゲームは定番。

客演は、ワンダリングパーティ(あごうさんが客席におられた)の山本麻貴(少しハスキーな声が今回はとてもいい味、しっかりしているなあ、看護士さんって、とふと、18歳のとき入院していた頃を思い出す)。

昨日に読んだ、佐藤優(まさる)『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社、2005)のことをちょっとだけ。お正月の拘置所の料理とかも興味深かったが、やっぱり、外務省における派閥が習得する語学別であること、外務省内部の潮流(2000年以前)の分類など外交関係にことを知らないのでずいぶん勉強になる。つまり、狭義の「新米主義」、第2が「アジア主義」、そして、佐藤さんたちロシアスクールたちとの関係が深そうな「地政学論」という第3の潮流があると佐藤さん。

最後の「地政学論」というのは(p58)、「日本、アメリカ、中国、ロシアの四大国によるパワーゲームの時代が始まったのであり、この中で、最も距離のある日本とロシアの関係を近づけることが、日本にとってもロシアにとっても、そして地域全体にとってもプラスになる」という考え方。

どうして鈴木宗男さんが逮捕されたのか、という分析は以下のもの。P292~3にかけて。
「・・現在の日本では、内政におけるケインズ型公平配分路線からハイエク型傾斜配分路線への転換、外交における地政学的国際協調主義から排外主義的ナショナリズムへの転換という二つの線で「時代のけじめ」をつける必要があり、その線が交差するところに鈴木宗男氏がいるので、どうも国策捜査の対象になったのではいかという構図が見えてきた。」

今日読んだのは、窪田順生『死体の経済学』(小学館、2009)。エンバーミングとそれに準じた防腐手法などのニュービジネスがとりわけ興味深い。
by kogure613 | 2010-02-27 23:18 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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