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佐々木隆治『私たちはなぜ働くのか―マルクスと考える資本と労働の経済学』 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

2016/7/31(日)
ブルーレイを買っていたので、鑑賞する。
同じ年代の主人公なので、ちょっとつらいかなと初め思ったが、それよりも、ブロードウェイのストレートプレイがかなり煩い感じなので、そこが一番つらい部分。でも、それなりにアメリカの劇場と演劇、その評論家という面とか興味深いものも結構あった。

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』2014年、119分。
マイケル・キートン
ザック・ガリフィアナキス
エドワード・ノートン
エマ・ストーン
エイミー・ライアン
ナオミ・ワッツ
<リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は落ち目のハリウッド俳優である。かつては『バードマン』という3本のブロックバスター映画(英語版)で主役のスーパーヒーロー、バードマンを演じ数十億ドルの興行収入を稼ぐほどのスター俳優だったが、それ以降ヒットに恵まれず、20年以上が経過していた。60代となり、家庭でも失敗したリーガンは『かつてバードマンを演じた俳優』として惨めな生活を送っていた。
単なる落ちぶれたアクション俳優ではなく、アーティストとしての自分に存在意義を見いだそうと自暴自棄になったリーガンは、ブロードウェイ進出という無謀な決断をする。
かつて俳優になることを決意したきっかけでもあるレイモンド・カーヴァーの短編小説『愛について語るときに我々の語ること』を舞台向けに脚色し、自ら演出と主演を務めることにしたのだ。
プロダクションは親友の弁護士のジェイクが担当し、共演者にはリーガンの恋人であるローラ、初めてブロードウェイの劇に出演するレスリーが選ばれた。また、自分の娘で、薬物依存症から回復したばかりのサムをアシスタントとして加え、本公演前のプレビュー公演は目前にせまっていた。>

初期のゴダール映画のオマージュ的な出だしとか、長回し的シームレス(カットという概念はこういう映画の場合はなくなるのだなあ)とか、指摘があるように、それも見どころ。


いまの大学院生(自分と同じぐらいの年齢)が、幸福論をテーマにしていて、その一つに労働における幸福とはという発表をしていたこともあって、前に買っておいた、マルクスの資本論のなかの賃労働を分かりやすく解説していた本を読む。柄谷行人さんの影響がある自分としては、特に、アソシエーションについても、また考えようと思った。

佐々木隆治『私たちはなぜ働くのか―マルクスと考える資本と労働の経済学』(2012年、旬報社)
<生活のために、会社に雇われ、働くのは本当に当然のことなのだろうか? なぜ私たちは過酷な労働を自ら進んで行おうとするのか、それを可能にしているものはなんなのかを、ラディカルに問い直す。>
p178~
「現存の資本主義社会のもので、できるかぎり物象の力を弱め、労働の自由を実現」するために
1)労働時間を短縮する・・・自由時間の創造・・・資本への直接的従属からの解放、物象の論理に包摂されないための第一歩
2)生産の私的性格を弱める・・・アソシエイトした諸個人による共同的労働へと置き換える・・・教育や医療、介護などの社会的基礎サービスの無償化は生活における物象化への依存度を減少させ、物象の力を弱める
3)労働者の生産手段にたいする従属的な関わりを変える・・・労働組合による経営権への関与、公教育における技術・職業教育の充実、自然環境破壊に対する規制、環境税。
・・・・
「資本」(もちろん経済資本、「自己増殖する価値のこと」)に対する「文化資本」。これを経済資本のアナロジーで語るとどうなるのか。つまり、自己増殖する文化価値としての「文化資本」。


by kogure613 | 2016-07-31 21:22 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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