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MONO『ぶた草の庭』ヘップホール Co.山田うん『七つの大罪』『春の祭典』AI・HALL

2015/3/21(土)
午後から、かなり重要な実演ステージを2つ鑑賞する。
マチネは、AI・HALL、15時過ぎから、35分の2つのダンス作品。
アイホールダンスコレクションvol.74というから、この継続することの意味にまず刮目。志賀玲子さんの顔があり、大谷燠さんの顔がある。関西のダンスなどの重要な人たちが見守るなか、Co.山田うんの新作がここで発表されるのだ・・・でも、高校生たちの集団もいて、この新旧相混ぜの感じもまたいい(夜のMONOの公演でも、若いゲストの役者さんとMONOのベテラン勢が何の隔てもなく土田英生さんの新作を好演していたな)。

Co.山田うん『七つの大罪』の始まりは、開場のあと、半券を持ってAI・HALL前の広場から始まる。楽隊が4名。芳垣安洋さんが太鼓で編曲リーダー、高良久美子さんはケンハモ、太田惠資さんのバイオリンとMC、歌、助川太郎さんはギターで一人若い人。CDを帰り買うかどうか迷って買わなかったけれど、ブラジル音楽中心にセロニアスモンクや林光などが混じっているもので、実に注目のギタリストだ。小学生のなかで一人の女の子だけ勇気を出して入口に入りそうになるが、耳をふたいですぐ退出した。残念。

広場で踊っていた山田うんさんと川合ロンさんは、ロビーではいなかった。入ると、二人は下手奥のテーブルに座っている。ここからはじまるのね。
筋書きは当日パンフに書いているので、頭で理解はできる(両面を持つ一人のアナを男性と女性の身体で現出する・・)が、ダンス自身で、7つの罪への誘惑と抑制が具体的に明確な形で分かるというまでには僕はいかなかった。

やはりいちばんは性的な誘惑や暴力などがなんとなく嗅ぎ取れるが、それよりも、口琴やカズーの面白い使い方や、反復する打楽器づかいなど、音楽とそれと平行して現れる、2つの身体のどこか暗く抑圧されている様に釘づけたれている。そして、そのまま、しんどい人間の苦悩のような体つきで終わったなというのが実際である。
でも、音楽が明るいところも結構あって、その不一致などにも興味が出るし、吊るされているもの、吊るされてしまう机や椅子にも一義的な解釈をもたらさない演出効果ということを休み時間に思った。
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後半は、実にシンプルな春の祭典。キレイだし、でもただ昔をなぞるだけでもなく、でも、一つの20世紀の古典をきちんとここで魅せるという技が冴えている舞台だった。12人のなかで、誰が犠牲になるのかなというような出だしからの興味もあったが、これは眼の保養という方があたっている・・
照明(関根有紀子)で衣装(池田木綿子)の色が消えたり鮮やかになったり、音楽は録音ものだけに、そちらの部分に特に注意が行く。使用音源は、ワレリー・ゲルギエフ指揮のキーロフ歌劇場管弦楽団(1999)ということ。

http://aihall.com/lineup/gekidan109.html から引用:
アイホールダンスコレクションvol.74  Co.山田うん『七つの大罪』/『春の祭典』
21日(土)15:00 22日(日)15:00
繊細かつダイナミック、新進気鋭の注目ダンサーたちの鍛え抜かれた身体による生命力溢れるステージが評判のCo.山田うんがアイホール初登場。
「春の祭典」は、ロシア音楽界の巨匠であるイーゴリ・ストラヴィンスキーが1913年に発表し、20世紀のダンスと音楽に革命を起こしたバレエ音楽。昨年、この「春の祭典」が誕生してちょうど100年ということで、世界各国で新たな振付が発表されています。Co.山田うんでも2013年に初演し、迫力の群舞で話題を呼んだ『春の祭典』を、伊丹版として再構築。新作デュオ『七つの大罪』と合わせて上演します。
『七つの大罪』振付・演出 山田うん 音楽 芳垣安洋、クルト・ワイル
原詩 ベルトルト・ブレヒト
出演 [ダンス] 山田うん、川合ロン
[音 楽] 芳垣安洋、高良久美子、太田惠資、助川太郎
作詞原作ベルトルト・ブレヒトによる歌つきのバレエ作品『七つの大罪』。 主人公アンナが「怠惰」「高慢」「激怒」「飽食」「姦淫」「貪欲」「嫉妬」という7つの罪に翻弄されずに7都市を旅して、無事、故郷に帰るまでのストーリー。 この教訓的物語には資本主義経済社会への痛烈な批判が隠されています。 ブレヒトの台本ではアンナの心の葛藤を描くにあたり、人間的なアンナと理性的なアンナという2人のアンナが姉妹として登場し、人間的なアンナをダンサーが、理性的なアンナを歌手が演じることになっていますが、Co.山田うん版は山田うんと川合ロンが男女のデュエットで2人1役、または1人数人役を含み、人間の愚かさを謳歌します。 クルト・ワイルの音楽を現代に再生させるのは、打楽器奏者/作編曲家の芳垣安洋。自ら率いる音楽集団オルケスタ・リブレ『三文オペラ』でブレヒト作品への独自の取り組みが注目を浴びる芳垣安洋が、このたび山田うんとタッグを組み、音楽とダンスのコラボレーションの大いなる可能性を探ります。
『春の祭典』振付・演出 山田うん 音楽 イゴール・ストラヴィンスキー
出演
荒悠平、飯森沙百合、伊藤知奈美、木原浩太、小山まさし、酒井直之、城俊彦、西山友貴、長谷川暢、広末知沙、三田瑶子、山下彩子、山田うん
100年前に奇抜だった音楽も今では普通です。にもかかわらず今の時代になっても『春の祭典』といえば奇抜なアイデアやダイナミックな演出で新しい価値観を提示するというのが『春の祭典』の暗黙の常識となっています。 私にはこの音楽が何か奇抜なことをするための音楽には聴こえず、ただただ単純にエネルギッシュなダンスミュージックであると感じました。 とことん聴いて音楽の持つ多様なリズムと複雑な和音を体に響かせて振付を考え、スコアを読んで構造を捉え、「舞台芸術として見せるダンス」以前の「狂うほどに元気に踊るダンス」を作りました。山田うん
20世紀のダンスと音楽に歴史的革命を起こした『春の祭典』(1913)の誕生100年を記念して2013年に初演されたCo. 山田うんの人気レパートリー。 音楽の流れや特徴に何一つ逆らうことなく、一音一音、その音楽とピッタリ寄り添うように振付をしていくことで、まるで音楽より前に動きがあったかのようにさえ感じる、ダイナミックかつ繊細な振付の群舞です。 各地で話題を呼んだ、ダンサーの鍛えられた肉体による生命力溢れる迫力の群舞が、いよいよ伊丹に初上陸!>


MONO第42回公演『ぶた草の庭』ヘップホールへ。
いつものMONOのメンバーたち。いつもどおりの特質を保持しているのが、なんか、絶妙なんだなあ。
水沼 健さんは、リーダーとかになりがちなのだが、いつのまにか取り残される。奥村泰彦さんは、いつも自分は女性に愛されると勘違いする。尾方宣久さんは忠実な部下だったのがいつの間にかリーダーになったりする。金替康博さんはいつもちょっとのろのろしていたり頭のネジが緩んでいたりするけれど喧嘩にならないような役目をしたりする(今回はそれはなかったが、悲しい夫の役)、土田英生さんはあんまり出ない役で、かっこいいような役にはならないように抑制している(たぶん)。

ゲストも5名。山本麻貴さんはお馴染み。ハスキーな声はMONOに溶け込んでいる。もたい陽子さんは多分初めて。今回気の強い妻の役で登場し・・高阪勝之さんも初めて、若手との交流の一貫。高橋明日香さんも若手だけれど、『空と私のあいだ』に出ていたが、今回はヤンキーぽい役。松原由希子さんも若手で初めて。やっぱり、若手女優さんがいると幅が出る。


(実は、またABCホールと間違い1000円タクシー代を使ってしまったが、2度目なのであんまりビクつかなかったw)。110分ぐらいか。でも、あっという間。終わりが実に印象的で、ああ辺野古のボート・・と思うが、それまでも、展開が読めるようで読めず、でも、そうだよなあと思うこともいっぱいあり。

「橋を渡ったら泣け」「赤い薬」「燕のいる駅」とかとも関係すると思ったが、土田英生さんによると、昔に戻り「きゅうりの花」(1998)あたりからの再構築だったそうだ。

虫食(ガンジ山の人びと:でも全員でもないようだな)の話があり、不治の原因不明なヨコガワ病へのかすかな希望へとすこし出るところも意外感を醸し出しているし、記憶がなくなることの恐怖と真逆の展開にもさすがな人間愛だよねということもあって、いやあ、ダンスと違い、すべてネタバレになってしまうのが、残念。以下、HPなどからの引用:

・・・・・
みんなもうすぐ死んじゃうね。人は希望を抱くから苦しむの?
絶望の中、それでもこれは喜劇なのだ。
ほっとけないダメ男を演じさせたらピカイチの愛すべきMONOが登場!作・演出を手がけるのは、舞台だけでなくドラマ「斉藤さん」「斎藤さん2」、2015年1月より放送の「保育探偵25時!!〜花咲慎一郎は眠れない」の脚本も手がける土田英生。たいへんな状況のもと、追い詰められれば追い詰められるほどに輝きを増す、ほっとけない男たちが、かわいい若手キャストを迎えてお届けする大人のコメディ!
作・演出:土田英生
出演:水沼 健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生、山本麻貴、もたい陽子、高阪勝之、高橋明日香、松原由希子
舞台美術 柴田隆弘  照明   吉本有輝子
音響   堂岡俊弘  衣裳   大野知英 [iroNic ediHt DESIGN ORCHESTRA]
演出助手 磯村令子  舞台監督 青野守浩  イラスト 川崎タカオ
宣伝美術・宣伝写真 西山英和・大塚美枝[PROPELLER.]
WEB製作 間屋口 克  制作   垣脇純子・本郷麻衣・小山佳織・谷口静栄
協力 男肉 du Soleil ・kitt・匿名劇壇・リコモーション・る・ひまわり
   真昼・みみくり・radio mono
助成 文化庁文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)
企画・製作・主催 キューカンバー
京都芸術センター制作支援事業
”これは違うって。ただのアザだよ”男は答える。
一瞬の間があって、皆は笑う。軽妙な会話、愉快な時間。
彼はきっと明日死ぬ。まあ、みんなだって同じなんだけど。
雄大な景色とぶた草の生い茂る庭。
えっと……人は希望を抱くから苦しむの?
MONOの新作。絶望の中、それでもこれは喜劇なのだ。
・・・・・・


<出演者> ※以下敬称略()内は個人的な見解です。
水沼 健…山岸正巳役(施設でのリーダー的存在)
奥村泰彦…高台浩宇役(美帆は姪っこ)
尾方宣久…坂木俊役(元担当管理者で山岸の後輩)
金替康博…南ノリト役(江里奈の夫)
土田英生…高台暁明役(浩宇と同じ郷里の出身)
山本麻貴…柳原裕香役(山岸の良き理解者)
もたいようこ…南江里奈役(ノリトの妻)
高阪勝之…籾山オサム役(国から派遣の担当管理者)
高橋明日香…高台美帆役(浩宇は叔父さん)
松原由希子…川口ナオ役(最初キレキャラの美少女)
by kogure613 | 2015-03-21 22:11 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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