エイチエムピー・シアターカンパニー『アラビアの夜』インディペンデントシアターファースト サファリ・P『悪童日記』アトリエ劇研
2017年 03月 20日
2017/3/20(月、春分の日)
幸せすぎる舞台鑑賞至福の日。
まずは、11時すぎから、エイチエムピー・シアターカンパニー『アラビアの夜』アラビアチーム、インディペンデントシアターファースト。
この劇団の『アラビアの夜』は、数回観て内容はほぼ頭に入っているのに、とても新鮮。どんどんその素晴らしさが分かってくる(イロリムラではその良さの1/3も分からなかったな)。
演出ってどんなにすごいのかということを否が応でもわからされてしまう。もちろん5名の若々しい役者さんの魅力と努力もあって。最初に笑いのシーン(買い物袋を役者がするっていうのは実に面白い)が連続してあって、そのあとは結構ダークでもあるのだが、身振りのミニマムさとか立ち位置の工夫などで、古いアパートの玄関やバルコニー、廊下、そして壊れかけのエレベーターまで想像させてしまう。
舞台上には何もない。いや、アクティングスペースの周囲に黒いゴムがある。これはHMPでは使われることが前にもあった。今回は、空想などに囚われているという暗示だったようだ。時間の長さが伸びたりするのも面白い。戯曲がそれぞれの人のつぶやきから構成されていて、同時会話ではないので、結構役者さんは覚えるのが大変だったそうだ。
エイチエムピー・シアターカンパニーさんはすごいのだが、唯一の欠点wは、劇団名が長い。省略ってあるんかなあ。エイチ団?まあHMPとすればいいがこれも打ちづらい。エイシア?。まあ、インディペンデントシアターファーストも長い。これも略があるんかなあ?インディ1とか言っているのか? 関係者教えて欲しいなあ。
エイチエムピー・シアターカンパニー 同時代の海外戯曲Ⅲ『アラビアの夜』
作:ローラント・シンメルプフェニヒ 演出・舞台美術:笠井友仁 翻訳:大塚直 ドラマトゥルク:くるみざわしん(光の領地)
<2014年度に演出・笠井友仁が文化庁芸術祭新人賞を受賞した「アラビアの夜」。今回、新キャストで新たに「アラビアの夜」を上演!現実とファンタジーが入り混じる「語りの演劇」をぜひお楽しみください。
夏の夜、ある高層マンションの8階でフランツィスカはシャワーを浴びていた。
彼女に記憶はない。現在の生活も、どうして友達のファティマとこのマンションに越してきたのかも思い出せない。シャワーを浴び、日が沈むと同時にソファで深い眠りに落ちる彼女の元を3人の男が訪れる
― 向いのマンションに住むカルパチ、ファティマの恋人カリル、そしてマンションの管理人ローマイアー。
何気ない現実的な世界に、象徴的なイスラムの幻想空間が入り込む。 ファンタジーとリアルの境界が融解する。>
☆…アラビアチーム
フランツィスカ ― 原由恵
ファティマ ― 水谷有希
カルパチ ― 高橋紘介
カリル ― 藤田和広
ローマイアー ― 澤田誠
アトリエ劇研でする観劇の開始時刻、16時までをどう過ごそうかと思って、下鴨神社でのんびり。座るところがあって読書。水で占い文字が浮かび上がる水みくじを外国旅行者などがやっていて、こういうのは前からあったのかしらと思う。僕はおみくじというのをいままでそういえばやったことがなかったな。
さて、サファリ・P、悪童日記である。アフタートークでピッコロの制作の方が、1994年に清水邦夫さんがシアターχで初演した(劇団木冬社)という。ああ、観ておけばよかったなと思いつつ(そういうチラシを観たうっすらとした記憶が上田さんの顔とともに思い出す)。
去年、ダンス的な舞台を観ていたのをすっかり忘れていて、あら、知っているダンサーも出ているなあと思ったら、ブレイクダンス的な動きも含めて、言葉と同じぐらい身体を使った舞台芸術だった。5つの机というか台の組み合わせ。いやあ、移動させる役者さんを含めて、とても効果的。十字架になったり、戦場の瓦礫になったり、越境する道(地雷がある)になったり。
高杉征司さんはダンサーではないのに本当によく身体が切れていて、あんな不自然な姿勢でよく支えているなあと感心したり、ダンサーなのに台詞をどうしてそんなにうまく言えるのかしらとか、褒めすぎることがまるでできないステージだった。
とは言え、自分の疲れか、靴のシーンではちょっとうとっとしてしまったけれど、そのあとは怒涛の展開。「アラビアの夜」ほど筋書きを覚えていなかったので、また、小説が読みたくなるし、三部作全部読んだはずだが、どうも1冊家にないので、揃えたくなった。
京都芸術センター制作支援事業 アトリエ劇研共催公演 / 2016年度こまばアゴラ劇場ラインナップ / シアターねこ共催公演
サファリ・P第二回公演「悪童日記」
●原作 アゴタ・クリストフ『悪童日記』(ハヤカワ文庫)堀茂樹 訳
脚色、演出 / 山口茜
出演 /高杉征司、松本成弘、日置あつし、芦谷康介、達矢
<「私たちはヒトラーと、どう違うのか」パリの文壇から敬遠され、一般読者から熱狂的に支持された、アゴタ・クリストフの代表作、「悪童日記」。最初に私が惹かれたのは「ストーリー」ではなくその「文体」でした。
感情を定義する言葉を避け、事実だけを忠実に描写した「文体」。小説では、その「文体」の行き着いた先が、自分を愛してくれた人を爆殺する、という行為だったように感じました。
というわけで、今作品は「文体」の「舞台化」を目指しています。果たして私たちはお客さんを、どこにお連れすることになるでしょうか。>