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大阪楽座事業をふりかえって-文化のまちつかいを是非これからも-

以下、大阪府の方からの原稿依頼があったので、書いてみました。


大阪楽座事業をふりかえって-文化のまちつかいを是非これからも-

 まず、大阪府庁さんが文化政策に関わるこの大阪楽座事業を8年間もの長いあいだ続けていただいたことについて、心から感謝し御礼申し上げます。公共政策のなかでも、文化関係は、すぐに結果が出ない事業であり、最低限5年以上の継続が必要と言われますが、昨今、指定管理者制度はじめとして、すぐに成果・効果を出すような評価主義が蔓延しているなかで、実にレアで幸せなケースであったと思います。
 また、この事業は篤志家による寄付に基づく事業であると聞いています。しかもネーミングライツはじめ広告主義的な現在の風潮とはまったく逆に、表に出ないことや地味な事業をするという条件など実に奥床しい篤志家さんの志に御礼申し上げるとともに、その暖かい気持ちをこのような文化事業として実現されてきた歴代の文化担当者さんたちにも感謝したいと思います。
 さらに、楽座事業を行うために必要な歴史的建造物のリスト化にかかわり、私有する施設を提供し、時にはその活用方法について積極的にアドバイスしていただいたオーナーの皆様にも感謝したいと思います。同様に、この制度を理解し、文化事業をオーナーさんなどと一緒に企画し応募していただいた方々や審査員のみなさん、そして、これらの企画事業を知り、積極的に足を運んでいただいた皆様、本当にありがとうございました。
 地域の歴史的文化資源を単に遺産として保存するのではなく、いまに活用することで動態的に保存継承すること-私の言葉にすると「文化のまちつかい」の場をつくること-、他方、文化団体が自分達の活動を特定の文化施設だけに閉じ込めずに、まちとかかわり「文化のまちつかい」に関わることで、参加者を広げ自らを脱皮するきっかけになること・・・そのようなねらいを持つ大阪楽座事業は、この8年間で大阪府下の広範囲にわたり(山あり谷あいの変動はあったとしても)、十分に展開できたのではないかと密かに自負しております。
 この事業は、ひとまず終了ということになりましたが、8年間という長い期間にわたって蓄積されたデータベースが残っております。そこには、どのような歴史的な施設が大阪府下にあるのか、それらはどのような文化団体がどのような文化事業として活用されてきたのか、そして、大阪府下に文化事業を行うみなさんはどのような方々がいらっしゃるのか、その方々はどんな文化ジャンルがあり、どういうミッションを持って活動されているのかなどがわかると思います。
 また、このような「文化のまちつかい」というステキな機会が別の形で出来るようになることを祈念しつつ、一審査員として、この企画に関与できたことを感謝して、筆を置きたいと思います。

小暮宣雄(大阪楽座事業審査委員長)
by kogure613 | 2011-03-13 18:58 | 文化政策 | Trackback | Comments(0)

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