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不在の他者とつながる表現&こまっちゃクレズマ

不在の他者とつながる表現&こまっちゃクレズマ_a0034066_1217830.jpg朝、お年始としていつもいただいている橙色のカンバセーション手拭いと格闘。芳江がいなかったが、無事頭に巻けるようにお裁縫完了。酒断って6日目。磔磔でもトマトジュースを頼む。何とうまいことか。外出中、口にしたのはこれのみ。ただ、昼あわてて出かけるとき、干し柿(カビがぽつぽつ)4つにメロン(危うく発酵するところのもの)、残り御飯に味噌汁ぶっかけ食べて出てきたのは、スローフードとしてはずいぶん失格だったが。

不在の他者とつながる表現&こまっちゃクレズマ_a0034066_12173098.jpg大阪港駅。レンガ倉庫とは逆方向にあるくと、NPO、NGOがあつまり図書室などもあるpiaNPOがあった。6階の会議室で、シンポジウムがあるのだ。だいたいいまのシンポジウムというのは、9割ぐらいは、学会だからね、とか、何かの周年記念だからね、とか、年度末も近づき何としても科研費を使わなくちゃ、とか、そういう催しでの定番かつ安易な消化試合として催されるものである。残り1割ぐらいだけが、どうしても開きたい、聴きたいシンポジウムなのだが、今日のは、嬉しいことに、後者のシンポジウムだった。

不在の他者とつながる表現~造形作家・井上廣子の仕事を起点に』。昨日にアーティストトークが大阪市立中央図書館であったという。美術とは無縁の人が、場所柄ふらりとのぞいてくれたそうだ。今日は、美術関係の人やフェミニズム関係の人が多い感じ。お父さんがされていた『内科画廊』を今に伝える活動をしている宮田有香さん(『あいだ』でよく知っていたが、帰ってからこぐれ日録を振り返って、どうして彼女がぼくと自森を結び付けることが出来たのかがわかった)から挨拶を受ける。自由の森学園出身なのです(池田宏子さんと同期だという)。

まず、原久子さんと小勝禮子さん(栃木県立美術館特別研究員)の話があり、原さんの南芦屋浜震災復興住宅のコミュニティ&アート計画の映像は懐かしかった。小勝さんについては、ずっと中西美穂さんの活動などで気にしていたので、ご本人に会えて嬉しかった。北欧の女性の感じがなぜかした。関西にはいない感じの穏やかな話口で、美術館/学芸員が出来てアートセンターでは出来ないことについての説明が実に的確だと思った。守旧派と思われるかも知れません、と謙遜されていたが、いままさに、美術館の基本に戻るべきだと納得する。基本はコレクションの形成、それを通じて、芸術を歴史化する機能。過去の美術を原題につなぐという使命がある、そのときに歴史の問いなおしが必要である。

「ものを創る人の歴史、ものを視る人の歴史」として美術史を捉えなおすという言葉が一番印象的。美術史の継続的研究こそ、学芸員に期待させることなのである、地味かも知れないが、戦前から戦後にかけての日本の女性画家の展覧会など、実にすごいものだろうと想像する。夏休みの「前衛の女性」展は栃木に見に行きたいとまじに思う。

井上廣子さんの話とスライドは、思うことがいっぱいで書き切れない。眼を閉じた少年たちの写真。白いベッドが半分切断されている。繭が白い。閉じこもっている繭のなかの幼虫。抜け殻の温かさがまだかすかに残っているようなシーツ。かつて在ったものが無いということ。忘却のなかの無在。出会えない過去の他者への想起。いま出来ることとは。「出来る」。つまり、窓から外に出て来るために。来るものは果たして不在の他者か。不在に気づくこと。不在の他者とは。在ってはならないという否定としての否在の他者。否在の他者を眼差せるのか。

無在、不在、否在。精神病院の窓、チェコにあるテレジン収容所の窓。内側から見る。突き刺さる気配。孫を抱き泣いている老女の声。同じ窓を外側から見る。窓を双方から見るということに込められている感情と意味・・苦渋、鎮魂、懐疑、愛惜、怒り・・を、考えていくのだと思う。説明文では伝えられないから表現があるのだということで、今回はこの辺に。
ただ、ウィーンに明日経つという井上廣子さんが、日本での少年院と向き合うプロジェクトを可能にするにはどうしたらいいかとずっと思っていた。


不在の他者とつながる表現&こまっちゃクレズマ_a0034066_12175262.jpg17時になっても続いていたが、あわてて磔磔へ。こまっちゃクレズマ。6人編成のこのグループには、西陣北座とかで幾度か遭遇したが、きちんとこうして聞くと、やっぱり「すごいや」の一言。ビールを飲まないこともあり、最後まできちんと聞けるし、感動も沁みる。こんなにしみじみと音が重なる出だしとは思いがけず、2曲目からはリズム(ドラムはいぶし銀のような荒井田耕造)ももちろんびしっと決まるのだが、ずいぶんと優しいジプシーやクレズマーでありトルコ風だなあと聞いている。日本的(だと考えていた)ものがどんどんユーラシアの広がりに溶け込む感じがする。

アコーディオンの張(チャン)紅陽さんの演奏振りがどんどん大きく愉快になっていく。アコーディオンやバイオリン(新井亜由美)はどうしても脇役になるが、ここでは6名という少人数のために見せ場をうまくリーダーの梅津和時さんが作っている。梅津さんはここでは6割ぐらいクラリネット。踊ったり、客席をぐるぐる旋回するあたり、ほんとにかわいくショーマンシップいっぱいの梅津さんである。秋、ロシアのクレズマー祭みたいなものに招待を受けたそうだが、旅費はこちらで工面する必要があるのだという。

かすみさん(華乃家一座、フレイレフ・ジャンボリー)が同じサックスの多田葉子さんと挨拶している。多田さんもチンドンやっているのかも知れない。関島岳郎さんが終わってから2/12のCOCON烏丸でのことを話す。はなも一つ面白い曲(「かくれんぼしましょう」)完成しましたよと言ったら、はなちゃんに送って欲しいと言っているところだと言う。1/27(off note 3daysのなかび)に間に合うといいな。

なお、2/9(水)にここ磔磔で京都橘女子大学の軽音クラブが演奏するという。残念ながら山科区役所のリサイクルアートの審査で行けないけれど。
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by kogure613 | 2005-01-09 23:56 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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