劇団態変 『さ迷える愛・破「箱庭弁当」』アイホール 演奏:瀬戸信行・ジャージ川口・仮屋崎郁子 、音: かつふじたまこ
2019年 06月 21日
2019/6/21(金)
今日は、午前中、黒沢清映画(なんば)、天王寺で校務、夜は、劇団態変。
アイホール提携公演 劇団態変 第69回公演『さ迷える愛・破「箱庭弁当」』作・演出・芸術監督 金滿里
75分弱。19:32~20:43ぐらいだったかな。
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=52147
<2018年1月にアイホールで上演し好評を得た『翠晶の城』に続く、「さ迷える愛」シリーズ2作目として新たに創作する。弁当箱からはじまる奇想天外な世界観を、躍動感溢れる個別の身体が表現していきます。
「自分だけの城」だと思い込み、閉じている世界から飛び出し、様々な身体が、様々な形で存在する、ごった煮の弁当箱の中でうごめき、すったもんだしていく内に、自分や、世界を取り巻いている膜が開かれてゆく。その中で色々な自我が醸し出される・・・そんな作品です。>
渡辺あやの(綾乃 )/金滿里 / 小泉ゆうすけ / 下村雅哉 / 向井望 / 井尻和美 / 池田勇人 / 田岡香織/ 熱田弘幸 / 他 / エキストラ出演者
演奏・クラリネット: 瀬戸信行 / 演奏・バンジョー: ジャージ川口(ちんどん通信社)/ 仮屋崎郁子 (ちんどん通信社)/ 音: かつふじたまこ/ 舞台監督・美術: 吉田顕 / 照明: 海老澤美幸 / 音響: 勝藤珠子(月猫音市場) / メイク: 倉橋かおり / 宣伝美術: 東學(188) / 宣伝写真: 山田徳春
いつも、当日パンフには、シーンタイトルがあって、だいたいの進行の予想ができ、終わってから明るくなって、あれはこういうことかもなあとか想像できる。今回は、いままでで一番、美術(吉田顕)が具象的だったし(大きな弁当のおかずたち、おやつも楽しく)、実際に食べたり、悲しむ声をだしたりすることによって、「態変的メルヘン」の名前がピッタリの公演となった。最初の映像などもうわかりやすさの極地である。
U-12が1000円で、最後に金満里さんが、子供さんも連れてきてほしいというのは、結構適切だし、若いときに、ステージを体験し、しかも、さまざまな身体の形と動きの「もどかしさ」「ユニークさ」「美しさ」を自分の体とともに反応するのはとても貴重な体験になるだろう。更に、なんといっても、音楽が楽しく、きっとはじめてのクレズマー音楽体験かも知れないが、ちんどん屋さん的なユダヤ放浪の民の音楽なので、なんとも馴染みやすい。
しかし「食べられる」の9匹のゴキブリ?コガネムシ?の集団は悪夢ではある(実際は、蟻だったそうで、そうは見えなかった)。ここは、子供は引くだろう。でもね。大丈夫。どんな危機のときでも、お腹は減る。そしてみんなで食べる。また生きられるなと希望に満ちて。
電車と巨大おかずの取り合わせもよかった。ダンスに大事な反復性。寝返りの仕方の特徴が各役者でわかってくるとまた楽しく。エキストラ、当日パンフより多くて飛び入り可能かも知れない。元メンバーの懐かしい顔も。
小泉ゆうすけさんは、初め、広場で大道芸をする人だった。後半は切れのあるダンス。はじめて見た背の高く痩せている若い男性(主役の渡辺あやのさんのポーチを最初取り上げ、嫌な奴を演じていた)もこれからどういう役柄を演じるのか、楽しみだな。
一つ、上手上から出てきたものは何だったのだろう?肉色。分かりやすい幸せなメルヘンにも態変的謎は残っている。
タイトルの謎もあるかも。
弁当って囲われた箱に入っている。
あえて、箱庭の弁当という意味はなんだろう。
あるいは、箱庭・弁当と二人の類似する閉塞空間を意味したのか。
弁当から出ても、そこにある世間は、箱庭にすぎないという諦観ではないが、大きな木のもとでの会食なので、箱庭のような会社や学校に対するアンチテーゼなのかも。