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黒沢清『岸辺の旅』イオンシネマ久御山

2015/10/25(日)

妻と映画を映画館で観る。9時に開くまでうろうろ。ずいぶん風が冷たくなった。

黒沢清『岸辺の旅』をやっぱり映画館で観てよかったとしみじみ。

イオンシネマ久御山の3番の会場。僕らを入れて8名だった。

音楽がおや?と思うぐらいオーケストラ的な盛り上がりに2回ほどなる。結構、心境や情緒的な使われ方やな、そうか、メロドラマ的な骨があるからだろうな。

でも、無音になるところがこれも2回ぐらいあって、逆にメリハリになるし、や、おお、という気持ちを作るのもまたクロサワ流だろうな。

黒沢清映画的には、お馴染みのカーテンのゆれと半透明の区切り。

全編に登場する半透明のレースカーテンが風で揺れる。トウキョウソナタからの続きのようなピアノのレッスン。主人公の薮内瑞希がピアノを教えることを職業にしている。だが、どうもテンポが・・・映像がなにか薄暗く、色もあんまりついていない、とりわけはじめの方は。

3年間探し続けていた夫、優介(病院の歯科医:不倫相手あり:松崎朋子)が、明るい茶色あるいはダークなオレンジのコートだけで闇から出てくる。

富山の沖でカニに食べられて跡形もなくなって、そこから死人として、旅をしてきたという。その旅と死人である夫と瑞希(死んでしまおうかとかいうが生きている)がたどり直す。


関東の田舎。東京から日帰りぎりぎりというぐらいのところを3ヶ所。初めは、新聞販売所。このビルがなんかとてもホラーチック。

ベッドが病院のもののようだな、とか、あれこれ。鮮やかな花のバックがすごかったな、そして・・・

2番目は、食堂。餃子だから宇都宮とかの近くかしら。そこで、使わなくなったピアノがキーにまたなる。

突然怒り出すということが繰り返される。怒るというのは、自分が封印している自分の過ちが噴出するからなのだが・・・

DV的な家族における消せない思い出。


なるほど、生きている人と死んでいる人が地域の片隅にいる、とりわけ、古い建物とそこの家族住人における過去のドラマのなかで蘇るロードムービー。


一度、瑞希は、東京に戻る。不倫の相手に会うために。小津映画のような正面切り返しが効果的だ。

最後は滝のある田舎の村。お茶畑があるから、静岡県だろうな。海もあるし。

岸辺というのは、川でもあり、海でもありうる。滝というのもその奥は冥界だろうし。

アインシュタインのお話がとても印象的。とてもむずかしい物理の教室がメインの黒沢映画を思い出す。


月。満月。昼に下弦の月。ラストの曇り空からのぞくのが3回目か。


黒沢清『岸辺の旅』(128分、2015年、ショウゲート配給)、イオンシネマ久御山、920から。

原作:湯本香樹実、脚本:宇治田隆史、黒沢清、撮影:芦澤明子

深津絵里:薮内瑞希、浅野忠信:薮内優介、小松政夫:島影、村岡希美:フジエ、奥貫薫星:谷薫、蒼井優:松崎朋子、首藤康之:瑞希の父、柄本明:星谷

ゼネラルプロデューサー:原田知明、小西真人

エグゼクティブプロデューサー:遠藤日登思、青木竹彦

プロデューサー:松田広子、押田興将

コープロデューサー:松本整、MASA SAWADA

<「岸辺の旅」死者と共にあること、性をかつてなく呑み込んだ黒沢映画の新しさ

 夢ではない、幻でもない。まざまざとした感触で彼岸と此岸の境界を踏み越えてくる死者。それは黒沢清の映画の中でいっそ見慣れた光景として存在してきた。新作「岸辺の旅」は同様にあっけなく在る死者を差し出しながら、逞しく拓かれた新生面でどきどきさせてくれる。

 日常と地続きの感触を伴ってこの世を再訪する死者、優介は「俺、死んだよ」などと涼しい顔でいう。かたや妻、瑞希の方もノンシャランと死者の出現を受容する。そんなすべり出しの場面に不協和音にも似たひっかかりをもたらすのがキッチンに黒々と立ちはだかる柱だ。夫と妻の生と死の境を超えた再会の場にそれを食い込ませて、見えない違和感、わだかまりを示しつつ、映画は再びあっけなく夫と妻、死者と生者の旅を導き出す。

 道中には死と対峙する生がいくつもある。世界は死者に満ちていて、そのことが悲しみや悔恨や罪の意識をも押し流す親密な感情を映画にもたらしていく。死者と共にあること、生きることが日々を支える明澄な覚悟へと収斂されていく。そうやって死を朗らかに平らかな日々の景色とし得たことは今年、還暦を迎えた監督の年齢とも無縁ではないかもしれない。だとしたら性をかつてなく呑み込んだ黒沢映画の新しさをそこに確認してもいいだろう。愛の主題を迷いなく謳いあげる壮麗な音楽、シネスコ・サイズに切り取られるヒロインの顔の有無をいわせぬアップ――確信犯的にメロドラマの作法を取り込んでいる点も新たな試みとして見逃せない。

 表裏一体の生と死の道行を通じて映画は信頼という未踏の領域へと至る夫婦の愛の旅を完遂する。さらさらと流れる小川の陽だまりに立ちのぼる透明な寂寥の感覚にも似た懐かしさを探り当てる。記憶は思い出す人の今にこそあるといいたげに原作と異なる現在進行形の物語りを貫く映画は、前へ前へと進む人の涙ぐましさを差し出してもう一度、監督の真新しい世界を思わせる。(川口敦子) 映画.com >




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by kogure613 | 2015-10-25 21:57 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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