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天下り斡旋事案の備忘録

2017/2/8(水)

校務の日。

天下り斡旋案件のための基礎知識を整理しておく必要がある。まずは、国家公務員法から。

http://www5.cao.go.jp/kanshi/gaiyou.html

国家公務員法に規定する再就職等規制は、

1 他の職員・元職員の再就職依頼・情報提供等規制

2 現職職員による利害関係企業等への求職活動規制

3 再就職者(元職員)による元の職場への働きかけ規制

の3つの規制があります。

1 他の職員・元職員の再就職依頼・情報提供等規制(国家公務員法第106条の2)

職員が、営利企業及び営利企業以外の法人(以下「営利企業等」という。)に対し、

他の役職員又は役職員であった者(以下「役職員等」という。)を、当該営利企業等又はその子法人に再就職させることを目的として、

ア) 当該役職員等に関する情報を提供すること

イ) 再就職させようとする地位に関する情報提供を依頼すること

他の役職員等を、当該営利企業等又はその子法人に再就職させるよう要求又は依頼すること

は禁止されています。

2 現職職員による利害関係企業等への求職活動規制(国家公務員法第106条の3)

職員が利害関係企業等に対し、

離職後に当該利害関係企業等又はその子法人に再就職することを目的として、

ア) 自己に関する情報を提供すること

イ) 再就職しようとする地位に関する情報の提供を依頼すること

再就職することを要求又は約束すること

は禁止されています。

国家公務員法 第八節 退職管理 第一款 離職後の就職に関する規制

(他の役職員についての依頼等の規制)

第百六条の二  職員は、営利企業等(営利企業及び営利企業以外の法人(国、国際機関、地方公共団体、行政執行法人及び地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項 に規定する特定地方独立行政法人を除く。)をいう。以下同じ。)に対し、他の職員若しくは行政執行法人の役員(以下「役職員」という。)をその離職後に、若しくは役職員であつた者を、当該営利企業等若しくはその子法人(当該営利企業等に財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。)を支配されている法人として政令で定めるものをいう。以下同じ。)の地位に就かせることを目的として、当該役職員若しくは役職員であつた者に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該役職員をその離職後に、若しくは役職員であつた者を、当該営利企業等若しくはその子法人の地位に就かせることを要求し、若しくは依頼してはならない。

2項以下略

(在職中の求職の規制)

第百六条の三  職員は、利害関係企業等(営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)に対し、離職後に当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束してはならない。

2項以下略

今度の文科省事案では、3つの規制のうち「他の職員・元職員の再就職依頼・情報提供等規制」と「現職職員による利害関係企業等への求職活動規制」違反ということになる。ただし、罰則はない(第百九条参照)ので、懲戒処分のみ。前川前事務次官は2ヶ月の十分の一減給。ところが1月で依願退職したので、減給されることもなく、5600万円とかの退職金はゲット。

天下り斡旋で辞任、文科省前事務次官の「華麗すぎる人脈」(伊藤 博敏) | 現代ビジネス | 講談社(1/2) http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50936

<文部科学省が、リクルート事件以来の激震に見舞われている。リクルート事件当時は事務次官が収賄容疑で逮捕され、今回は前川喜平事務次官(依願退職)が、審議官時代に自ら天下りの斡旋に口利きをしていたことが発覚した。
内閣府の再就職等監視委員会による調査を欺くため、人事課を中心に口裏合わせや想定問答まで作成していたことなどは、事務次官の単独犯罪だったリクルート事件に比べ、むしろ悪質といえる。映像は残酷だ。7日に行なわれた衆院予算員会の集中審議で、前川氏は「万死に値する」と頭を下げたが、違法性の認識については否定、死を持って償うほどの反省をしている様子はなかった。
文科省の天下り斡旋問題には二つのルートがある。ひとつは、人事課OBの嶋貫和男氏が、受入先の学校法人などと文科省を仲介し、人材をマッチングしていたルート。もうひとつは、前川氏が審議官時代に自ら斡旋の口利きをしたルート。
前者は国会審議のなかで、システムとしての組織的斡旋の構図が浮かび上がっているが、前川ルートはその陰に隠れて、それほど注目を集めてはいない。
120日に公表された監視委の報告書によると、当時文科審議官だった前川氏は、ある法人に再就職していたOBに対し、後任に他のOBを再就職させることを目的に退任の意向の有無を確認し、再就職先の情報提供を依頼するなどして法に違反した、としている。
ある法人とは、文科省の歴代幹部が長年にわたり天下りを続けている「文教協会」という団体を指す。今回の問題を受けて松野文科相が、補助金の支出や取引の停止を表明すると、突如解散を宣言したあの団体である。文科省がOBを食わせていくための丸抱え組織であり、天下り利権のひとつといわれるゆえんだ。
依願退職した前川氏は、推定5600万円の退職金を手に次官を追われたが、文科省幹部たちは「前川さんは退職金なんてなくても遊んで暮らせるはず」と異口同音に話す。その根拠となるのが、前川氏の華麗な人脈だ。麻布高校、東大法学部を卒業した前川氏は19794月に旧文部省に入省。初等中等教育局担当の審議官、官房長、文部科学審議官などの要職を歴任したあと、20166月に事務次官に就任した。入省時から「将来の事務次官」と期待されていた前川氏の出世とともに一族の威光にも注目が集まった。>

http://www5.cao.go.jp/kanshi/houdou.html

[文部科学省職員及び元職員による再就職等規制違反行為が疑われた事案に関する調査結果について] 

                      平成29年1月20日  再就職等監視委員会

当委員会は、標記事案について、国家公務員法(昭和22年法律第120号。以下「法」という。)第106条の20第1項に基づき、平成28年12月1日に委員会調査の開始を決定し、調査を実施しました。

この調査は、文部科学省大臣官房人事課職員による法第106条の2に規定する他の役職員についての依頼等の規制違反の疑い及び元文部科学省局長による法第106条の3に規定する在職中の求職の規制違反の疑いがあったこと、さらに当該再就職等規制違反行為について、文部科学省大臣官房人事課職員が隠ぺいを図ったことが認められたことから、法第106条の20第1項に規定する「特に必要があると認めるとき」に該当するものとして、委員会調査を行ったものです。

この委員会調査の結果、当委員会は昨日、

① 文部科学審議官及び文部科学省大臣官房人事課職員(役職はいずれも当時。以下同じ。)が、法第106条の2第1項の規定に違反する行為を行ったこと

② 元文部科学省局長が、在職中、法第106条の3第1項に規定する利害関係企業等である法人に対し、同項の規定に違反する求職行為を行ったこと

③ 文部科学省大臣官房人事課職員らが、①及び②の行為の発覚を免れるため、再就職等監察官に対し、隠ぺい行為を行ったこと

④ 文部科学省大臣官房人事課は、法が規定する再就職等規制を潜脱する目的で、文部科学省OBを介して再就職あっせんを行っていたこと

を認定し、文部科学省に対し調査結果を通知しました。本件調査結果等は次のとおりです。

【本件調査結果】

ア 文部科学省大臣官房人事課職員Y及びZは、上司である人事課長Xに報告の上、役職員である局長Vを、Vにとって利害関係企業等に該当する法人Aに再就職させることを目的として、Vの履歴書を作成・送付し、法人Aと採用面談の日程調整をするなどし、XもY及びZと共同して、法第106条の2第1項に違反したものと認定した。

イ 文部科学省局長Vは、利害関係企業等に該当する法人Aに再就職することを目的として、人事課職員Y及びZとともに履歴書を作成し、ZがVの履歴書を法人Aに送付した。また、VはY及びZを通じて法人Aとの面談日程の調整をした。これらは、いずれもVが在職中に行われ、実質的にはVの法人Aに対する求職活動であり、Vは法第106条の3第1項に違反したものと認定した。

ウ 文部科学省大臣官房人事課職員P及びQは、Zと協議の上、再就職等監察官に対し、人事課職員だったX、Y及びZ並びに元局長Vの再就職等規制違反行為が発覚することを免れようと、文部科学省OBで法人Aに再就職していた元職員Wを仲介とする虚偽の再就職等経緯を作り上げ、その旨関係者に供述させるなど、関係者と当該事案の隠ぺいを図った。

エ 文部科学省大臣官房人事課長であるOは、上記ア及びイの再就職等規制違反行為を認知し、部下であるP及びQによる上記ウの隠ぺい行為を認知したにも関わらず、法第106条の16に規定する違反行為の疑いに係る任命権者の報告をしないで、かえってこれを黙認し、上記ウの隠ぺい行為に加担した。

オ 当委員会の上記アからエまでの調査過程において、文部科学省大臣官房人事課は、元人事課職員で文部科学省OBであるRに対し、法人等からもたらされた求人情報や、現職・退職予定者・OBの個人情報等、様々な情報を伝え、Rによる再就職あっせんを行わせていたことが判明した。これは、法が定める再就職等規制を潜脱する目的をもって、当該枠組みを構築して運用していたものであった。

カ さらに、文部科学審議官Sは、上記オの枠組みを利用して再就職あっせんに関わっていたほか、ある法人に再就職していた文部科学省OBに対し、後任に他の文部科学省OBを再就職させることを目的として、その退任の意向の有無を確認して、再就職先の地位に関する情報の提供を依頼し、また、文部科学省退職予定の出向職員に退職後の再就職先を示して意向を打診し、それをOBを介して再就職先に伝えるなど、法第106条の2第1項に違反したものと認定した。

また、同様に人事課職員Y、P及びQも上記オの枠組みを利用した再就職のあっせんにおいて自ら同項に違反する行為を行ったものである。

・・・・

文部科学審議官S=前川喜平さん

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参考

文科省;「天下り」をあっせん 元幹部、早大へ再就職 事務次官辞職 http://tamutamu2011.kuronowish.com/monkasyouamakudari.htm



by kogure613 | 2017-02-08 22:08 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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