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カレル・ヴァン・ウォルフレン『日本政治再生を巡る権力闘争の謎』

日本政治再生を巡る権力闘争の謎(その1~その3)=カレル・ヴァン・ウォルフレン
2010年3月19日 中央公論
よみごたえがあった。下線は小暮

その2
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20100319-02-0501.html より、一部引用

小沢の価値
・・・・山県有朋以降、連綿と受け継がれてきた伝統を打破し、政治的な舵取りを掌握した真の政権を打ち立てるチャンスをもたらしたのは、小沢の功績なのである。小沢がいなかったら、一九九三年の政治変革は起きなかっただろう。あれは彼が始めたことだ。小沢の存在なくして、信頼に足る野党民主党は誕生し得なかっただろう。そして昨年八月の衆議院選挙で、民主党が圧勝することはおろか、過半数を得ることもできなかったに違いない。
 
 小沢は今日の国際社会において、もっとも卓越した手腕を持つ政治家のひとりであることは疑いない。ヨーロッパには彼に比肩し得るような政権リーダーは存在しない。政治的手腕において、そして権力というダイナミクスをよく理解しているという点で、アメリカのオバマ大統領は小沢には及ばない。

・・・・

 もし非公式な権力システムの流儀に影響されて、民主党の結束が失われでもすれば、その後の展開が日本にとって望ましいものだとは到底思えない。第二次世界大戦前に存在していたような二大政党制は実現しそうにない。自民党は分裂しつつある。小さな政党が将来、選挙戦で争い合うことだろうが、確固たる民主党という存在がなければ、さまざまな連立政権があらわれては消えていく、というあわただしい変化を繰り返すだけのことになる。すると官僚たちの権力はさらに強化され、恐らくは自民党政権下で存在していたものよりもっとたちの悪い行政支配という、よどんだ状況が現出することになろう。

・・・・

 いま我々が日本で目撃しつつあり、今後も続くであろうこととは、まさに権力闘争である。これは真の改革を望む政治家たちと、旧態依然とした体制こそ神聖なものであると信じるキャリア官僚たちとの戦いである。しかしキャリア官僚たちの権力など、ひとたび新聞の論説委員やテレビに登場する評論家たちが、いま日本の目の前に開かれた素晴らしい政治の可能性に対して好意を示すや否や、氷や雪のようにたちまち溶けてなくなってしまう。世の中のことに関心がある人間ならば、そして多少なりとも日本に対して愛国心のある日本人であるならば、新しい可能性に関心を向けることは、さほど難しいことではあるまい。
 
訳◎井上 実

by kogure613 | 2010-05-04 11:50 | 研究テーマ・調査資料 | Trackback | Comments(0)

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