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文学座公演『麦の穂の揺れる穂先に』NHK教育の放送を見て

9/26(日)
日曜日だが、大学へ。
校務で、こうして、高校生と向き合うと、大学とはなにか、まちづくりや都市デザインとはなにか、観光や文化プロデュースのことを、若い人はどう思っているかなどとても勉強になる。サステイナブルツーリズムが今回はキーワードの一つだったな。

帰って、24日にNHK教育あたりで放送していた文学座の公演をみた。予想以上に面白かった。2時間弱。あとで調べると実際は休憩(2回、5分と10分らしい)を入れて140分の作品だったようだ(5月から6月、ちょうど、「麦秋」の季節に上演しているのも粋だ)。

文学座公演『麦の穂の揺れる穂先に』。作:平田オリザ、演出:戌井市郎(94歳ということ)。
大学ものというのは、平田さんのなかではかなり多いしお得意のひとつである。いまも阪大の先生もしているし、学内政治とか、助教、准教授とかの名称変更とかの話もでてくる。

そして、小津安二郎映画からのオマージュ。『晩春』(1949)と『麦秋』(1951)を上手に使っている。だから、場所は鎌倉。原節子演じる紀子さん的役柄を、文学座の栗田桃子さんという方がしていて、34歳独身、動物園の飼育係でいまはオオアリクイ担当。父親と同居。パラサイトシングルということで、父親(江守徹)はイエーツなどアイルランド文学を専攻する大学教授で、その友人の同じ大学の教授(坂口芳貞)が、寄生虫の研究者という趣向である。

サナダムシを体内で飼う(サナダムシと共生)することで、ダイエットとかアレルギー症防止になるというネタはそんなに目新しくはないが、日常によく使われる、でも、ちょっと、面白い話が満載されたなかで(ローカルネタなどもある、大船駅の押し寿司とか)、一番、いいなと思ったのは、アイルランドの風景や野草が出てくるところだ。

ジュリア・ロバーツが出ている映画の一つとして『マイケル・コリンズ』(ニール・ジョーダン監督映画)が話題になり、これは、言及はされなかったが、すぐに、おお、ケン・ローチ監督の『麦の穂をゆらす風』に自分的にはつながって、すごく納得したのである。

ということで、この麦はbarley、大麦であるね。そして「ゆらす」から「揺れる」という他動詞から自動詞への変化。まさしく、アイルランドと日本との比較になって、この表題があるのだろうとか妄想したしもした。
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もし教材として使えば、新劇と小劇場演劇との比較論などはもとより(青年団や弘前劇場などに比べて、このお芝居のテンポがかなりゆるく聴き取りやすいがちょっと間延びする感じがぼくにはある。でも、学生にはちょうどいいかもしれない)、小津映画とのつながり、そして、ケン・ローチ映画ともつながるのかもなあとか思いつつ、就寝した。
by kogure613 | 2010-09-26 23:10 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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