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津原泰水『歌うエスカルゴ』 朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』

読んだ小説文庫本。

一つは、4回生ゼミ生が面白いというので、途中から見たテレビドラマの原作。もう一つ、ハイパーというのもあるが、まだ文庫本されていない。

企業のホームページなどの制作という会社。納期と予算、いやあ、大変だ。

外注、アウトソーシング、派遣・・・

朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』新潮文庫、2019年、単行本2018年。

<吉高由里子主演 TBS火曜ドラマ4月から放送決定! 絶対に定時で帰りたい会社員VSブラック上司! ?働き方に悩むすべてのひとへ捧げる全く新しいお仕事小説! !
とある理由から"絶対に定時で帰る"ことをモットーにウェブ会社で働く会社員・東山結衣。彼女の前に立ちはだかるのは、無茶な仕事を振って部下を潰すブラック上司。チームとなった同僚達もくせ者揃いで「子どもの頃から学校を休んだことがなかった」というのが自慢の皆勤賞女、双子を出産後1ヶ月半で職場復帰した勝ち気なスーパーワーキングマザー、
すぐに会社を辞めたがる新人、会社に住み着いている非効率男、そして超ワーカホリックで、案件が燃えれば燃えるほどやる気が出てしまう元婚約者という顔ぶれで……
定時で帰る? 仕事する気あるの? という空気の中、結衣は今まで通り定時退社を貫けるのでしょうか。
「働き方改革」が叫ばれる昨今、非常にタイムリーなテーマの小説で、単行本発売時から各書店、メディアで話題となった本書。絶対に定時で帰る会社員・東山結衣役に吉高由里子、ワーカホリックで破局した元婚約者役に向井理、現在の恋人役として中丸雄一、そして無茶な仕事を振って部下を潰すと噂のブラック上司役にユースケ・サンタマリアを配し、このたびTBS系火曜ドラマとして放送されることが決定しました。
タイトルを見た瞬間、「わたしは定時で帰れないよ! 」とお怒りの人にこそ突き刺さる、全く新しいお仕事小説です!

もう一つは、幻冬舎社長とかとなんだかツイッターで賑わっているようだった作家のもの。もう一度、食べることを楽しもうかなと思わせてもらえるし、フランス芸術の話とか洋画のこととか、なかなかにテンポよく楽しんであっという間に読み終える。

津原泰水『歌うエスカルゴ』2017年、角川文庫、2006年単行本(『エスカルゴ兄弟』)。

コメディ。でも取材もしっかりしているなあと思う。

【書評】by ときわ書房千城台店 片山恭子

『歌うエスカルゴ』津原泰水 - 横丁カフェ|WEB本の雑誌 http://www.webdoku.jp/cafe/katayama/20180215093004.html

<柳楽尚登はソフィー・マルソー好きの27歳(ラ・ブーム全盛の記憶がバッチリある世代としてはたまらぬ設定)、実家が讃岐うどん屋で調理師免許を持つ編集者。感情が激するとクイーンのどんどんぱ、どんどんぱ、の出だしで有名な《ウィ・ウィル・ロック・ユー》が脳内で響きわたります。社長の高嶋からまるで出向のように解雇を言い渡され、吉祥寺にある立ち飲み屋<アマノ>で働くことに。
 そこは螺旋に異常な愛情を示す写真家・雨野秋彦の実家で(母親は既に他界)、店主の父親が作るモツ煮込みが絶品だが、店主が持病と怪我をきっかけに引退を決め、息子の秋彦がエスカルゴをメインとしたフランス料理店へのリニューアルを計画、尚登を料理人とする前提で話を進めるも、その方針に当初は反発する妹の梓と給仕の婦人・剛さん。作中で梓がファミレスで食べたというエスカルゴは、アフリカ・マイマイという、エスカルゴ・ファームで養殖されているヘリックス・ポマティアとは異なる種別とあり、おそらく自分が食したのもこちらと思われます。
 まずはエスカルゴの研修にと、松阪へ移動中の新幹線車内で、想像をはるかに超えた出来事のあれやこれやを聞かされ、昼間だがビールでも飲むかと秋彦に提案され「いいですね。なんだか僕......投げやりな感じになってます」と返す尚登の呟きに、この作品全体を貫くハイセンスなユーモアを感じます。
 途中お伊勢参りで立ち寄った讃岐とライバル関係にある伊勢うどん屋で、若き日のソフィー・マルソーに似た桜と出会った尚登は、ポマティアの調理法を学ぶ以前に自分は編集者である、いますぐ東京へ帰るとの宣言もあっさり撤回し研修を続行。ちなみにエスカルゴ・ファームは鉄工所の社長・成瀬が始めた事業で、地元では成瀬鉄工所のほうがより知られている、というタクシー運転手によるローカル話もリアルです。尚登はポマティアの奥深い世界を社長の成瀬から学びとり、鉄工所の従業員で健啖家の斉藤三吉と食で友情を結び、開業へ向け一路東京へ。
 秋彦と顔つきがまるで違う妹の梓は、ロシア人とのハーフで秋彦とは血のつながらない可能性が高いというが、梓が雨野家にやってきた経緯が淡々と語られる場面では、店主の男気に加え、父親の「お前の妹だ」の一言で当たり前のように受け入れた秋彦の懐の深さにもグッときます。そんな二人の間で育った梓の、まるで漫才のツッコミのような性格と才能に加え、剛さんの作る死の覚悟が必要なほど危険が伴う料理とは反対の、彼女の舌の素晴らしさの理由や、尚登が思いを寄せる桜の意外な酒豪ぶりに加え、彼女の縁談相手で稲庭うどん店チェーンの取締役・梶原の大物感など、物語の隅々まで味わい深いキャラクターとエピソードに彩られています。津原さんのファンには嬉しい人物の名前も登場。
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by kogure613 | 2019-06-15 10:58 | 情報収集 | Trackback | Comments(0)

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