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早川洋行『流言の社会学―形式社会学からの接近』

2016/7/19(火)
読みだして色々勉強になりそうな本。
早川洋行『流言の社会学―形式社会学からの接近』(2002年、青弓社)。
14年前の発行なので、学生などは古いとかいいそうだが、逆に、ラッキー、最近の流言については自分で調べてうまく当てはまるかどうかチェックできると思うといいねと教えることができそうだ。それに、ジンメル社会学、僕も社会学の中でも大好きの一つだし・・

p18「流言とは、コミュニケーションの連鎖のなかで短期間に大量に発生した、ほぼ同一の内容の言説をいう」
p20「流行語は、話し手と聞き手の共通の知識の世界を楽しむ行為である」
p23「ゴシップとは根拠の有無を問わず、他者を積極的に意味づける言説と考えればいいだろう」
p27「伝説とは地域限定で時間軸において垂直に伝搬した物語である」。垂直伝搬としては、伝説以外に、昔話、神話、言い伝え、諺がある。

言説についても解説いるかも。ディスクールの翻訳語。言説行為の結果の言葉群、もの言い。言葉の一かたまり。

今日と来週で授業が終わる。今日はレポート提出日(「文化を大切にする公共政策について、事例を挙げて説明するというようなもの、字数は少ない」。来週、まとめなどをしたあとに確認テスト。問題はすでに示しているが、持ち込みなしで行う。1回生中心の授業だが、2回生も取っていて、すこし対応が難しいこともあったなとか思う。

文化領域では学生に馴染みやすいのは映画(音楽もあるが、少し拡がりが少ないので、2回生後期の「イベントデザイン論」でライブや街なか踊りのところでたっぷり取り上げる)。
ただ、映画論では、最近は映画誕生の歴史と日本の古典(溝口健二、小津安二郎、木下惠介)を取り上げ、映画を監督中心で鑑賞しようということで、原恵一さんとともに黒沢清さんを去年までは取り上げていたが、黒沢清論の方は断念してしまった。

アーツのはじまりとしての超自然的存在=河童(妖怪)⇒ホラー(幽霊)で、うまく二人の監督論へと橋渡しできたのだが、これは、文化プロデュース入門だからできた流れだったわなとちょっと淋しモードw
でも、代わりに『幕が上がる、その前に』の前半を使って、平田オリザさんのワークショップを中心に見せて、映画と演劇の違いと連続性を示す。どうしても、演劇へのアウトリーチにしたいなという思いは断つことができないからだ。

部長会の前、研究室でレポートを読みだしていたら、2年前のうちのゼミの卒業生K本さんと観光ゼミの卒業生が来た。
新しい校舎を案内したらびっくりしていて面白かった。

昨日、facebookを見ていたら、芸団協の方が、文化経済学会が20周年になるのに、芸術団体の研究がないこと、芸術団体に国などの支援があるのに、その実態調査が国などでできていないという指摘があって、僕も芸術営(アーツマネジメント)論でも、芸術場研究だけではなく、芸術団研究の重要性を強調している今日このごろなのでやっぱりねと思う。まあ、研究者が、芸術創造・実演側ではなく、地域社会や行政の方に近い(芸術自体への関心や実際の鑑賞経験が少ないまま文化政策研究をする)ということから起きることだと思うけれど。


by kogure613 | 2016-07-19 22:18 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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