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燐光群『サイパンの約束』AI・HALL

1018/12/14(金)

坂手洋二さんがインタビューに答えてはるように、みやすい演劇だったというのは、確かに、褒め言葉ではない。

ただ、重く深いテーマであっても、メリハリがあって退屈しないようにする演出が悪いわけでもない。

燐光群『サイパンの約束』は、太平洋戦争でのサイパンとその後の沖縄、そして、自主映画の製作、そのためのワークショップを扱いつつ、歌から始まっていたり、沖縄の民謡調のコーラスも挟まり、実に快調に物語が進む。

いや、物語が最初似合ったのではなく、いまの主人公である大城晴恵さんとともに再構成されていくということのほうが近いか。晴恵さんの弟の子供が映画監督。サイパンが原爆投下のために貯蔵されていたんだなあとか、ブラジルでもそうだったように、敗戦を信じられない現地の人々と敗戦でホッとする人々との対立、悲劇。御真影の踏み絵と、上司の騙し。

咲田とばこさんが普通に混じっていて、なんだか再会した気分。

藤田嗣治の絵、バンザイ岬。捕虜収容所の生活、格差(ナチスの収容所を描いたドラマも前に見たな)。いまの日本、移民と言わない外国人労働者の受け入れの話なども出てきた。

燐光群『サイパンの約束』作・演出/坂手洋二 AIHALL144分。http://www.aihall.com/rinkogun_30/

<米軍との激戦、日本軍の玉砕。タッポーチョ山のゲリラ戦、バンザイ・クリフでの集団自決。そして、東京大空襲・原爆投下の爆撃機は、ここから飛び立った──
太平洋の小さな島、サイパン・テニアンが日本領だった、二十九年間。その終止符を打ったはずの戦争を私たちはほんとうに終わらせることができたのだろうか。
 社会性・実験性の高さと豊かな表現力を兼ね備え、斬新で意欲的な舞台で高い評価を得ている燐光群。劇作家・坂手洋二の最新作は、第二次世界大戦中の1944 年にアメリカ連合軍に占領されるまで日本統治下にあったサイパンを背景とし、その地で少女時代を過ごした主人公が辿る数奇な運命を描きます。
 少女時代を過ごしたサイパンを再訪した主人公の思い。しかし彼女が憶えている風景は、この地には全くなくなっています。
 うらぶれた観光地になってしまったその地で、彼女は少女時代のある約束を思い出します。そこから多くの人々の運命が、思いがけない方向に動き出し
 燐光群はこれまで、沖縄の被爆者を描いた家族劇『ピカドン・キジムナー』、高校の映画部とGHQ による民主化を描いた『天皇と接吻』等において、「戦争と家族/映画」というテーマに取り組んできました。本作では、『星の息子』『お召し列車』等、数々の燐光群の作品に出演してきた名優・渡辺美佐子と共に、劇団とのチームワークを最大限に活かして、そのテーマを深化させます。
 現在あまり語られることのない日本占領期の状況、戦時の苛烈さと、明るくたくましく生きる人々の姿を対比させつつ、時間と場所を超えて人と人とがつながることができるということを鮮やかに提示する新作舞台をどうぞお見逃しなく!>

渡辺美佐子(1932.10.23~ ) 

中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎

猪熊恒和 間宮啓行 円城寺あや

大西孝洋 さとうこうじ 咲田とばこ

樋尾麻衣子 杉山英之 荻野貴継 

武山尚史 山村秀勝 和田光沙

http://www.aihall.com/h30rinkogun_interview/ より

<この作品はタイトルの通り、サイパンが舞台です。実は、本作の主人公ハルエのモデルは、私の妻の母親です。彼女は沖縄出身ということになっているのですが、生まれは第二次世界大戦中の北マリアナ諸島のサイパン島で、幼少期はサイパン島の近くにあるテニアン島でも暮らしたそうです。
 北マリアナ諸島は、1899年からドイツが統治していました。その時代、テニアンは人払いされていて無人島になっており、牛などの動物しか住んでいなかったそうです。第一次世界大戦後、日本が連合国側として勝利し、敗戦国であったドイツの領土である北マリアナ諸島を日本が全部譲り受けて、その後29年の間、サイパンは日本となりました。サイパンやテニアンは日本からの移住者が多く住む移民社会となったのです。
 当地では日本人が「南洋興発」という会社を設立し、テニアンでは、荒れ放題のジャングルのような島を開墾してサトウキビ畑を作りました。第二次世界大戦中のサイパンは、元々住んでいた人たちよりも日本人の方が多くなり、ピーク時はその7割が沖縄の人たちだったそうです。サイパンの市街地である「南洋の東京」と呼ばれたガラパンだけで12万くらいの人が住んでおり、物資がきちんと流通していて映画館や劇場、カフェなどもあって、華やかでものすごく栄えていた町でした。
 そのように華やかな時代のサイパンに暮らしていた義母に、もう一度サイパンに行きたいと言われて5年前に連れていったのが、本作を創作する一つのきっかけとなりました。>
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by kogure613 | 2018-12-14 21:26 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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