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原稿を上田假奈代さんに送る 『冬の入口』NHKスタジオ版を録画して観る

12/29(土)
はなにメールして『限界芸術の話』原稿を読んでもらっていた。
はなを応援してくれているひがしのひとしさんも読んでくださったそうで、はなから、ひがしのさんの感想ということで、メールが来た。はなを通じてひがしのさんに了承してもらったので、そのメールを転載して、すこしほっとして、依頼主の上田假奈代さんにその原稿をメールした。以下、ひがしのさんの感想(引用):
 ぼくたちが歌いだしたとき、片桐ゆずるさんや、鶴見俊輔さん、いわゆる大人たちが、ぼくたちの稚拙なウタを限界芸術論で、応援してくれたことを思い出します。
 上手下手、プロアマチュア、声の大小、そんなことに関係なくウタはうたってもよい、そんな場を大人の人たちは、作ってくれました。各地にフォークスクールができ、今でいうワークショップの原型がすでにそこにはありました。歌声運動の縦関係ではなく、ばらばらの個人が、毎月一度、自分自身のウタを持ち寄って歌い放題言いたい放題の、表現の天国がそこにはありました。

 でも今、オリジナリティーという偽の仮面で、片方では商品としてのうた、もう片方では作品にすらなっていない日記のような稚拙なうたが巷に流れています。
 限界芸術というのは、愚直で賢明な民衆(大衆)という不思議な存在によって濾過されたもののはずなのですが。ウタがもう一度、命を取り戻す為には連帯求めて孤立を恐れずという、ひとりぼっちの鋼のような力強さと同時に、大道芸術の持っている大衆性と生命力の両方が必要だと思います。表現は全く個人的な物で、この両者を兼ね備えることは至難の業ですが、ぼくは小暮はなにその可能性をみています。一点突破の全面展開です。 

 団塊の世代のひがしのひとしより

きのう(28日)夜にNHK教育で放送されていた『冬の入口』を観る。はじめ、長谷川孝治さんが語っていて、稽古場とか弘前の風景とかが紹介されている。弘前劇場の役者は8名だけで、あとの半分は東京の役者。もちろん、弘前劇場の役者中心でのお芝居と比べると、映像のせい(はじめと終わりにイメージ映像などがあるのは論外だし、クローズアップの映し方などもちょっとだけうるさい)もあって、どこか、つるんとしている。

初演などの台本(『長谷川孝治戯曲集―弘前劇場の二つの場所』太田出版、2002)にはない冒頭の台詞(長谷川等ではなく、今回は高橋長英だというだけでも、違和感の原因になるのだけれど)があったりしたので、違和感が残ったのかも知れない。でも、悪いわけはない。映像にしても、まだ映し切れないものは感じられる。つまり、演劇でしか伝えられない何か。

長谷川さんって、大学の専攻は哲学だったよなあ、としみじみ。立正大学って、日蓮宗だということも、劇中のお題目とかが出てきて、ちょっとそんなことまで思ったりするのがお茶の間ならではではある。
AI・HALLだっただろうか、演劇としてみたときはもっとすごい緊張感があり、火葬場の待合室ということもあって、共感したり勉強になったり。

弘前劇場による再演は関西に来ず、見ていないので、まねきねこさんのレビューを見て、想像するしかないね。



芸術劇場
 - スタジオ演劇 “冬の入口” -
午後10:25~午前0:40
 舞台作品をNHKのスタジオで収録する、「芸術劇場」スタジオ演劇。今回は、青森を拠点に活動する劇作家・演出家、長谷川孝治の脚本・演出による舞台を取り上げる。
 長谷川氏が率いる劇団・弘前劇場は創立から25年。地域に根ざした表現を追求してきた「地域演劇のトップランナー」と言える存在。
 今回、劇団の俳優に加えて、東京を中心に活躍する俳優が参加し、2000年に劇団が初演した代表作を「冬の入口2007」として改訂上演し、収録。
番組紹介から引用
[あらすじ]
 青森のある斎場。控え室に集う人々の一日を描く。
 登場するのは、80歳の天寿をまっとうし荼毘に付されようとしている男の3人の息子とその妻たち。死んだ男は、家長であり、経営者でもありながら、俳句・短歌結社を主宰していた地方都市の名士だった。
 長男は父から地方書店を任され、次男は日本料理店を任されている。3人目は男の隠し子で、この日、初めて兄弟の前に姿を現す。家族をとりまくのは、書店職員の男女と、日本料理店の関係者、そして火葬場で働く男たち。
 地方都市に流れる時間をリアルにつづり、「不在の男」の儀式に集った男女たちを淡々と、微細に描きながら、家族の人生を浮かび上がらせてゆく。

[脚本・演出] 長谷川孝治 (劇団・弘前劇場 主宰)
[出演] 高橋長英、山田辰夫、小山萌子、劇団弘前劇場のメンバーの皆さん ほか
[収録] 平成19年3月28日 101スタジオ

[番組ホームページ] http://www.nhk.or.jp/art/

キャスト
   
板垣正人(味の中村屋料理長): 高橋長英

榊 豊(斎場主任): 福士賢治(弘前劇場)

別所一郎(中村屋書店外販部長): 高橋淳(弘前劇場)

大友勝俊(中村屋書店専務・長男): 山田辰夫

大友俊勝(味の中村屋店長・次男): 山田百次(弘前劇場)

長島光太郎(俳句・短歌結社幹事・教員): 鈴木眞(弘前劇場)

鷺澤友晴(斎場係長): 永井浩仁(弘前劇場)

大友京平(隠し子): 斉藤祐一(文学座)

蝦名道夫(中村屋書店外販部): 佐藤良洋

河合 司(中村屋書店出版部): 林久志(弘前劇場)

大友まゆみ(勝俊の妻): 矢代朝子

斉藤一子(中村屋書店事務員): 青海衣央里(弘前劇場)

大友美佳(京平の妻): 伊勢佳世(俳優座)

大友 萌(俊勝の妻): ぼくもとさきこ(ペンギンプルペイルパイルズ)

佐々木由美子(教育委員会主事): 濵野有希(弘前劇場)

久保レミコ(俳句・短歌結社同人・教員): 小山萌子

by kogure613 | 2007-12-29 12:53 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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