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『人間の條件』第4部、『演劇1,演劇2,特典映像』、『〈声〉の国民国家・日本』

2014/6/14(土)

小林正樹監督作品『人間の條件』第4部戦雲篇。1959.1174分。千秋実など古参兵が演習などのときは威張り散らすのだが、実際に戦場に行くと・・・とか、あれこれ興味深い映像あり。

佐田啓二が仲代達矢の上官として出てくる。女性がまったく出てこない。ただただ、手紙と写真、思い出・・軍隊における日常の非日常性、戦場における日常的会話の対比。

DVDで想田和弘監督の『演劇1,演劇2,特典映像』(2012年、172分、170分、196分)をようやく家に持って帰って、教材に使えるシーンをチェックしながら観る。

「演劇1」では、青年団の制作インターンシップみたいな大学生応募のところがいいかもなと思うし、『東京ノート』と『火宅か修羅か』のDVDとの連動はできそう。松田弘子さんと想田さんとの特典対談も面白いがロボット演劇までいくと収拾がつかないかも(桐竹勘十郎さんの未公開映像も文楽人形理解という面ではとても貴重だし、オリザさんとの対談も連動すると有意義だし・・)。

岡山市西川アイプラザでの公演準備から解体しているところまでがやっぱり圧巻(前半の稽古シーンから、つなげていくかな)。

ずっと家。ごろごろしていたら、体重が一キログラムも増えていた。

ブルックナー交響曲第8番がなぜか身にしみる。

兵藤裕己『〈声〉の国民国家・日本』(NHK出版ブックス9002000年)を読んでいる。

オーラル・リテラチュア(声の文学≒口承文芸)としての浪曲(浪花節)は、明治のはじめから昭和前半期に大流行したのだが、その歴史をちゃんと読むのは初めて。それにしても資料が少ない分野だなあとしみじみ(紙芝居と似ている)。上片では、もともと歌祭文を盆踊り口説(くどき)にした祭文音頭が広く行われており、そこに江戸で発生したデロレン祭文をとりいれて生まれたのが、江州音頭だそうだ(p61)。以下、少し引用:

p27

< 東京の貧民窟が急激に膨張しつつあった明治10年代から20年代に、浪花節は成長期をむかえている。浪花節はすぐれて近代の都市的な芸能であったのだが、しかしそれは、近代になって唐突に出現した芸能なのではない。浪花節芸人が集住した芝新網町や四谷鮫ヶ橋も、近世以来の江戸の貧民窟だった。

<……芝新網町で浪花節組合(明治7年頃)が誕生するきっかけをつくったのは、坊主国というチョボクレである。チョボクレは浪花節芸人の呼称であるとともに、浪花節の母胎となった芸能とその芸人の呼称でもある。チョボクレを語った坊主国の前身は、かれに協力したカッポレの梅坊主とともに、芝新網町に住んだ願人坊主(がんにんぼうず)だったろう。>

78-79

< もちろん瞽女や座頭、祭文太夫たちは、日常の会話は土地の方言で話している。だが、いったん三味線や琵琶、金錠などを手にして物語を演唱する段になると、口調は一変して、使用される言語は、いずれも文語調がかかった独特の語りことばになる。日常的な話しことばはつかわれず、したがって土地の方言も原則としてつかわれない。それはひとつには、かれらが土着の常民社会とは位相を異にした存在(いわば非常民)であること、またかれらのつたえた物語が、かつて芸人の旅まわりによって伝播したこと、などに関係する問題だろう。>

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by kogure613 | 2014-06-14 22:16 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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