ヒラ・メダリア『キャノンフィルムズ 爆走風雲録』
2016年 07月 07日
<【 概要 】
キャノン・フィルムズを率いて、80年代ハリウッドに大旋風を巻き起こしたイスラエル出身の従兄弟メナヘム・ゴーランとヨーラム・グローバス。
映画監督でもあるメナヘムとプロデューサーとして高い資質を持つヨーラムのコンビは、低予算のジャンルムービーを次々に製作し、「デルタ・フォース」「暴走機関車」そして「狼よさらば」シリーズなど、当時のメジャー映画会社を超える制作本数でヒットを量産。
巨万の富を稼ぎ、一時代を築いていく。
その一方で、ゴダールやカサヴェテス、アルトマンなど商業主義とは一線を画す映画作家たちの映画へも出資するなど、映画の道の全方位へと二人は突き進んだ。
しかし、情熱で始めた映画は、やがて大きな資本の流れにまみれ、二人の関係にも亀裂が入っていく・・・。
本作は、2014年に惜しくもこの世を去った、メナヘム・ゴーランのキャリアを振り返るだけでなく、映画にその情熱、愛情の全てをそそいだ二人の友情、確執と離縁、そして融和を描き、新たなる時代の「ニュー・シネマ・パラダイス」とも呼べる作品となっている。>
<【 キャノン・フィルムズ 】
デニス・フリードランドとクリストファー・C・デューイによって1967年に設立されたキャノン社を、79年にゴーランとグローバスが買収。
その後は二人の製作方針により、低予算のさまざまなジャンルの映画を次々に製作。
その中で「地獄のヒーロー」(1984年/ジョセフ・ジトー監督)、「ブレイクダンス」(1984年/ジョエル・シルバーグ監督)、「デルタ・フォース」(1985年/メナヘム・ゴーラン監督)などのヒット作を生み、更に勢いは加速、86年には年間製作本数が46本となるなど、ハリウッドのメジャー会社をも遥かにしのぐ製作体勢を築き上げた。
その一方で、ジョン・カサヴェテス「ラヴ・ストリームス」(1984年)、ロバート・アルトマン「フール・フォア・ラブ」(1985年)、ジャン=リュック・ゴダール「ゴダールのリア王」(1987年)などシネフィル向けの小規模映画も手がけ、映画製作における懐の深さもみせた。
しかし80年代末になると財政が悪化。
実質的な倒産状態になったが、フランスのパテ社の援助を得てかろうじて存続。
しかしそこにおいてもゴーランはこれまで通りの映画作りを続けようとし、財政面を受け持つグローバスと衝突。
自由な映画作りを求めてゴーランはキャノン社を辞め、グローバスとは袂を分かつことになる。
その後もグローバスはキャノンでの映画製作を続けるが、94年に倒産。
キャノン社はMGMに統合された。>