人気ブログランキング | 話題のタグを見る

木下惠介監督作品『春の夢』(1960年、103分)

11/14(木)
一昨日観た、木下惠介監督の『今日もまたかくてありなん』(松竹から中村勘三郎を使って作れといわれて撮った映画作品)が公開された年、1959年は、皇太子成婚パレードが4月にあって、それをテレビで観ようとテレビの受信契約数が飛躍的に増えた年で、逆に、全国映画館入場者数は、1958年の11億2745万2千人をピークにして急降下するという年だったそうだ。

今日は、『今日もまたかくてありなん』の翌年、1960年に公開された木下惠介監督作品『春の夢』(103分)を観た。これも、会社からの要請で「新松竹調」で映画人気を回復したいという木下喜劇への要請に応えたもの。長部日出雄によれば(『天才監督木下惠介』新潮社)、木下監督は『笛吹川』をどうしても撮りたいので、そのため(すごい経費がかかる)に、会社に貸しを作るために撮っていたということ。

でも、やっぱり、この『春の夢』はいま見ても面白い。確かに『お嬢さん乾杯』と『破れ太鼓』などの自己模倣という面はあるかも知れないけれど、これから日本のテレビホームドラマへと続く形なのだろうなと、テレビ的な中村メイコや十朱幸代のお手伝いさんのやりとりを見ても思わせてくれるし(あと、丹阿弥谷津子が若いw)、タイトルデザインが原弘(日本の装幀文化を作った人)であったりして、その人工的な舞台美術と照明など見どころが結構ある。

『東京物語』的世界が過去になってしまったなあと思いつつも、東山千栄子と笠智衆の微妙なすれ違いや佐野周二と久我美子との取り合わせ、岡田茉莉子のファッションの素敵さなど、けっこう楽しく鑑賞できる映画ではないかと思う。

今日はいい天気でお昼は少し昨日などより過ごしやすい気温まで上昇した。
相川駅往復に読んでいたのは、安田賢治『笑うに笑えない大学の惨状』(祥伝社新書、2013年)。
by kogure613 | 2013-11-14 23:24 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

こぐれのぶお・小暮宣雄 写真は春江おばあちゃんと・サボテンの花嬉しく 


by kogurenob