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徳島県三好市へ<地域が主役の文化行政―三好流・文化生活振興へ向けて―

2014/3/27(木)

久しぶりに研修会の講師として、徳島県三好市へ。

三好市は8年前に池田町など6町村が合併した3万人弱の町。

去年、文化施設建設反対派の市長さんが当選して、文化振興計画づくりもまた再構築が必要ということもあって、呼ばれたようだ。ジャパンインターナショナル総合研究所という京都市に本社があるコンサルが三好市の文化振興計画に関して委託を受けていて、たまたま同志社大学の大学院で文化行政を受講した第一期生が職員ということで行くことになったようだ。

 

756の準急で八幡市駅を出て、新大阪、岡山、阿波池田、1121着。

昭和の駅舎だ。盆地で冬は雪が降り新潟並に寒いということ。道が細い。ところが駅前に郊外型のショッピングセンターフレスポ阿波池田というのがあってびっくり。ここは、もともと専売公社のタバコ工場だったようで、江戸時代から、阿波池田は刻みたばこで栄えた町ということ。写真は⇒http://kogure.exblog.jp/19613340/ 

きらり本町 | 阿波池田うだつの残る町並み⇒http://kirari-honmachi.ciao.jp/

 

うだつちんどんで興味を持ったので、うだつ通りを見たり、たばこ資料館を見させてもらったりした。ここで、琵琶の形を小さくして、すこし丸くバンジョーみたいな楽器があってびっくり。たしか、中阮か大阮か、そういう名前が書いてあった。あと、人形浄瑠璃もされているようだし、地酒(三芳菊酒造など)、地元の醤油(真鶴)などもみられて、やっぱり、たまには、近畿を離れて、いろいろな地域に行くっていいなと思った一日だった。

 

池田高校、池田中学校、池田小学校、幼稚園が高台に南向きに並び、その反対側の線路の向こう、杉尾神社のところの高台は、お墓の段々。死者がそこでこの盆地を見ているのだなあと江戸時代からのお墓のそばに咲いている水仙を愛でた.

以下、レジュメ。80分ぐらいしゃべったかな・・

・・・・・

地域が主役の文化行政―三好流・文化生活振興へ向けて―
2014327日(木)1330~ 徳島県三好市保健センター会議室
小暮宣雄(京都橘大学)
 
1)はじめに
1-1.依頼内容
< 研修参加者が文化振興によるまちづくりの意義や重要性を理解し、文化行政に対する興味・関心を持ってもらい、今後主体的に取り組めるような「きっかけ」に
< 三好市の自然や街並など生活と密着している文化を大切にしていきたいという声があるので、生活文化の位置づけについての考え方を明らかに
< 他地域の事例などに基づき、三好市の特色を踏まえたアイディア(提案)を出す
< 三好市にとって第1期目の文化振興計画の策定ということで、今後計画をもとに現場の職員はどのようにして、(心構えも含め)動いていけばいいのか?に答える
 
1-2. 話の流れ
文化振興のなかでも特に、市民、住人主体の文化振興政策、すなわち、
生活(暮らし)と文化との連携強化を第一にあげる。
その文化生活を享受する市民(文化主導住人)を前提として、
他地域との交通促進について、文化政策が地域活性化につながる方策を大きな二本柱とする。
そして、それに行政職員はどう対応したらいいのか、役割の明確化や組織のあり方は?
というような流れでお話しすることに。
ぜひ、いろいろ質問やご意見をください!
 
1-3. 自己紹介  別紙1参照

2)三好流文化生活の促進
~文化振興によるまちづくりの意義(1)~

三好流の文化振興は、市民の生活に根づく文化とスタイル・気持ちを大事にするところから!
三好市に住んでいる人たちは、恵まれた自然環境とともに、三好流の文化生活が営める、独特の文化的環境にいると、自他ともに思えるのが目標の第一。
 
文化生活営の権利の保障=生活権的文化権。
他方、表現の自由権=自由権的文化権の保障も大事。
⇒地域の寛容性の向上
 
文化=人間-自然(遺伝子情報によるもの:里山や農村景観は生活文化)
=暮らしの文化(生活文化)+仕組みの文化(社会制度文化)+術の文化(専門的文化)
 
術=学術(思想科学)+技術(職人の匠、スポーツ術)+芸術(アート、アーツ)
 
芸術=言語芸術(文学、書)
+視覚芸術(美術・工芸デザイン、映画)
+実演芸術(音楽、舞踊、演劇、伝統芸能、大衆芸能)
 
【参照条文】
日本国憲法第二十一条第一項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
同法第二十五条第一項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 
文化芸術振興基本法第二条第一項  文化芸術の振興に当たっては、文化芸術活動を行う者の自主性が十分に尊重されなければならない。
同法第四条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、文化芸術の振興に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
 
劇場、音楽堂等の活性化に関する法律第十二条第一項 地方公共団体は、地域の特性に応じて当該地域における実演芸術の振興を図るため、劇場、音楽堂等の事業の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
同法第十三条 国及び地方公共団体は、制作者、技術者、経営者、実演家その他の劇場、音楽堂等の事業を行うために必要な専門的能力を有する者を養成し、及び確保するとともに、劇場、音楽堂等の職員の資質の向上を図るため、劇場、音楽堂等と大学等との連携及び協力の促進、研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
同法第十四条 国及び地方公共団体は、劇場、音楽堂等において行われる実演芸術に対する国民の関心と理解を深めるため、教育活動及び啓発活動の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
同法第十五条 国及び地方公共団体は、学校教育において、実演芸術を鑑賞し、又はこれに参加することができるよう、これらの機会の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
 
3)三好流文化福祉の展開
~文化振興によるまちづくりの意義(2)~
文化と福祉(教育)をうまく組み合わせよう!
音楽セラピー、ダンスセラピー、美術セラピー
アウトサイダーアーツ(アール・ブリュット、障碍者芸術)
アウトリーチ活動:芸術への助走を長く、行き来を活発にする
文化ボランティアの楽しさ(奉仕だけでない充実感)
50歳からの演劇、ダンスが流行っている⇒生涯文化学習
次世代の文化体験の重要さ
(事例)めくるめく紙芝居(山科) 別紙2参照
 
4)三好流文化ビジネスの展開
~文化振興によるまちづくりの意義(3)~

三好流文化の良さを経済循環、産業振興にもつなげよう!
 
地域からの産業おこし―内発的地域経済活性化―
6次産業化・ソーシャルビジネスの進展
エコノミックガーデニング・スモールマート革命
文化観光・グリーンツーリズムの展開
域内循環、乗数効果
 
5)事例紹介―「まちつかい」する文化振興の愉しさ
5-1.料理とドラマリーディングの組み合わせ
津あけぼの座・津あけぼの座スクエア http://akebonoza.net/m-pad2013.htmlより
 
M-PAD2013 三重のまち発!おいしくてあたらしい料理と演劇のたのしみかた】
三重県内で舞台芸術(パフォーミングアーツ)を飲食店や寺院など劇場を飛び出しコラボレート。

5-2. 障碍のある人の表現活動の紹介を町家で
NO-MAについて | ボーダレス・アートミュージアム NO-MA http://www.no-ma.jp/about/index.htmlより    別紙3参照
 
【興味をもった三好市の記事より】
<うだつちんどん 笑いと癒やし : 新おとな総研 : YOMIURI ONLINE(読売新聞) http://www.yomiuri.co.jp/otona/news/20140218-OYT8T00407.htm?from=tw
<徳島県三好市池田町で行われている「うだつマルシェ」実行委員会のメンバーらによる「うだつちんどん」が人気を集めつつある。>
 
三好に宿泊外国人観光客、前年の1・7倍 トップ香港 - 徳島新聞社 http://www.topics.or.jp/localNews/news/2014/01/2014_13901782220015.html
<大歩危峡や祖谷渓、かずら橋などの観光地がある三好市を訪れる外国人観光客が増えている。2013年の主要ホテル5社の宿泊者は計3872人で、前年の約1・7倍と大きく伸びた。
<海外からの観光客には、大歩危峡の舟下りやかずら橋といった「秘境」の雰囲気や妖怪伝説が人気。舟下りを運営する大歩危峡まんなかでは、利用客の約1割を外国人が占める。>
 
 
6)文化振興における行政スタッフのスタンス
 
文化現場とつかず離れずの関係を保とう
 
担当のうち、専門職を混ぜよう(それ以外は、地域創造などでアーツマネジメント研修を)
担当はできるだけ準備の段階から現場にいて、でも意思決定からは少し離れてお世話をする裏方に
担当でない職員は、市民の一人として、文化に触れ、担当に暖かくも厳しい感想をそっと告げよう
 
文化行政の政策評価は、成果だけの評価ではなく、プロセス(過程)重視にするとともに、
6年程度の計画にして、大丈夫なら10年間ぐらいは続けるものを考え、そのための組織づくりを!

by kogure613 | 2014-03-27 22:48 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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