藤原伊織『蚊トンボ白鬚の冒険』
2018年 11月 16日
2018/11/16(金)
藤原伊織さん。59歳の人生。いまどきは若死やなあ。
それにしても、面白い小説だった。『蚊トンボ白鬚の冒険』。
文庫本p87に主人公達夫の相手女性が登場する。8歳年上。達夫が親方が入れ墨の痕跡を隠すために熱いのに長袖シャツを着ている状況のなかで、彼女は、なぜなぜ攻撃をしだす。それを咎める達夫:
「なあ、八木さんよ」
「八木じゃない。八木沼。ついでにいうと、わたしは八木沼真紀さん」
いい登場の仕方である。ビールをジョッキで頼んで一気に半分空ける。ヒロインというのではなさそうだが、彼女を助ける展開だからまあヒロインか。
中心は寄生獣を思い出させる奇妙なファンタジー。ヤクザもいろいろ。学生運動(セクト)上がりの官憲嫌いヤクザ、瀬川。そうそう、黒川博行世界では、極道だったな。阪大の大阪弁インテリなヤクザ。途中でフリーになる。
そして、極貧から大きなお金を動かすデイトレーダーになっている黒木。黒木と瀬川が義理の兄弟というのもおもしろい。
藤原伊織『蚊トンボ白鬚の冒険』上下 (講談社文庫、2005年) 、2002年単行本。
<脳中に宿る奇妙な生物 その名はシラヒゲ!
羽音と不思議な声がすべての始まりだった……。陸上競技への夢を断念し、水道職人となった若者・達夫の頭の中に、ある日奇妙な生物が侵入してくる。その名も蚊トンボ・シラヒゲ。超人的能力を得た達夫は、アパートの隣人・黒木を理不尽な暴力から救う。しかし、それは恐るべき闇社会との対決を意味していた。>
http://eorihime.web.fc2.com/fujiwara-iori.html
< ある日突然、倉沢達夫の頭の中に蚊トンボが侵入した。蚊トンボは人間の身体能力を瞬間的に最大限まで引き出すことができる謎の昆虫だ。隣に住むデイトレーダーの黒木と知り合ったことから闇社会の怪しい者たちとの関わりが始まる。
蚊トンボは白鬚と名乗り、達夫とシラヒゲの会話は軽口でおかしい。達夫は古風でまっすぐな好人物の配管工、ビール好きの施主の娘と知り合ったり、ヤクザと関わったりするが、シラヒゲからは不思慮で無鉄砲と言われる。
周りの人間たちは、皆なかなか味がある。ビール好きのきれいなお姉さん八木沼真紀は、すごい飲みっぷり。私も好きな方だがこんなには飲まないぞと思う。そして、人生の夕暮れ時を迎えて様々に考える男たち、インテリヤクザの瀬川、全身に刺青のある親方、隣人の黒木など、はみだし者だが義理にあつく、ある意味、魅力がある。
達夫はインターネットと株取引と暴力団のごたごたに巻き込まれ、偏執狂的なPCスペシャリスト、カイバラとの死闘をするのだが、恐れず、ためらわず、白鬚のおかげで超人的だからでもあるが、潔い。>
14時半には、劇団態変の小泉さんが来るというのに、なかなかゼミ生のパワポが届かない。
そうこうしているうちに珍しく腰が痛くなった(翌日には治ったが)。
行政法の時間に、障害者芸術の話は接続しずらいので、最初に、判例とか三審制とかやっつける。電気は財物か?というところから。補足意見の大切さ。これはちゃんと学生時代には知っていなかったなとか思いつつ。
劇団洗濯氣の団員二人が受講していて、あとで小泉さんと話している。何かはじめての展開。