チャン・フン『タクシー運転手 約束は海を越えて』 梶村啓二『野いばら』

2018/7/16(月)

海の日。

祇園祭で京都市の中心部は混雑しているのだろう。

1215から、出町座で『タクシー運転手 約束は海を越えて』があると言うので、出かける。

このミニシアターは2回目、最初が『新感染 ファイナル・エクスプレス』だった・・どちらも地下の方でどちらも韓国映画。それも移動するものだし、人が大勢死ぬ。個人的には『タクシー運転手』は、NHKのドキュメントを観たあとだったし、ラストが淡々としていたこともあり、いい映画だけれど、想定内だったかも。それに対して、『新感染』は何も知らないまま観たこともあり、ラスト近くになると体が震えていた。

中国では天安門事件を連想するので、話題すらできないという。

前半のコミカルな主人公、ソウルのタクシー運転手キム・マンソプの少しずっこけぶりが面白い。熱くて優しいのだが、10万ウォンの家賃滞納を解消するために、危険を知らずに外国人記者を乗せてしまう。逃げようとしたり、取引をしたりしつつ、強い友情が危機の中で生まれる。広州のタクシー運転手たちも最初は随分と批判していたのに、とても友好的だし暖かい。都会のソウルとは違う田舎風。

軍隊がデモを鎮圧する。反社会的勢力とか「アカ」として、冷戦下、特に北朝鮮政権への対峙から、銃まで発砲してしまう事態になってしまったのだろう。そして、メディアの姿勢。平気で嘘をつき、電話を不通にする。なんとなく、日本の現在にもつながるのが悲しいところ。

チャン・フン『タクシー運転手 約束は海を越えて』137分、2017年。

キム・マンソプ: ソン・ガンホ

ピーター: トーマス・クレッチマン

ファン・テスル(光州のタクシー運転手):ユ・ヘジン

ク・ジェシク(通訳担当の大学生):リュ・ジュンヨル

19805月に韓国の全羅南道光州市(:光州広域市)で起こった民主化を求める民衆蜂起の光州事件が描かれている。史実においては全斗煥らによるクーデターや金大中の逮捕を発端として、学生や市民を中心としたデモが戒厳軍との銃撃戦を伴う武装闘争へと拡大していった。作中ではソウルのタクシー運転手キム・マンソプは、10万ウォンと言う高額な運賃が得られることを期待し、ドイツ人記者のピーターを乗せ光州へと車を走らせ、検問を掻い潜り光州へ入る。そこでピーターは軍による暴虐を目撃し、その事実を全世界に発信するため撮影記録を持ち帰ることを決意する。キムも、仲間や市民との出会い、そして無残にも次々に死んで行く彼らを見るうち、次第にピーターの使命を理解するようになり、クライマックスではピーターのカメラを没収しようとする政府の追手とカーチェイスをしながらソウルへと戻る>

ロウニャクナンニョを言おうとして口がもつれた。

手書きの字もどこか歪むようになっていて、劣化をできるだけ防がないとなあと思いつつある。

冒頭を声に出して読んでみた。

最近、朗読をしていないこともあって、とても新鮮だった。いい小説だ。

梶村啓二『野いばら』日本経済新聞出版社、2011年。

植物、とりわけ花。でも、この人のビジネスは植物遺伝子売買・・・

演芸が芸術の芸という字の起こりだという説がある。

術は、魔術とか呪術だったろうし。

比喩がなかなかに面白い。直輸だが、

例えば、コッツウォルズで60歳代のパトリシアというオープンガーデンもする女性に会う。

「よくはきこまれたデニムと身体にぴったりとした濃紺のコットンセーターがどこか古い映画に出てくる画学生を思わせた。」14

「バックミラーに映るその姿はやはり60年代の実存主義者の画学生のようだった。」29

https://www.nikkei.com/article/DGXBZO38287560V20C12A1M12202/

<「この小説には、グローバリズムや時の奔流の中でそれぞれの立場で懸命に生きる人々の姿が描かれています。しかし、本当の主人公は、すべてを運び去る『時間』なのです」とは受賞者の弁。 選考では、外国人の視点から幕末を描いた歴史小説として、また恋愛小説としても議論の俎上(そじょう)にのったが、特に抜きんでて評価されたのは文章の力だった。「昨今、新人の作品で、これほど文章に対する完璧な信頼をもって、読み進めることのできた経験は、私にはない」(辻原登氏選評)、「時代への配慮も入念であり、とにかく読んでいて快い」(阿刀田高氏選評)と絶賛され、選考委員満場一致で授賞が決まった。>

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by kogure613 | 2018-07-16 16:56 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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