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アマヤドリ『非常の階段』アイホール

2017/5/27(土)

アマヤドリツアー 2017『非常の階段』作・演出 広田淳一。アイホール。

「世の中には二種類の人間がいるんです。感動をくれるバカと、タダのバカと。」134分くらいだった(1503開始)。再演ということ。

8年前に飛んだり、9階のマンションの中とか、オレオレ詐欺の部屋、そして、どこかの政府系のような聞きとり室とかに場所が移動するなど、忙しいのだが、迷子にならないですーっと見ていけるのが観劇では楽チンで良かったし、時間も全然長くなく、それでいて、そんなに激し鋳物ではなく、静かな方の作品だったということ(どうも他はもっと激しいのかも知れない)。

会話劇の前と後に趣向があって、いろいろな面で演出の工夫に出会えた舞台。冒頭が、3人の主役級の役者のモノローグから始まるもので、そこにすこし会話もあり。その内容が後半などでうまく出てきて(カエルの透明な卵とか、赤いあじさいとか、それは誰の体験話なのかとか)、上手な作劇。また、ラストで披露される踊りのレベルが半端ではなく気持ちよかった。カーテンコールなのかと一瞬思ったけれど。

全体的に、アマヤドリという劇団さん、東京の数ある劇団の中でもなかなかの実力だなと見終わって思ったし、やはり、こうして関西で東京など他地域の演劇が見られるという機会がもっとあるといいのだとしみじみ思う。


《キャスト》

大庭千鶴(主役の1人、大庭三姉妹の長女、キーボード):笠井里美

大谷(千鶴の彼氏?夜の世界でリッチ):倉田大輔

大庭ナイト(千鶴らのイトコ、主役の1人。自分はなにものでもないと・・):渡邉圭介

戸田ゆう(ダーさんからの聞きとり調査スタッフ、警察庁の付属機関?):榊菜津美

ケン(ナイトらのオレオレ詐欺のサイトグループの中心、大谷から独立):沼田星麻

大庭サカエ(次女、自由にしなさいとしか母に言われなかったと独白が秀逸):中野智恵梨

フジ(ナイトグループのメンバー):石本政晶

小柳かづき(ナイトグループのメンバー):相葉るか

大庭乙音(三女、父親の富山帰りの理由を知らされていなかった):相葉りこ

甘粕(戸田ゆうの上司、聞きとり調査の資料はナイトの残したもの):一川幸恵

大庭八平(ナイトの伯父でナイトを養子にしていた):宮崎雄真(以上、アマヤドリ)

大泉まな(大谷のクラブの女性で大谷が好き):大島萌

ダーさん(ナイトグループのメンバーで聞きとり調査をされている。その前は拉致されていたようだ):須藤新之介

本木(ナイトグループのメンバー):松ノ真司

ヤッチン(ナイトグループのメンバー):飯田紘一朗

http://amayadori.co.jp/archives/9600より

《ご挨拶》
<これは「透明の家」についての物語だ。はっきりとした輪郭を持っていたはずの旧来の家族が透明になり、ゆるやかに崩壊していく物語である。と同時に、家族でも何でもないやつら――具体的には、かつて「オレオレ詐欺」とも呼ばれた特殊詐欺を扱う非合法の集団 ――が擬似的な家族を作っていこうとする物語でもある。いま、私たちは旧来の「家族」あるいは「家」という制度/システムをゆっくりと失いつつあるのではないだろうか? 出発点はそんな問題意識だった。「家」制度に基づいたお見合い結婚はかなり少なくなったし、核家族化、離婚/未婚率の上昇と出生率の急激な低下などに私たちは直面している。その一方で、情報メディアの発達した現代ほど昔の友人達とつながりやすい時代もかつて無かったろう。その気になりさえすれば、私たちはいつでも擬似的な/透明な家族を作ることができる。――そんな自由があるのもまた現代の特徴だ。 2014 年、私はそういった二つの新しい「家族」の合流/衝突する地点を「透明の家」と呼ぶことにして描いてみた。今、再び、あるがままの現実を見つめつつ、変わっていくものと変わらないものとを「透明の家」という舞台装置を通じて描いてみたいと思う。
作・演出・主宰 広田淳一>
《あらすじ》
<舞台は2014 年の日本、東京。 ある夏の日、一人の振り込め詐欺結社のメンバーの男が何者かによってさらわれた。結社の仲間たちは彼(ダーさん)の身を案ずるとともに一時的に身を隠すことを考え、メンバ ーの一人・大庭ナイトの親戚宅に居候をすることとした。ナイトの叔父・八平とその三人の娘たちは、素性の怪しい詐欺結社の面々を邪魔もの扱いしつつも、なんとか奇妙な共同 生活を乗り切ろうとしていく……。一方、大庭家も揺れていた。数年前に妻を亡くした八平は東京の家を引き払って富山へ帰ることを決め、三人姉妹はそれぞれ別の新生活を始める必要に迫られていたのだ。
ダーさんをさらったのは誰なのか? 三人姉妹の行末は? 太宰治の『斜陽』をモチーフに、 振り込め詐欺結社の葛藤、若年層の貧困、格差社会、家族の在り方など、現代日本が抱える様々なモチーフを多層的に描きます。>


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by kogure613 | 2017-05-27 22:11 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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