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演劇ダンスの稽古場の「公共財」性について~有料になるとしても・・・(追記)

fringeさんから、新しく、有料化について、有料化にもメリットがあると思うが、その額が余りにも高いのではないか!という貴重なご指摘がありました。http://fringe.jp/blog/archives/2009/03/14164929.html「京都市青少年活動センターの上げ幅に驚く」
東京の世田谷区よりも高いのですか!これは知らなかったです。
有料化する京都市がどのような他都市比較をして価格を決めたのは情報公開してもらう必要がありますね。
これが、有料化する京都市青少年活動センター条例案です→◎

以下、「京都市青少年活動センターの上げ幅に驚く」の一部引用:
1回3時間(18時~21時)使用すると、中会議室なら1,800円、創造活動室なら4,500円必要になり、1公演の稽古時間を約200時間とすると、中会議室だけでも約12万円の稽古場代が新たに必要になります(稽古後半は舞台サイズに合わせた稽古が必要ですので、実際はもっとかかるでしょう)。

中京青少年活動センター中会議室は定員27名ですが、東京の世田谷区立区民センターだと定員25~30名の会議室が4時間240~800円なので、1時間60円~200円になります。京都はこの3~10倍で、冷暖房が不可欠な気候を考慮しても、上げ幅として高額すぎるのではないかと感じます。一般利用の半額を設定しているようですが、上げ幅という観点で考えると、23歳~30歳については検討の余地があると思います。

(つぶやき、ぐちに近し)
公の施設の指定管理者制度とも共通しますが、公共政策のなかに、文化政策という独自のポリシーを持つ分野がある、そして、アーツマネジメントは企業(ビジネス)マネジメントとは違うさまざまな意義や手法・課題があるということを社会に伝えられていないという反省でもあります(汗)。


(以下は、3/10に書いたもの)

丸井さんの3/9のフォーラムの記述のなかに、公共財をめぐる私の発言があります。しかし、会場ではうまくまとまらずに、いささか舌足らずな説明しかできなかったと思いますので、すこし丁寧に補足しておきたいと思います。

まず、fringeさんの重要な指摘を引用させていただきましょう。http://fringe.jp/subjects/c016.htmlより「行政がまず取り組むべきことはなにか。言うまでもなく、それは稽古場の提供だ。公共ホールを一つ新設するなら、同じ舞台面積を持つ稽古場が一つ、その前段階の稽古場が最低二つは必要だが(稽古場なしでどうやって創作するのか)、そうした思想のない自治体が少なくないのが不思議である。」

そのうえで、すこし、演劇ダンス(舞台芸術)の稽古場の「公共財」性について考えていこう・・・

公共ホール・劇場は貸し館の場合、使用料が取られる。観客に対しても、自治体主催でもだいたいは有料の鑑賞料をとる。もちろん、経費よりもその対価は低いのが原則だ。
したがって、消防や警察のような、(消費の「排除不可能性+非競合性」ゆえの無料という意味での)完全な公共財(=純粋公共財)ではない。

同様の考え方をすれば、
演劇の稽古場の公共性についても、従来の文化経済学的に見ると、
広い意味の公共財。でも、狭い意味の純粋公共財に対しては、準公共財(あるいは、混合財)ということに一般的にはなる。

でも、すこしここで再考が必要かも知れないぞ・・・

まず、芸術の創出過程についての支援は、発表、感受過程の支援よりもいままでずいぶん手薄いことを指摘すべきだろう(さらに、創出過程時においては対価はまったく得られず、収入としては、それが開花して発表された場合に一部回収できるかどうかである~ワークショップやエチュードだけで終わることだってある)。

また、若手支援ということであれば、35歳ぐらいまでは、その創出過程、稽古・練習・研修過程を出来るだけ、負担なく将来の開花のために支援することが、積極的な文化政策として行うことが出来るし、有効だ。とりわけ、地域アイデンティティ価値や、東京一極集中問題、あるいは、創造都市論の援用が可能だろう。

とすると、財サービスの客観的な態様で分類して、準公共財というだけでは足りず、
政策的公共財、ということが言えるのかも知れない。・・・まさしく、京都市の青少年活動センターは、青少年政策の一環として、文化政策上は非明示的ではあるが、芸術政策的な公共財提供の役割を果たしてきていただいたわけである。

公共財の新たな分類案
 純粋公共財
 政策公共財
 準公共財(混合財

準公共財が、政策公共財になるためには、
これからは、芸術政策として、明示的に公共財としての政策的意義づけを行う必要が出てきたというわけだ。
ただし、メリット財(価値財)という考え方が、この政策公共財に対して従来から使われていることも確かで、すこし研究を加える必要あり。このメリット(価値)はユーザーが選択的に認めるのではない、というのが従来の価値財の発想なので、そういう上からの価値の提供というニュアンスのあるこの言葉は避けるほうがいいか・・・http://www.nsu.ac.jp/nsu_j/kikan/lab/e-asia/35-1.pdf

(おまけ1)
だいたい、青少年活動センターの有料化で、8~10万円ぐらい、演劇の制作費がアップすることになりそうです。
演劇の稽古場費用についてのサイトも参考になりそうですね。
http://www.drama-edu.net/column/nedan/nedan002.html
http://www.e-yakusha.com/keikoba.html

(3/15に追記)
さらに、fringeさんのご指摘によると、12万円以上はかかるのではないか!ということです。
有料化としても、今度の京都市の上げ幅は、世田谷区などに比べて高いということだそうで、これはとてもありがたい指摘だろうと思います。

(おまけ2)
いままで、京都市のコミュニティセンターは、クラブ財の位置づけだったといえるかも知れません。
それに対して、一部、政策公共財としての位置づけを与える可能性があると指摘できそうです。
地域性、「まちづくり」性は残ると思いますが。
by kogure613 | 2009-03-15 09:55 | つぶやき | Trackback | Comments(0)

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