人気ブログランキング | 話題のタグを見る

呉美保(オ・ミポ)監督・脚本『酒井家のしあわせ』 栗谷佳司『限界芸術論と現代文化研究』

2019/10/6(日)

ずっと家。

読み終えた本。

栗谷佳司『限界芸術論と現代文化研究』ハーベスト社、2018年。

フォークソングは1960年代の 日本においてどのように展開したのだろうか? 鶴見俊輔の「限界芸術論」を手懸かりにフォークシンガー中川五郎、詩人の片桐ユズルへのインタビューを交え、その背景となったベ平連などの市民運動とともに関西フォーク運動の実像に迫る。

第1章 鶴見俊輔と「限界芸術論」の研究(鶴見俊輔と大学、『思想の科学』「ベトナムに平和を!市民連合」;「限界芸術論」から「流行歌の歴史」へ ほか)

第2章 「限界芸術論」からフォークソングの運動へ片桐ユズルの言説を中心に(フォークソングと替え歌;片桐ユズルとフォークソング運動 ほか)

第3章 表現文化と言説空間フォークソング批評と雑誌分析を中心に(フォークソングと音楽批評;『フォーク・リポート』という言説)

第4章 「素人」の時代の表現者 中川五郎の軌跡(フォーク歌手の誕生中川五郎の軌跡;『フォーク・リポート』とその周辺 ほか)>

 呉美保(オ・ミポ)脚本の『酒井家のしあわせ』102分、2006年。

DVDで購入していて、気楽に観始める。

でも、これは・・・なかなかに深く、辛い。終わりが見渡せない。2006年ぐらいといまとの違いってなんだろう。もう、13年間の違いが分からない。ただただ、家族を維持する難しさ、学校の制度の行き止まり、中小企業の仕事の困難さなどを思う。天神祭って各地にあること。何より、呉美保(オ・ミポ)監督映画が観られたことは特に良かった。

200612月に公開された、ユースケ・サンタマリア主演・友近共演の心温まるファミリームービー。関西に住む、一見ごくフツーの酒井家の人々は、その実、とても複雑なメンバーで構成されていた。母・照美(友近)は、父・正和(ユースケ)とは再婚で、息子の次雄(森田直幸)は、事故死した前夫との間にできた連れ子。娘の光(鍋本凪々美)は、次雄とは父親違いの妹という混乱ぶり。思春期に入った次雄(森田)は、そんな家族を疎ましく思い始めるが、父(ユースケ)の突飛な発言に違和感をおぼえ。登場人物が、それぞれに相手を思いやる姿がまぶしく、家族とは、心のつながりこそが大切なのだと改めて考えさせられる。特に、少年らしく真摯(しんし)で純粋な次雄役をリアルに演じた森田の活躍はすばらしく、特筆に値する。(みき~る)>

(参考)

https://mihocinema.com/sakaike-siawase-18243

<テレビ、それもバラエティでよく見かける芸能人がキャストに名前を連ねていると、なんとなく敬遠してしまいます。そんな経験をお持ちの方も少なくないと思います。

今作に出演する母・照美役の友近さん、父・正和役のユースケ・サンタマリアさんも、そんなバラエティ常連の二人。当然警戒しましたが、蓋を開けてみてびっくり。ふたりとも、なかなかにこの映画の色にハマっていました。

まず、設定が二人におあつらえ向きなのです。こてこての関西弁の肝っ玉母さんに、東京育ちで気弱だけど心優しいお父さん。まるで、二人のために用意した役柄のようです。

さらに、今作は公開当時もそれほど広範囲ではかからず、もちろんシネコンなどで観られる類の映画でもなく、平たく言ってしまえばマイナー。そんな映画に出ることは、裏を返せば、映画好きの厳しい(偏見に満ちた)目にさらされるということ。その厳しい目をクリアした二人は、間違いなくタレントではなく「俳優」でした。>

<そしてそんな両親を食って、間違いなく主役、という存在感を見せつけたのが、主演の森田直幸さん。役柄と当時の本人の年齢がリンクすることもあって、リアルな中学生像を披露しています。苛立ちをなかなか言葉にできず、先に手が出てしまったり、そっけない態度に出てしまったりするシーンが、演技じゃこうはならない、という空気感でたまりません。そしてさらに、そんな彼が父を睨む瞳の強さたるや。わざと荒く撮影された夏の田舎の風景と相まって、これがフィクションだと忘れさせるリアリティが、そこにあります。>

<ジャケットからも、ストーリーからも、地味な印象が拭えない映画です。しかし、だからこそきちんと中身のある、この時期に観たい家族の夏休み映画です。

呉美保監督といえば、今一番面白い映画を撮る女性監督だと思います。同期には山下敦弘、寺内康太郎、柴田剛など日本映画のビッグネームが名前を連ねます。そんな彼女が、長編映画のキャリアの序盤で撮った映画は、やはり面白く満足感がありました。是枝監督や山下監督に見える、邦画独特のリアリティのある会話劇は今作から健在。今後、間違いなく世界で注目される日本人監督の一人です。>


by kogure613 | 2019-10-06 22:09 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

こぐれのぶお・小暮宣雄 写真は春江おばあちゃんと・サボテンの花嬉しく 


by kogurenob