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第七藝術劇場<想田和弘『選挙2』・藤岡利充『映画「立候補」』&『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』

7/29(月)
授業はなく、あとは成績評価のみ・・・

今日は、たまたま男性1000円の映画の日だったらしいが、それも知らず、ずっと観ようと思っていた想田和弘監督の観察映画第5弾『選挙2』(2013年、149分)を観るために、十三の第七藝術劇場へ行った。

『演劇2』の場合は、『演劇1』と対になっていて、平田オリザ的演劇の政治行政的側面を描くというものだったが、このドキュメンタリーは、『選挙』で扱われた山内和彦さん(自民党のどぶ板選挙の実相がとてもコミカルでシニカルに描かれていた)が、3.11直後の2011年4月の統一地方選挙において、完全無所属、脱原発という主張とともに突然立候補したというきっかけで出来たもので、かなり性格が違う。

違うのだけれど、政治性という意味では、『演劇2』とのつながりもまた気になる所だ。演劇1と2は、想田さんによると「2008年の7月~9月と11月・12月、2009年の2月・3月」に撮影されたものだそうなので、民主党が政権を取る前夜に、いままで小劇場演劇に関心がなかった政治家さんたちが、松井孝治さんの紹介で平田オリザさんに接近するという、芸術とそれ以外との領域、たとえば、政治との接点に興味をもつ僕にはとても気になる場面が映っていたのだった。

残念ながら、がちんこの芸術と政治の境界というテーマはここにはないのだが(これは、また三宅洋平さんあたりを観察すればいいことかも知れない)、限界政治というか、限界選挙ということを考えさせられるものであり、政治家の演技という意味では、限界演劇という側面がとても強いものになっていた。

山内和彦さんが、選挙に参加しているのだか川崎市宮前区の地方選挙の観察だけしているのだか分からない立ち位置になっているので、他の候補者のやっている駅前の挨拶や握手が、とても滑稽に映ってしまう。『選挙』では、山内さん自身がそういう役割を半分確信犯的にやっていたのだが、それを映像化されることを今回他の自民党の候補者はとても嫌っていて(映画になってすでに出てしまっているのだから、そこからまた同じ道化映像を写され晒される虚しさ)、そのために、想田和弘さんも単なる観察者でありえないインター楽ションを発生する形のまま映像化されることになった。

川崎市の自民党の人たち側からしたら、山内和彦さんや想田和弘さんは、裏切り者あるいはスパイのような印象を与えてのかも知れないし、まだ、2011年、つまり民主党政権の時なので、野党になってしまったことのいらだちもあるのかも知れない。でも、もう民主党を隠して立候補している人もいて、2009年9月の政権交代のあと、2011.3.11を経て、あっという間に民主党への失望が広がっていることが見える。あと、自民党は地元の人たちの声に敏感なので、選挙カーで無音にしているとか、作業服を着ているとか、面白い観察は結構ある。

やはり映画で和んだのは、猫ショットや何気ない日常ショット、子供たちの遊びなどであるし、今回は、山内ジュニアの存在が大きい。駆け込み郵便局でお母さんに自販機をねだるところ(しかし「奥さん」の協力は前回よりももっと主体的になっていて微笑ましい)は、ちょっとハラハラさせられ、ハッピーエンドエピソードだったので救われた(ネタバレ注意w)。

1000円ということもあって、続いて、藤岡利充監督『映画「立候補」』(2013年、100分)を観る。対照的に、音楽はガンガンなるし(映画のなかでの候補者の音楽も派手)、テロップもいっぱいついて、ドキュメンタリー映画の幅を感じさせてくれる。

想田映画が、小津安二郎的、あるいは、チェーホフ的喜劇としたら、これは、ブレヒト的異化作用を伴う笑劇、哄笑に近い笑い(岡本喜八映画的かな?)なのだが、そのあとに、ぞっとさせられる意味では、通天閣の下のお化け屋敷よりも怖い映画なのかも知れなかった。

まあ、川崎市と東京が舞台の静かな(政治無関心のなかの選挙)と、大阪府のとくに大阪維新の会絶頂期の騒がしい選挙の違いが大きいのではあるが・・

マック赤坂さんのゲリラ的演説(ダンス、パフォーマンス)は、アングラ演劇、ハプニング劇であり、限界芸術でもあるが、それ以上に応用芸術、武器としての芸術について考えさせてもらうものだった。

個人的に、大阪府知事選挙(2011年11月なので、『選挙2』の半年あとの政治世界が舞台)の立候補者のうち、高橋正明さんという人も登場するのだが、この人が路上で挨拶しているときに、1年先輩がやってきて、いろいろ同窓生の話とかをする。たぶん、会いに来たのか。で、灘校だとかいうのだが、テロップには「灘小、灘中」とあって、あれ?って思って、あとで検索したが分からなかった。まあ、どうでもいい話だが、10年ぐらい上の人でもし灘中灘高の先輩なら、それも楽しいなとちょっと思ったのではあった。

帰って、村田和也『鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星』(110分、2011年)を観る。miwaという歌手が初めで「Chasing hearts」、あとがラルク・アン・シエル「GOOD LUCK MY WAY」。すこし『もののけ姫』が描く舞台をすこし想起した。


以下、ひとりごと
毎日、アーツマネジメントや芸術鑑賞を中心とした日記を書きだして、17年ぐらいになる。創設の事務方であった財団法人地域創造から出され、1996年2月、滋賀県職員に形だけなってそこからの出向で、全国市町村国際文化研修所の参与兼教授という完全な閑職状態になった、40歳のときだったか。

幸か不幸か、そこから毎日のように脱出して京阪神のアーツ観察に出向いたのである。唐崎駅で湖西線に乗って。
滋賀県内のたとえば滋賀会館で映画をみたり、水口町立碧水ホールとかもいったりしたけれど。
何もしないと気が狂うので、前日観たアーツを「つれづれ日記」として書く日々。毎月それをコピーして知り合いに郵送していた。研修所に「文化」とあるので、一応、業務になっていた。

2001年からは、アーツカレンダーのこのサイトで読める。< http://www.arts-calendar.co.jp/KOGURE/Diary.html

区切りでもないのに、昔話をしてしまった。
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by kogure613 | 2013-07-29 23:06 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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