『みずのきとわたし O JUN 日比野克彦 中原浩大』みずのき美術館 中野信子『サイコパス』
2018年 01月 06日
2018/1/6(土)
亀岡市を通過することはよくあるのだが、下車するのは初めて。南口。西の方へ歩く。8分で、北町商店街に到着。理髪店のサインポール(青色はもう見えなかった)の回転のせいかどうか分からないがすっと通り越していて、戻ってようやく「みずのき美術館」に気づく。荒神橋の京都府のギャラリー、art space co-jinでチラシを見たために展覧会に行くことができたわけだ。
開館5周年記念展『みずのきとわたし O JUN 日比野克彦 中原浩大』みずのき美術館 2017年11月15日(水)〜 2018年1月21日(日)
大正時代の町家がそれまで理髪店として活用されていて、それを建築家・
乾久美子さんがリノベーションしたミュージアム。硝子の開口部がとても大きくて、商店街の行き来やウラの柑橘類の様子などが借景になる。地下もあってそこは映像など。2階へはスリッパ履き替えで、天井は吹き抜けの高さがあり、のびのびと鑑賞できる。
O JUNさん、日比野克彦さん、中原浩大さんが、障害者支援施設みずのきの人たちの絵を自分たちの作品と一緒に展示しているので、当日パンフの展示地図で確かめて見ていく。ただ、壁の展示で、これは日比野さんのね、とかこれはみずのきさんのか、とか想像してから確かめたりして遊ぶ。ボーダレスアートミュージアムNO-MAでも、アール・ブリュットと現代美術家と同じ階に同時に展示することは多いが、一応、作家ごとの塊になっている。みずのきの作家としては、高橋滋さん、堀田哲明さん、などなど。穏やかな作風の人が多いように感じる。
せっかくなので、亀岡市役所(外観は大きい)と道の駅ガレリアかめおかの場所を聞いて出かける。ガレリアでは成人式の準備をしているような若者の集団がいた。あとは親子連れ。ここも大規模な施設だ。
http://www.mizunoki-museum.org/exhibition/
<みずのき美術館は、開館から5年目を迎えました。開館以来、所蔵作品であるみずのき絵画教室の作品に向き合いながら、アート表現とは何か、あるいはアートがもたらすこととは何かについて考えつづけてきました。そして、考えるときのパートナーにアーティストを積極的に迎え、創造することへの感覚的な共感を基本に据えることにより、多様な考察の糸口を得るよう努めてきました。
さて、「みずのきとわたし」という、作文の題名になりそうなこの素直な名前の展覧会に、3名のアーティストが集いました。長年にわたる制作活動のある時点で、重い知的障害のある人たちの絵画と出会うことになった3名それぞれの応答に、わたしたちも対峙したいと思います。>
<みずのき美術館は、母体である障害者支援施設みずのきの創立5年目に開設された絵画教室(1964年〜2001年)から生まれた作品の所蔵と展示、そしてアール・ブリュットの考察を基本に据えた美術館として、2012年に開館しました。
私たちは、アートを個人の深い内面からの発信ととらえ、作品を通してさまざまな「個」に出会い、そして人間の多様性の理解へと広がっていくことを期待しています。これまで50数年間、重い知的障害の人とともに歩んだ施設だからこそ、「物言わぬ人」の真の思いを伝えたい、と切実に願っています。
現代社会において、多くの幸福の仕組みが次々創りだされてもなお一層人々は真の幸福について探し続けなくてはならない状況に生きています。私たちは、その答えの手掛かりをアートに託しています。>
1959年 亀岡松花苑(現・みずのき)開設
1964年 日本画家・西垣籌一による絵画教室が開始される
1980年頃 選抜メンバーによる絵画専門プログラムが開始される
1981年 第1回「土と色 ― ちえおくれの世界」展(京都市立美術館)
1983年 京展、行動美術展、二科展などに入選(〜86年頃まで)
1993年 「パラレル・ヴィジョン 20世紀美術とアウトサイダー・アート」展
同時開催「日本のアウトサイダー・アート」展(世田谷美術館)
1994年 アール・ブリュット・コレクション(スイス・ローザンヌ)に、アジアで初めて永久収蔵される(6名32点)
・・・・・
亀岡の行き帰りで、中野信子『サイコパス』(文春新書、2016年)を読み終える。「いじめ」と同じく、1%ぐらいの割合でサイコパスさんはいるということ。これも進化のなかでの割合だとすると、「おわりに」にあるように「好むと好まざるとにかかわらず、サイコパスとは共存してゆく道を模索するのが人類にとって最善の選択である」のだろう。
ただ、犯罪者になる「負け組サイコパス」対策、予防とともに、「勝ち組サイコパス」とはどう付き合えばいいのか。これは、サイコパシー的政治やサイコパシー的マスコミの世界からの脱却、そしてブラック企業撲滅などの課題に脳科学などがどう貢献するか、いろいろな模索が待っているのだろう。
歴史上の勝ち組サイコパスと言われている人物(彼女個人的には織田信長を挙げていて、あとは、研究者の説としての列挙:毛沢東、ピョートル大帝、ジョン・F・ケネディ、ビル・クリントン、マザー・テレサ、スティーブ・ジョブズ。