土田英生セレクションvol.4 『きゅうりの花』ABCホール、ウミ下着『すべてがダンスになる 家で篇』練、逢坂剛『スペイン灼熱の午後』
2017年 08月 11日
2017/8/11(金、海の日)
ダンスと演劇と。なんて幸せな時間だろう。
よく音楽がなければ人生はないとかいうが、実演芸術という時間とともにあるすべてのパフォーマンスが生きる価値となることは確かである。
特に、MONO的なちょっと悲しい喜劇や生活を愛おしくするライフスケールダンス。後者の生活ダンスは、砂連尾理+寺田みさこの公演でその大事さを確信し、セレノグラフィカのダンスへと自分の中では広がっていく。今日も、セレノさんお二人が私の後ろにいはったし。
ウミ下着2017『すべてがダンスになる 家で篇』お屋敷再生複合ショップ練-Len-の上がった奥のところ(多分、空き室になっていたというタイミングなんだろうな)。16時すぎから1時間ちょっと。20名弱で満員。口琴がとても効果的に。
この公演では15時半すぎに入ったところかラ3人の準備運動とおしゃべりがすでに空気を作っていた。結構、公演ともつながる話もあったので、毎回どんな話をしているのか、そこだけでも見たい気持ちあり。10のシーン。最後はその抜粋というきちんとした振付構成。「03 待合室にて」のこっそりダンスの待ち合うときが一番、外の葉の動きとの対照を感じさせる。二人は何を待ち合っていたんだろう。「06 radio」ではちょうど智弁和歌山の校歌が流れ、沖縄興南敗けたと知る。
構成・振付:中西ちさと 演出助手:福井菜月
振付・出演:内田結花、あうんともこ、中西ちさと
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辛くても楽しくても、踊りは私たちのすぐそばにある。
たとえば家。庭。道。空にも。ゴミ箱の中の紙くずにさえ。
目を閉じたら踊りがきこえてくる。目をこらすと踊りが集まっている。
見逃しがちな小さなものから、大きくてつかめないものまで。
顕微鏡と望遠鏡を交互に覗き込むようなダンスを。>
ウミ下着とは
<中西ちさと・福井菜月によるパフォーマンスグループ。 五感に訴える身体表現をモットーに掲げる。演劇的手法を用いたドキュメンタリータッチの作風が特徴。 2011年横浜ダンスコレクションコンペティションⅡ本戦出場、2012年現代美術フェスティバル混浴温泉世界参加、同年劇団衛星にダンサーとして参加。 主な作品に20代女性の孤独を描いた「あの娘の部屋に行こう」@神戸学院大学グリーンフェスティバル、東日本大震災後の関西に住む若者の日常を描いた「ふるえるくちびる」@イロリムラ89a、 身近にいる変な人との交流を通して「普通」とは何かを問うた「お嬢さんの実験室」等がある。>
逢坂剛『スペイン灼熱の午後』(集英社文庫、1987年、1984年単行本)を読みながら、ABCホールへ。もう一冊、本を持ってくればよかった。待ち時間であっという間に、逢坂冒険スペインスペクタクルを読んでしまう。スペイン人の名前がすこし分からなくなるぐらいでこんなに夢中になれるのが不思議である。
『きゅうりの花』は『京都11区』などとともに、演劇学習とともにまちおこし学習にもなるので、MONOのそれを昔は授業で使っていた。でもポジティブになるというものではないので、ちょっと不発弾的なので最近は使っていなかったが、台詞とかはよく覚えている。
今回は、土田英生さんと金替康博さんだけであとはいろいろなところからなので、やはり感じが替わって面白い。加藤啓さんという人が水沼健さんよりもより寂しげで、ああ、とその結末から逆算してしまう。
諏訪雅さんはもっと太っていると思っていた。内田淳子さんの普通の演技を久しぶりに観てやっぱりいいなと思う。千葉雅子さん。振幅が大きくて素敵。全体的に、年齢がより高くなった下川辺青年会だった。
Cucumber+三鷹市芸術文化センターPresents 土田英生セレクションvol.4 『きゅうりの花』 作・演出|土田英生。ABCホール満席。19:05~20:53。
出演|内田淳子 加藤啓(拙者ムニエル) 金替康博(MONO) 神田聖司 諏訪雅(ヨーロッパ企画) 千葉雅子(猫のホテル) 土田英生(MONO)
<《下河部町》は後継者の不在や嫁不足に悩む過疎の町。
ある日、地元に伝わる民謡をアレンジして、東京で踊ろうという話が持ち上がる。
この土地から離れられない者、この土地に馴染もうとする者、この土地に絶望している者。
様々な思いが交錯する中、イベントの日はやってきた->
<『きゅうりの花』の初演は1998年。「利賀・新緑フェスティバル」に関西の集団として初めて招聘されました。それまで関西のみで活動していたために、そのほとんどが「土田英生」や劇団(MONO)の名前も知らない観客のなかでの上演でした。公演は好評を得て、これをきっかけに、MONOは東京をはじめ、全国複数個所での公演を定期的に行うこととなります。その後、同年の12月に上演した『その鉄塔に男たちはいるという』で、第6回OMS戯曲賞大賞を受賞。翌年には東京国際舞台芸術フェスティバル(現F/T)に招聘されました。『きゅうりの花』は土田の今につながる作風を確立させた作品です。※その後本作は、2002年に下北沢ザ・スズナリ、他にて上演。今回は15年ぶりの再演となります。>