三十万年前ねえ。シマ・デ・ロス・ウエソスが人類最古の埋葬場
2006年 02月 28日
「骨の穴」という洞窟がスペインのアエプエルカ山地にあり(河合信和『ネアンデルタールと現代人~ヒトの500万年史』1999年、文藝春秋)、この本によると少なくとも32体分の人類化石が眠っていたのだそうだ。
シマ・デ・ロス・ウエソス人は、30万年前のヒトで(ネアンデルタール人の直接の祖先の可能性)、骨には肉食獣のかじった痕がなく、しかも、洞窟は深さ14メートルの縦穴のため、住んでいたとも考えられないという。したがって、「死体が腐敗する前に、仲間が深い縦穴に投棄した可能性が高い。これほど多数の人骨が見つかったことから、死者を投棄する「墓場」として長期に使われていた、と考えられる」(p24)。
三十万年前、ここが人類最古の埋葬の場所。そういうことになる、いまのところ。
なお、ネアンデルタール人の埋葬については、骨に花粉がついていたことで、手厚い埋葬が花を手向けて行われていたのではないかというロマンチックな話がある(葬送学を論じるときにはどうしても起源として話したくなるエピソード)が、「疑問符も付けられている」とのこと。ただし、埋葬が捨て墓のような形にしても行われていたのだろうとは推定されているので、石器づくりという文化の発生とともに、埋葬が人類の文化行為のなかで、とても原初的かつ根源的な自己と他者識別のきっかけだったことは確かだろうと思う。
ドイツのネアンデル峡谷のフェルトホーフェル洞窟で見つかったのが、ネアンデルタール人の最初の発見(1856年)で、12年後、今度はフランスのクロマニヨン岩陰でいまの人類の祖先のクロマニヨン人化石が見つかる。クロマニヨン人の先祖もアフリカ(南か東かはまだ分からないそうだが)で、だから手足の長いまま(ネアンデルタール人は自分の身体で適応したが、クロマニヨン人は少しあとからヨーロッパへやってきた幸運もあり、身体はそのままで移動や衣食住の工夫で対応したのだろう)。
クロマニヨン人とネアンデルタール人は遭遇したことはなかったかも知れないが、かなり長い間、地球上に共存していたそうだ。ネアンデルタール人は、いまオリンピックに出ると金メダルをどんどんとってしまうほど筋肉もりもりだったという。氷河期を生き延びるよう寒冷地適応したために、とても胴長短足で、脳も大きい(ただし立派な筋肉を動かす部分が発達しただろうといわれている)。
大学では、大学院関係と全員による勉強会があり、帰り、この文春新書を夢中で読んでいる。
本のせいではないが、京阪三条駅で地下鉄から出ようとして、京カードがないことに気づく。おどおどしながら、駅員さんに、ひょっとしたら椥辻駅でとり忘れたかも知れないと言ってみる。すると、椥辻駅に早速電話をしていただき、無事、カードがあることが分かる。何円ぐらい残っていますか?どこからどこに乗ることが多いですか?この二つの質問に無事答えることが出来たので、引き返す。どちらの駅員さんもやさしくて気持ちがいい。のんびりしたどじなお話である。
約3万年前までに絶滅したとされていたネアンデルタール人が2万8000~2万4000年前まで生存していたことを示す生活跡がジブラルタル沿岸の洞窟で発見された。 現代人は約3万2000年前にイベリア半島へ進出してきたとされているため、両者は共存し、混血もあった可能性がある... more