三隅研次『座頭市血笑旅』
2018年 02月 20日
2018/2/20(火)
帰って観た映画。
なかなかに面白かった。
赤ちゃんが可愛すぎる。また可愛がる気持ちが痛すぎる。コミカルな座頭市。かっこよさよりも孫が可愛くてすべてを投げ出しそうな若いおじいさんみたい。
盲目のあんまさんたちの集団善光寺参りも実に興味深い。
三隅研次『座頭市血笑旅』(ざとういちけっしょうたび、1964年、87分、大映)
座頭市:勝新太郎
お香:高千穂ひづる
宮木村の宇之助:金子信雄
了海:加藤嘉
文殊の和平次:石黒達也
音楽:伊福部昭
http://www.ne.jp/asahi/gensou/kan/eigahyou71/zatouichikessyoutabi.html
<シリーズ8作目。
目が見えないだけでハンデなのに、手のかかる赤ん坊を連れているという事が、さらに市のハンデとなって、その後の展開をサスペンスフルにして行く。
実は、この回は、シリーズお馴染みの強力なライバル的侍が登場しない。襲って来るのは、チンピラやくざ達ばかりである。つまり、本作の面白さは、赤ん坊を連れて、降り掛かる火の粉を払わねばならない市のピンチの連続と、その市が赤ん坊にどんどん感情移入して行く様の微笑ましさにある。
本当に、子供好きな市の人柄の良さが、後半になるにつれ、観客の胸を締め付ける事になる。
ヤクザで身体的ハンデを持つ市と赤ん坊は、いつかは別れなければならない事を知っているからである。
市は、途中で、訳ありげな女、お香(高千穂ひづる)と出会い、やがて、一緒に旅をするようになる。お香も又、赤ん坊に感情移入して行くようになる。ここに至って、市とお香の間に、子供の事をめぐる小さな諍いが起こったりして、これ又微笑ましくも哀れである。お香とて、赤ん坊を育てられるような、真っ当な暮らしをしている訳ではないからである。
一見、平凡な着想の物語なのだが、全編、アイデアが詰まっており、飽きさせない。
赤ん坊を抱いたまま博打をする市の姿は、サスペンスフルであると同時に滑稽でもある。…>