ダグラス・サーク『突然の花婿』1952年
2017年 01月 13日
017/1/13(金)
名前だけ知っていたダグラス・サークという監督の映画を最近見出したばかりだが、さすがにうまいし面白い。6作品目、『突然の花婿』。悪ガキの存在、主人公アルバとその新妻を邪魔するだけではなくなってしまうところが一筋縄にいかないところだし、子供だからこそだ。あと妻の母親の演技、裏表感も半端ではない。
ダグラス・サーク監督『突然の花婿』1952年、80分、ユニバーサル映画。
比較的有名な作品群は全く観ていない(中古しか無くそれがとても高い)のが残念だが、それでも1950年代というのは日本だけではなくハリウッドでも黄金期だったのかも知れない。
トニー・カーティス、パイパー・ローリー、スプリング・バイントン、ドン・デフォー
http://webronza.asahi.com/culture/articles/2013050700012.html より
<物語:ラスベガスでリー(パイパー・ローリー)はGIのアルバ(トニー・カーティス)と、秘密裏に結婚する。朝鮮戦争から帰還し、リーの実家を訪れたアルバは、彼女が結婚したことを支配欲の強い母親(スプリング・バイントン)に話していないことを知る。母親は、リーを彼女の務めるセメント会社の社長ストゥルプル(ドン・デフォー)と結婚させようと決めていた……>
『突然の花婿』の面白さのキモは、いかにして新婚ホヤホヤの夫婦を二人きりにしないか、という滑稽な状況を、あの手この手でひっきりなしに繰り出すサークの職人芸にある。つまり、いかにしてアルバとリーを二人だけにしないかという、その一点をめぐってドラマが転がり、笑いが弾けるのだ。もちろん、ラストはハッピーエンドである。
その点で本作は、コメディという形ではあれ、さまざまな障害や困難を克服した1組の男女がめでたく結ばれるという、ハリウッド古典映画の一典型だ。
そしてまた、こういう喜劇を撮れるかどうかが、じつは映画作家としての力量が問われる最大のポイントの一つなのである。――たとえば、ハワード・ホークスの“不肖の弟子”、ビリー・ワイルダーなどがこれをやると、俗悪で泥臭い作風になってしまう(『お熱いのがお好き』<59>のあのクドさ、冗長さ……)。
いずれにせよ、軽妙洒脱な、あるいは荒唐無稽な軽喜劇を撮れるのは、ホークス、エルンスト・ルビッチ、ジョン・フォード、プレストン・スタージェス、マキノ雅弘、中川信夫、そしてサークといった稀有の才能だけなのだ(それもまた、映画史における残酷な事実である)。>
これから、ぜひ見たいダグラス・サーク作品を挙げておこう。「僕の彼女はどこ?」(52年)、 「心のともしび」(54年)、「天の許し給うものすべて」(55年)、「自由の旗風」(55年)、「風と共に散る」(56年)、「翼に賭ける命」(57年)、「愛する時と死する時」(58年)、「悲しみは空の彼方に」(59年)。