文在寅『運命 文在寅自伝』
2019年 02月 19日
2019/2/19(火)
一日中校務。
読んだ本。
文在寅(ムン・ジェイン)『運命 文在寅自伝』矢野百合子訳、岩波書店、2018年10月
大統領に立候補するためにまとめられたものと言うことはあるが、韓国の民主勢力の動きを当事者の視点で書かれている。反省点もけっこう明瞭に出しているなあという印象。
検察庁の強さ、弾劾制度、警察が自治警察にほとんどなっていないことなど、いまも問題になっていることを思い浮かべながら、韓国のマスコミサイトを少し見たりした。
<なぜ、金正恩と対話したのか。なぜ、朴槿恵大統領の弾劾・罷免ののち、新大統領に選ばれたのか。これから韓国政治、そして東アジア情勢はどうなるのか? ――その答えは、人間・文在寅の苦難の道のりの中にある。「問題児」から「人権弁護士」への足跡、そして運命を導いた故・盧武鉉大統領との歩みを綴った本書は韓国でベストセラーとなり、長く版を重ねてきた。大統領による書き下ろし「日本語版への序文」も収録する。>
p387
<…あの頃は国が貧しくて福祉の機能を発揮できなかったために、民間が乗り出して、生活の苦しい人々を助けた。生きていれば誰にでも苦しい局面があるだろう。私たちの場合は避難が原因だったが、失業や病気、事故、育児、高齢など、多くの原因が考えられる。そんなときに国の支援があれば困難に耐え、抜け出すことができる。そういうことをきちんとやるのが福祉国家だ。
幼い頃の貧しさの記憶は、生きていくうえでそのまま人生の教訓となった。もう二度と貧しくなりたくはなかったが、かといって、自分だけが豊かになりたいとも思わなかった>
p388
<彼(盧武鉉)に会わなかったら、そこそこ安楽に、適当に人助けをしながら生きていたかも知れない。彼の熾烈(しれつ)さが私を目覚めさせた。
彼は死ぬときでさえ熾烈だった。そして私を再び彼の道へと引きずり込んだ。盧武鉉は遺書に「運命だ」と書いた。心の中で思った。「私のほうこそ、運命だ」。>