イベントデザイン論 復習のための穴埋め など
2015年 11月 21日
イベントデザイン論 復習のための穴埋め的チェック 2015-11-20
(A)
☆ 日本では、イベントとは、思いがけない出来事のうち、自然現象を除いた人為的なものを指す。したがって、イベントとは、人が創るものである(①)の一つであることは言うまでもない。ただし、①は、人が創り学んだり伝えたりするものと定義できるから、継続しない単なる「(②)のイベント」は、①度が薄いということもできる。
☆ イベントの要件としては、人為性(仕掛性)のほか、一期一会であるというライブ感覚を大事にする(③)がある。テレビ・映画などはライブではないので、一応、イベントといわないことになる。しかし、映像をわいわいみんなで見るなど、映像を伴う③のライブというものもありうる。つまり、③は、時間と空間の同時共有、一緒にみんなといる「一体感」、直接性、身体性「びんびん、響く」などが特徴となる。
☆ また、イベントの要件の3つ目として、「思いがけなさ」、「驚き」を巧みにコントロールし参加者の安全を確保するために、プログラム化された(④)や振付が必要である。ただし、イベントには、(⑤)(“参加者は夢中で操られる”)や、支配性(“参加者自身の判断は放棄される”)が生まれるという危険がある。
☆ 参加者の心理は、イベントの依頼主とイベンターにとっては、操縦する対象であり、操縦を効果的にするために、さまざまな技術を用いる。たとえば、照明、音響、舞台装置、スモーク、振動などである。④に目を奪われて、イベント依頼者の意図に気づかずに、差別的なヘイトスピーチに加担したり、宗教的な布教の場に遭遇し無意識に振付されて(⑥)に至ることもあるので、注意が必要である。
☆ イベントの4つ目の要件は、イベントが発するメッセージがいかに届くかに関わる(⑦)である。芸術作品においては、コマーシャルフィルムのように⑦が強調される場合と、鑑賞者の解釈の自由余地を大きくとるために⑦が背景に沈むものとがある。通常、クラシック音楽の公演では⑦は特に強調されないが、たとえば、東京や金沢、大津などで行われている、フランス・ナント市が発祥の音楽祭、「⑧」(熱狂の日)のように、毎年テーマが設定されることで、特徴を出してイベントのマンネリ化を防いでいる。
☆ 要件の最後は(⑨)である。⑨は、いままで興奮性としていたが、興奮性とともに、興奮と対極にある静寂のなかの聴取のような日頃とは違う沈黙性を含むことにする。また、イベントの参加者が⑨を感じ夢中になれるのは、日頃の地位や身分、役割のなかにいる自分から逃れるために必要な、(⑩)に由来するとも考えられる。
以上、人為性、③、④、⑦、⑨がイベントの5つの要件であるが、その比重は色々であり、実験的な芸術や、昨今話題の、インターネットなどで呼びかけ不特定多数が申し合わせて通りすがりを装い公共の場で前触れなく突如としてダンスや音楽などのパフォーマンスを行う(⑪)は、④や⑦はごくわずかであったりする。
(B)
☆ 芸術(アーツ)は、①のなかでも術①と言われるものの一つである(他は学術と技術)。
イベントとして用いられる芸術は、芸術の3分類のうちでは、音楽やダンスなどを含む(⑫)芸術が一番多い。もちろん、言語芸術においても、俳句や短歌などを中心にイベント化しているものもある。たとえば、愛媛県松山市では俳句甲子園を毎年開催している。これは、近代の俳句を形成した著名な俳人、(⑬)や高浜虚子を松山市が輩出したからである。
☆ また、(⑭)芸術の一つである絵画や彫刻、写真、そしてリュミエール兄弟によって(⑮)年12月28日にパリで誕生した映画もまた、映画祭として都市を彩るイベントになっている。たとえば、イタリアのヴェネツィア(ベニス)では、美術のイベント、ヴェネツィア・ビエンナーレとともに、ヴェネツィア国際映画祭が開かれ、1951年には、(⑯)監督の『羅生門』に金獅子賞が、また、2005年には宮﨑駿氏に栄誉金獅子賞が贈られている。
☆ ⑫芸術のなかでも音楽は、野外や街中でも開催が可能であり、⑧のようなクラシック音楽のイベントのほか、ロックやジャズ、フォークやレゲエなど様々なフェスティバルが開催されている。
☆ 日本におけるフォークソングの草分けの一人に、元六文銭の(⑰)がいる。⑰は、この数年、滋賀県の障害者らの音楽祭の総合プロデューサーとして活躍している。フォークソングはもともと民謡という意味であるが、民謡を元としたポピュラーソングをも指し、反戦フォークのような社会的現象をもたらした(関西では、岡林信康、五つの赤い風船など)。新宿西口地下でのフォークゲリラ(1969年)は、いまの⑪の草分けとも言え、イベント学的に言えば、常設の芸術場(イベント場)ではない、(⑱)のイベント場のサンプルということができる。
☆ ⑰の総合プロデュースによって毎年行われている、「(⑲)記念賞音楽祭」は、栗東市芸術文化会館さきら大ホールで行われ、知的障害児教育の父、⑲(有名な言葉に「この子らを世の光に」がある)を記念するとともに、障害者独自の表現を開花するワークショップの成果発表として独自のイベントとなっている。
☆ 障害者など正規の芸術教育を受けていない人による美術を、フランス語で「⑳」と呼んだのは、現代美術家のジャン・デュビュッフェであり、英米では⑳を「アウトサイダー・アート」と呼ぶようになった。⑳は美術分野であるが、その⑫芸術分野は、滋賀県においては「アウトサイダー・ライブ」ととりあえず呼ぶようにしている。
☆ 毎年、各地のお盆の時期には、盆踊りという地域イベントが催される。遺影を背負う盆踊りという習俗があるところもある。位牌を腰につける地域もあり、盆踊りは、帰ってきた死者とともに過ごす民俗週間である。この、盆踊りや遺影は、非専門家のよって行われ、鑑賞する人も非専門家なので、(㉑)と分類することができる。この㉑(マージナル・アーツ)という言葉は、思想家、(㉒)の造語である。
☆ 四国の徳島では、盆踊りから進化した、(㉓)が展開され、これも、市内の各所で、⑱のイベント場に変容された⑨の光景を目撃することができる。㉓に刺激されて、戦後、高知市でも(㉔)が㉓の直前に催され、その踊りは全国に広まっている。このような踊りは「参加する踊り」と分類でき、「鑑賞する踊り」である、バレエや能、日本舞踊などの伝統舞踊や、モダンダンスや舞踏、(㉕)と呼ばれる現代的舞踊とともに、舞踊(ダンス)分野を形成している。
①文化、②一過性、③一回性、④演出性、⑤操作性、⑥洗脳、⑦伝達性、⑧ラ・フォル・ジュルネ、⑨非日常性、⑩匿名性、⑪フラッシュモブ
⑫実演、⑬視覚、⑭正岡子規、⑮1895、⑯黒澤明、⑰小室等、⑱仮設、⑲糸賀一雄、⑳アール・ブリュット、㉑限界芸術、㉒鶴見俊輔、㉓阿波おどり、㉔よさこい祭り、㉕コンテンポラリーダンス
イベントデザイン論 いままでの振り返りといくつかのポイント 2015-11-13
☆ 音楽をいかに多くの人に伝え、楽しんでもらうかを工夫する手法の一つに、コンサート、リサイタル、ライブ、ロックフェス、ジャズフェスなどのイベントがある。(他の工夫は?)
☆ 音楽堂(リサイタルホール・・クラシック音楽)やライブハウス・クラブ(ポピュラー音楽)という専用イベント場(=芸術場)のほか
☆ 多目的施設や、野外のスペースなど一時的(テンポラリー)なイベント場づくりも行われる。
照明や音響、防音、自然条件のコントロールなどの大変さ⇔思いがけなさの効果、アクセス
☆ 最近では、フラッシュモブ的なサプライズでのPRもときどき行われる(大阪シオン https://www.facebook.com/OsakaShion/)
☆ 踊りというのとダンスというのではずいぶん違うイメージがあるが、同じ実演芸術(パフォーミングアーツ:他は?)の一つのジャンル。
☆ 舞踊(=ダンス)には、大きく分けると観る舞踊(古典とコンテンポラリー)とする舞踊(お祭りダンスとお稽古ダンス)に分かれる。
☆ 高知のよさこい祭りと徳島の阿波おどりなど、体験するとともに見せることも可能なテンポラリーで大規模な踊りイベントもある。ここは、全国に広がっていることも注目すべき点。
☆ イベントの要素(5つ)とイベントの種類、そしてイベントの目的も復習しておこう
☆ ここでは、イベントの発注元の意図と、発注されて請け負うイベンター(イベント会社、実行委員会など)、そして、イベント享受者(参加者、消費者、鑑賞者)の3主体にも注目しておく
☆ イベンターの動機は芸営者(アーツマネージャー)の5つの動機の一部か全部である
《 芸営者(アーツマネージャー)の動機づけによる芸術営分類 》
動機の種類 | 説明 公共性根拠との関係 |
1)社会提供動機 | 「見たいものが見たい」 格差是正 |
2)継承復活動機 | 「見られなくなったものを見たい」 文化遺産説 |
3)時代批評動機 | 「見たくないものも見よう」 社会批判機能説 |
4)新規創発動機 | 「見たこともないものが見たい」 イノベーション説 |
5)限界芸術動機 | 「見過ごされているものをしっかり見よう」 限界芸術環境形成 |
☆ 「見たいものが見たい」 たとえば、米国で流行を持ってくる・・
☆ 「見られなくなったものを見たい」・・過去の再現・・分かりやすい歴史のもの
☆ 「見たくないものも見よう」 ・・お化け屋敷などはイベンターでもあり
☆ 「見たこともないものが見たい」・・芸術の新規創造の動機だが
☆ 「見過ごされているものをしっかり見よう」・・・小さな祭りに注目⇐人生イベント論として注目したいもの