ケン・ローチ『わたしは、ダニエル・ブレイク』 Z system『キラメキ~私はトビウオ、あなたは太陽』神戸三宮シアター・エートー 柏木ハルコ『健康で文化的な最低限度の生活』

2017/4/5(水)

今日は神戸行き。

夜は、新しい関西の小劇場を楽しみ、なかなかに便利でいい小屋だと思って嬉しくなった。補助席(壁についていてびっくり)入れると100席。入れないと77席。利用料金は高めだけれど、客としては見やすくてナイス。

神戸三宮シアター・エートー。駅の北東。居酒屋などがある庶民的なところでほんとに5分ぐらいで到着。親子連れなどがいて客層の違いにも驚く。

Z system『キラメキ~私はトビウオ、あなたは太陽』作:オカモト國ヒコ、演出:中川浩三。103分ぐらいだったろうか。ほとんど水着での演技。それだけでめちゃめちゃ感動するが、内容もとびっきりのエンタメ。これには泣くしかない展開だった。

中村なる美、掛江つばさ(劇団赤鬼)、増田佳世佐藤美月(劇団そとばこまち) 小林愛実森下りお(Z system ) 中原愛松井悠理

買っておいた漫画を読む。たまたまそのあと見る映画とどんぴしゃでつながる。

主人公は生活保護のケースワーカーさんで、映画の方は英国の貧困者政策の冷たさをもろにかぶった1市民の方が主役だけど。

柏木ハルコ『健康で文化的な最低限度の生活』14巻。医者の父親に受けた性的虐待(父親は否定しているが)による若者の姿が特に心痛める。

『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて、2014年第18号から連載中。単行本は20168月現在、既刊4巻(小学館)。第5巻は今年5/30の発売のようだ。

<柏木は、この漫画では生活保護の不正受給といった生活保護問題にも取り組んでいくが、高校生のアルバイト代の未申告(あらすじで後述)など、必ずしも明確に悪意があるケースばかりではない。そのようなケースを描くことで、偏見をなくしていけるかもしれない。考え方や価値観を押し付けるのではなく、「問いかけを投げかけるような作品」にしたい。生活保護制度に対して否定的な考えを持っている方にこそ、この漫画を読んでほしい、と述べている。>

2巻の巻末「生活保護Q&A」より

<生活保護の不正受給の件数は約4万件、金額にしておよそ190億円>(平成24年度厚労省統計)

<全体(の生活保護)に占める(不正受給)の割合は、世代数ベースで約2%、金額ベースにして約0.5%で、(悪質なケースは)全国で109件>

さて、JR三ノ宮駅下車。阪急や阪神は神戸三宮駅っていうのか。シネ・リーブル神戸。3つの映画上映ができるミニシアター系の映画館だ。テアトルシネマグループはだいたいこんな感じかな。

ケン・ローチ『わたしは、ダニエル・ブレイク』2016年、100分、イギリス・フランス・ベルギー合作、配給 ロングライド。ケン・ローチ・・1936617日生まれ。80歳。

泣くことはなかったが、ひたすら心打たれる。痛いだけでないところに社会派でありつつ、人間愛に満ちた監督だとしみじみ。

壁に書くところの強さ、対照的に引きこもってしまう弱さ。

家族ではない親密圏の形成。

英国の社会保障がアメリカの会社に委託されている現状。常に電話が繋がらずに音楽が流れている強制聴衆のこと・・・あれこれ、大事なことがここにぎっしり。

映画のつなぎに短い闇。その闇にも何か強いメッセージがあるようにも思えてくる。

http://luckynow.pics/i-daniel-blake/ より引用

<実直に生きてきたダニエル・ブレイクを襲った心臓の病。理不尽で複雑に入り組んだイギリス社会保障制度が、彼の前に立ちはだかる。

前作『ジミー、野を駆ける伝説』(14)を最後に、映画界を去ったイギリス社会派の巨匠ケン・ローチが、引退を撤回してまで伝えたかったこと。それは、世界中で拡大しつつある格差や貧困にあえぐ人々の現状と、助け合うことで何かを変えられるという普遍的なメッセージ。長編映画監督デビューから50年、最もケン・ローチらしい社会派映画で堂々の2016年カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞となった。

何よりも映画にリアリティを優先させる監督が、ダニエルに選んだのは映画初出演のコメディアン、デイヴ・ジョーンズだった。建具工の父を持ち、労働者階級出身の彼が、底辺に暮らす者の苦悩を自然な演技で滲み上がらせる。>

<財政赤字削減を公約に掲げた英保守党デービッド・キャメロンが首相になった2010年から、5年以上に及ぶ緊縮財政(福祉、住宅手当、社会保障の削減)と福祉保障制度改革の結果、片手に指が1本でもあれば就労可能と皮肉られるぐらいイギリスにおける障害の認定基準は厳しくなった。

心臓に疾患を抱えた主人公ダニエルも、この制度によって困窮させられた社会的弱者の一人である。

英デイリーミラー紙が2016年5月12日に報じた、頭蓋骨の半分を失って重度の記憶障害と半身麻痺を抱える男性に対し、英労働年金省(DWP)が就労可能と裁定したという事実からも、映画が取り分け不幸な人物を描いているわけではないことがわかる。

戦後、疲弊しきったイギリス国民を助けるために設けられた社会保障制度が崩壊しつつある今、競争に溢れた者は沈んでゆくしかない。そして、それは誰のせいでもなく、自分自身のせいなのだ。

ケン・ローチが引退を撤回してまで『わたしは、ダニエル・ブレイク』を撮った理由は、このイギリス社会の現状に警鐘を鳴らすためだが、そこにはもっと普遍的なメッセージが込められている。

隣の誰かを助けるだけで、人生は変えられる。

映画に国家の制度を変えることはできないかもしれないが、僕たちは助け合い、支え合い、時に寄り添い合うことで理不尽な世界と対峙することができるのだ。>


トラックバックURL : http://kogure.exblog.jp/tb/23773420
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by kogure613 | 2017-04-05 22:46 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

こぐれのぶお・小暮宣雄 写真は春江おばあちゃんと・サボテンの花嬉しく 


by kogurenob