遊劇体#60『ふたりの蜜月』アトリエ劇研

2017/7/17(月)

先週、ゼミ生たちが今日も授業にしてくれたらよかったのにって言っていたが、個人的には、このとてつもなく熱度の高いお芝居の再演にしてアトリエ劇研という芸術場の成果を示すに相応しい作品をなんだかよくしらない祝日だけれど、ちゃんと優雅に観られて本当によかったと思う。

それに、学生たちも祇園祭も見ようと思ったら見られたじゃないか・・・

遊劇体#60『ふたりの蜜月』アトリエ劇研、11001233

大阪府の架空の町ツダ。熊取町などがモデルか。

神社の名前が小林神社。高校生の時に、清純な巫女に選ばれたサトコが、山姥のようになる(都市伝説的に)というわけだが、ヤマンバってガングロをより濃厚にしたものという時代っていつだっけ。1998から2000年ぐらいがヤマンバギャルと言う。「木綿のハンカチーフ」(太田裕美、1975年)を知っているマサコ(今回の再演では、桃園会の森川万里さんが、実に楽しく、最後の方はちょっぴり寂しく演じてはった)は、懐メロ感覚なのだろうし、リバイバルがあったのかも。

当日パンフで作・演出のキタモトマサヤさんが9つの場面の時と場所をわかりやすく書いてはって、実にグッジョブ(とは言え、ミステリーエンタメの要素もあるので、無理心中がひょっとしたら犯罪も絡んでいるかも?とかツネイチの左手の労災的事故もそう見せかけたものだったかも?とか推理しうる余地も残している)。

1場(姉妹の旧家、玄関近くの座敷。無理心中の発見と姉妹の争い)を20006月と仮定すると、

2場(小林神社の境内)は、1997年の夏あたりか。同級生4名。巫女に選ばれたサトコ。ヒナコが嘘泣き。マサコとタカシはラブラブ。

3場(登山口、仙人になる修行をしているようなヨシキが登場する場所)1999年、季節はちょっと忘れたが夏?短大生になったヒナコがヨシキに挨拶、興味を持つ。

4場(姉妹の家2)。2000年の春。ヒナコが就職の話をしている。第4場から第7場までは、時系列通りで、春から夏へゆっくりと流れる形。

5場(神社2)。サトコが里帰りしていたマサコを境内に呼んで製材所の苦境を話す。お父さんは町会議員もしているが次は不出馬。突然の大雨。走り梅雨か。会話劇をすこし逸脱する狂気がサトコに。しかし、狂気的だが、そういうこともあるかというギリギリなリアル維持。マサコの方も風が強いからだろうが、神社のカネの紐にぶら下がって鳴らしまくっている。

6場(登山口2)。ヨシキに今度はサトコが挨拶。そして父の代わりに選挙にでくれないかという。自然環境保護政策をするために。サトコは高校時代からヨシキに惹かれていた。それは、ヨシキが、頭がとてもいいとか土建会社を立ち直しつつあるということもあるが、同じく、神に満ちた自然との交流を希求するという同じ志向を感じるからだ。しかし、選挙、政治と自然への共鳴とは真逆でもある。その矛盾をつかれると奇妙な考えということになってしまう。

7場(姉妹の家3)。ヒナコにヨシキに言ったことを指摘されてカッとなるサトコ。姉妹の憎悪、性格の違いもあるし、長女とたまたまなってしまったことによる重圧も原因している。2000年ももう夏になっているのだろう。

8場(盆踊りの夜)。2001年夏、マサコとタカシ。タカシは2000年の正月以来、ツダには帰ってこなかった。完全に木綿のハンカチーフ状態になっている。ヤマンバになったサトコの噂。そして、ヒナコも東京に行ったらしいが行方知らず。

9場(山上りシーン)。20007月ぐらい。ちょうどいまの季節か。サトコの後ろをヒナコ。登山のための階段があるのか、あるいは、上りの山道か。すぐにヒナコは疲れて、おんぶしてもらう。長い時間の経過。サトコの顔の歪み、鬼、いや山姥のように。でも、ふっと魂が抜け出るときのような顔のようにも見える。サトコはもう足がなくなったみたいと言っている。

サトコの言葉はこれは会話劇を完全に越える、女の産む性としての永遠の命。ミトコンドリア・イブにも通じるが、次女ならあなたが最初だとかちょっと独自解釈もあってこちらも気持ちがすーっとしていく。

20156月、アトリエ劇研にて初演され、2016年、第23OMS戯曲賞最終選考に選出された作品。アトリエ劇研のために書かれ、演じられた作品で、アトリエ劇研のラストシーズンを飾ります。大阪府南部の山あいの架空の土地ツダを舞台としたシリーズの再演。

かつては、私たち日本人の生活にも根ざしていた神という存在、死を意識しての日常、それらがそこにある土地ツダ。

林業に従事する旧家に生まれた双子の姉妹、ふたりは成長とともに反発しあい、憎しみでしか交われないようになる。高度経済成長のなかで零落する山村の旧家、瓦解の果てにふたりが辿る聖と俗の混沌する道なき途。

死を突き抜けたところに幽かな光が射す、鬼となり、神となり、山と一体になり、新たな伝説を創出する、そういうモノガタリ。

いつもどおり、独自の泉州方言で、何もない正方形の舞台で。>

作・演出|キタモトマサヤ

出演|サトコ:大熊ねこ ツネイチ:坂本正巳 ヨシキ:村尾オサム タカシ:松本信一 ヒナコ:久保田智美  マサコ:森川万里(桃園会)

(参考)

遊劇体#57『ふたりの蜜月』アトリエ劇研

http://kogure.exblog.jp/21362669/(2015 06 19)より

http://gekken.net/atelier/lineup/pg246.html『闇光る』から始まり、『残酷の一夜』、『エディアカラの楽園』、『花も咲かないで』、『往生安楽国』へと連なる、大阪府南部の山あいの架空の町ツダを舞台としたシリーズ、2年振りとなる新作書き下ろし。>

大熊ねこ(サトコ:二卵性双子の姉:町会議員になっている父の製材所を若くして経営)、久保田智美(ヒナコ:双子の妹、姉と違い短大を出てアルバイト)、坂本正巳(ツネイチ:製材所社員、左手切断)、村尾オサム(ヨシキ:土建会社社員、山で修行)、鶴丸絵梨(マサコ、双子の同級生、大阪の大学へ)、松本信一(タカシ:一浪して東京の医学部へ。マサコと高校生時はラブラブだった)


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by kogure613 | 2017-07-17 16:09 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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