佐々木譲『ストックホルムの密使』

2018/3/28(水)

10時から、新しい学舎の竣工式。

そのあと、4回生になるゼミ生の就職相談。

13時から会議。

16時からの橘セッション。

18時半からは、京都市市民活動総合センターの会議。

読み終えた小説。

逢坂剛さんに匹敵するなあと思いだしている佐々木譲さん。

佐々木譲『ストックホルムの密使』上下、1997年、新潮文庫、1994年単行本。

<パリに暮らす博打打の不良日本人森四郎はゲシュタポと揉め事をおこし国外追放の身となり、スウェーデンに来た。そこで駐在武官の大和田から極秘情報をベルンの日本大使館に伝えてほしいと依頼される。最初はしぶる森だが武官夫人の人柄に触れ承諾、亡命ポーランド人将校のコワルスキとベルンを目指す。しかし大使館での接触に失敗、紆余曲折の末シベリアを横断し日本を目指すこととなる。一方、海軍省書記官の山脇は海軍の和平派首脳とともに終戦工作に動いていた。彼の身辺を追求する憲兵将校秋庭は、憲兵隊の中に米内暗殺の気配を察知するのである

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<この三部作は基本的にはどれから読んでも面白いが、やはり『ベルリン飛行指令』『エトロフ発緊急電』『ストックホルムの密使』の順に読み進めていくべきだろう。
 三作すべてに出てくる海軍省の山脇順三書記官と妻の真理子。第一作でベルリンまで零式戦闘機を飛ばした安藤啓一大尉。前作で日系の米国スパイ、ケニーを北の果てまで追跡した磯田憲兵隊曹長と秋庭憲兵少佐は本作にも登場する。三部作は太平洋戦争の進捗に推移する形で物語が展開していくのだ。
 この三部作を読むと、山脇など海軍省の事務方はイケイケの陸軍に対して、日米開戦については端から否定的だったことがわかる。
 それでも海軍は開戦やむなしとなって真珠湾の奇襲に雪崩れ込んでいく様は、史実の力学に抗うことが出来なかった日本の宿命を、佐々木譲がある種「神の目線」で綴っているといった方が的確なのかもしれない。
 欧米の列強が日本を追い込み、包囲して孤立させていったのは事実だろうし、そこに勝てるはずのない戦争を勝てると主張する力が加わったというのが開戦の実際なのだろう。しかしそうなるように仕組んだのは連合国だったのか、日本自身だったのか。
 もちろんゼロ戦が遥か彼方のベルリンまで旅立った牧歌的な英雄譚も、数年後には原子爆弾の投下という未曽有の悲劇で決着するという、戦争そのものの形が大きく変貌する時代の空気が通奏低音になっていることも見逃してはならない。
 第一作ではやや軽薄に描かれ、戦争そのものを冷ややかに傍観していた山脇も、本作では妻子を抱えて空襲の中を逃げ、憲兵隊の圧力の中に身を投じていく。この三部作での山脇のそれぞれの動きを見れば、佐々木譲が描きたかったことの一端が垣間見える。
 『ストックホルムの密使』も前二作同様に、戦争の時代の中で活躍した個人の話だ。そして前二作のそれぞれのヒーローが皆、国家にアイデンティティを帰属させていない男たちばかりだったのと同様に、本作のヒーローともいうべき森四郎もまた博奕打ちとしてパリの享楽の中に身を投じ、ゲシュタポによってドイツへ送還された後に国外退去となる無頼人として描かれている。>
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by kogure613 | 2018-03-28 22:51 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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