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山下敦弘『マイ・バック・ページ』、林浩平『ブリティッシュ・ロック』、柳田國男『明治大正史世相篇』

2014/8/16(土)

山下敦弘監督『マイ・バック・ページ』(2011年、141分)を観た。熊切和嘉監督の『鬼畜大宴会』を当初想像していたので、それよりもほんわか。

CCRを一緒に歌うとか、宮澤賢治を過激派も読むんだというところの離れの一室とか、アジトでのあれこれなどが山下流。

山下敦弘監督の特色が少しずつ見えてくる(『リンダリンダリンダ』がどうも同じ監督とは思えないのでもう一度チェックしなくちゃ)。


始まってすぐ、映画制作会社などがタイトルで出ているときから、東大安田講堂のニュース音声が流れていて、ちょっと暗い感じがよく出ている。コントラバスの独奏が効果的な音響でもある。赤軍派などのニュースやドキュメンタリー映画などはちょくちょく観ているが、これは、朝日新聞社系の雑誌ジャーナリストの群像のところに興味をぼくは置いてみたので、もうすこし、週刊朝日と朝日ジャーナル(後者しか当時の中高生だった私は愛読していなかったがw)の関係などの内側が見たかったかもしれない。


役者名で書くと、2つのペア:妻夫木聡(原作者、川本三郎さんがモデルだということ)と忽那汐里(22歳で自殺した保倉幸恵さんがモデル、革命家を自演した(マスコミ利用で有名になりたかった)松山ケンイチと同じ大学(日大)の石橋杏奈。


脚本 向井康介

原作 川本三郎

出演者 妻夫木聡、松山ケンイチ、忽那汐里、石橋杏奈


メモ映画『もらとりあむタマ子』オフィシャルサイト http://www.bitters.co.jp/tamako/sp/staff.html より

<山下敦弘 1976829日愛知県生まれ。高校在学中より自主映画制作を始め、95年、大阪芸術大学映像学科に入学、熊切和嘉監督と出会い『鬼畜大宴会』(97)にスタッフとして参加。その後同期の向井康介、近藤龍人と共に短編映画を制作する。>

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大正時代メモ。

☆ 島崎藤村と藤村の姪、島崎こま子との性的関係は大正21913)年から。『新生』発表が、大正71918)年。


☆ 柳田國男『明治大正史世相篇 新装版』(講談社学術文庫、1993年、1930年に柳田執筆)。

156-157「風光明媚」

街道を行く人たちの目にとまる祠辻堂や石の神仏、目に止める所、旅で感動しやすい人たちへ記念物をたてる。⇒「前後三回の国際戦役において、子を失った親などが近代にはこれを利用した。」

雨。

379「貧と病」

<日本で毎年の自殺者は一万数千、このごろ東京だけでも一日に5人ずつ死んで行く。一番多い理由は病苦であるが、他の生活難というものの中にも、たいていは健康が勘定の中に入っている。しいて妻子のその意思もないものを同伴として、家をなくしてしまおうという考えの中には、説くにも忍びざる孤立感が働いていたのである。生活の興味はこの人たちにはもう切れていた。>



林浩平『ブリティッシュ・ロック―思想・魂・哲学』(講談社選書メチエ、2013年)を読む。少し引用など。

p85

<…ユダヤ・キリスト教的な知を基礎に据える西洋近代においては、根本的な啓示、ハイデッガーのいう「開かれ」は、まさしく声を契機として出現するのである。

<アガンベンが強調するのは「声」によって「気分」が「開かれ」の状態に導かれるという点だ。これはショーペンハウアーの唱える、「気分」が「歌謡の本質」をなすということと密接につながる指摘ではないだろうか。「気分」は「声」を用いて歌うことを欲しているのである。>

p203

<かつて野外でのロック演奏は、レジスタンスの意志を表示するための場でもあった。たとえば成田空港建設反対を唱えた、いわゆる三里塚闘争の際に、反対運動にシンパシーを持つミュージシャンたちが野外で演奏した。現在ではその音源を『’71日本幻野祭・三里塚で祭れ』というCDで聴くことが出来る。出演したのは、頭脳警察、ブルース・クリエーション、それに灰野敬二率いるロスト・アラーフなどだが、フリー・ジャズのミュージシャンも参加した。三里塚では、バフチンや山口昌男がカーニヴァルのなかに見る、秩序破壊的な暴力衝動も含んだ真の意味の祝祭性が発露されただろう。しかし、現在のようにしっかりと管理されたロックフェスというのは、祝祭の体験といっても、いわばヴァーチャルなものではないだろうか。ロックの持つパワー自体の退潮ということが、こんなところにも現れているだろう。>

http://blog.goo.ne.jp/googoogoo2005_01/e/50226cbada69112a641798f898c54783 より引用

TO BE A ROCK AND NOT TO ROLL

絶対のエイトビートが魂を解放する!!

ビートルズに始まる「イギリスの侵略」から半世紀──。世界中を熱狂させ、若者の「生の哲学」となったブリティッシュ・ロック。その誕生からの歴史をたどり、未来をさぐる。鼓動するドラムとベース、咆哮するエレキギター、絶叫のヴォーカルが、呼び起こす「ディオニュソス的陶酔」!

ニーチェ、ハイデッガー、アガンベンの哲学が提示する、もっと音楽を愉しむための、思想としてのブリティッシュ・ロック。

ハイデッガーの実存の「開け」の概念とロック。「新たな霊性を啓くメディア」としてのロック。テクノロジーとロックの関係、新たな芸術ジャンルとしてのロックなど、思想の側からロックという「現象」を深く読み解く未曾有の論考。

(講談社BOOK倶楽部ホームページより)

著者の林浩平は1954年生まれの詩人、文芸評論家、日本文学研究者。3冊の詩集、数冊の文学に関する評論・エッセイを著す一方、学生時代ロックに耽溺し、今でも時折バンド活動を行う音楽好きが高じて、2011年に『ロック天狗連 東京大学ブリティッシュロック研究会と七〇年代ロックの展開について知っている二、三の事柄』という書籍を共同編著。ポスト学園紛争時代の日本において、ロックが如何にして受容されたか描いたエッセイと評論>


by kogure613 | 2014-08-16 22:13 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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