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齋藤純一編著『自由への問い1 社会統合―自由の相互承認に向けて』の引用メモ

齋藤純一編著『自由への問い1 社会統合―自由の相互承認に向けて』(岩波書店、2009年)
引用メモ

齋藤純一の発言より
宮本太郎との「対談 自由の相互承認に向けて」
p8
<…選択の自由は大事ですが、実際にそれが享受できるかどうかは制度に依存している。たとえば教育機会の制度的保障があるかないか。一定の教育を積んでいなければ自分の生の構想を積極的に描くことは実際には難しい…
< アマルティア・センの言葉を使えば「ベーシック・ケイパビリティ」が、誰もがなしえてしかるべき実質的な自由を意味します。読める、書ける、食べられる、移動できる、等々、お互いがお互いのそのような基本的なケイパビリティを保障しあう制度を損なってきたのが、この四半世紀ほどのネオ・リベラルもとでの自由の扱い方だったのではないか。>

p10
<…イギリスには「チャイルド・トラスト・ファンド」、新生児に対して預金口座をつくり、18歳になった辞典で本人が引き出せるという制度があります。>

齋藤純一「制度による自由/デモクラシーによる社会統合」より
p41
<アイデンティティを社会統合の紐帯として提示することにはやはり大きな問題がある>。

p44
<「われわれ」の一員は、国民共同体の何らかの本質的要素を共有する者ではなく、共有する制度のあり方を決める民主的な政治過程を通じて、互いの自由の享受に責任を負う者としてとらえ直される>

p45
<…社会統合を可能にするのは、現状維持のためにひたすら抗争を回避することではなく、むしろ現状の正当性の擁護に挑戦する「承認をめぐる闘争」にその途をひらくことである。…社会統合が成立しているかどうかは、「最も不利な立場にある人々」が、なおも自らを社会の一員として理解しうるかどうか、自らが社会によって政治的に平等な者として扱われていると感じるかどうかによって判断される。>

宇野重規「平等と自由の相克/相乗」より
平等=自由・・equaliberty  コルネリュウス・カストリアディス⇒エティエンヌ・バリバール
p53
<…現代のあらゆる政治哲学、法哲学の課題もまた、平等と自由をいかに両立させるか、それも単なる妥協や折衷ではなく、原理的なレベルでいかに両者を調整するかにかかっている。>

p65
<…平等と自由を「自律」の理念の下に統合し、現代世界に唯一残った政治的理念として動的に捉えるというのが、カストリアディスの独創であったといえよう。>

愛嬌浩二「宗教が占めるべき社会的位置とは―憲法学的考察―」
「立憲民主政は政教分離と論理的な親和性がある」・・・①宗教問題が立憲民主政の起源にある。②立憲民主政においては、宗教は公共空間から排除され、私事化される。
宗教の脱私事化という論点
ロバート・カーバー・・・同化なき社会統合を可能にする立憲民主政の構想

p99
<…戦前の信教の自由の問題は、…宗教を「心」の問題とし、「形」に関わる政治と次元を異にすることで、政治からの独立を求めた点にある…。このような信教の自由の下では、神社参拝という「形」は仏教者やキリスト者の「心=信仰」を害するものではないと強弁される。しかし、これでは、政府の法解釈と宗教団体(の構成員)の法解釈の拮抗の中から、法の変容が生み出されるというダイナミズムは完全に失われてしまう。この点、裁判員制度の発足により一般市民も死刑判決に関与する可能性が出てきた状況の下、日本カトリック司教協議会が公式見解をまとめ、司祭や修道者が裁判員に専任された場合、10万円以下の過料を支払ってでも辞退せよとの勧告を行ったことが注目される。>

小川有美「都市・地域・自由」
p116
< グローバル化し、政治的・社会的に断片化した都市空間では、もはや自由をつくり出す一つの「場」を共有することができないのだろうか。ここで焦点となるのは、1990年代以降世界中で進んでいるという分権化の趨勢である。>

p116
<…「グローバルな都市-地域」を唱えたアレン・J・スコットによれば、多層化するグローバルな空間は、(1)EUのような地域ブロック化、(2)衰退する主権国家、そして(3)グローバルなモザイク化をもたらす都市-地域の、三つにより形づくられ、都市-地域はポスト国家の秩序変容の中で本質的な意味をもつものとされる。>

マニュエル・カステル『都市とグラスルーツ―都市社会運動の比較文化理論』(邦訳1997,法政大学出版局)
p121
<「都市と自由」を根底から考えるとき、「フロー空間のグラスルーツ化」とともに、カステルがいうもう一つの次元、すなわち「歴史という厄介な経験」を共有する契機を除くことはできない。>

( とてもお世話になった元大牟田市役所の吉田廸夫さんの紹介があってびっくり。p122 「福岡県大村市役所退職者の会」事務局長の吉田廸夫は、「負の遺産」の建設的共有の試みを語る。)
by kogure613 | 2013-08-23 15:48 | 研究テーマ・調査資料 | Trackback | Comments(0)

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