コトリ会議『セミの空の空』神戸アートビレッジセンター
2019年 11月 17日
2019/11/17(日)
まだ、小劇場演劇は社会と世界と宇宙ときちんと対峙している。
コトリ会議ツアー公演3回め『セミの空の空』。
暗闇をなくす第2の月。怖い。セミの空蝉のその向こう、土星まで見通せる。生きているか死んでいるかのボーダーが揺るがせる。時間は短いが、その感激経験はループして深く透明な感じ。
で観終わって、いまの日本を確認すると危ういことばかり。
芸術の自立とアーツマネジメントのせめぎあいを考える。
コトリ会議『セミの空の空』(せみのそらのそら)神戸アートビレッジセンター 70分弱。
作・演出:山本正典
舞台監督:柴田頼克〈かすがい創造庫〉
音響:佐藤武紀
照明:石田光羽
演出助手:要小飴
舞台美術:竹腰かなこ
小道具:伊達江李華〈小骨座〉
衣装:松崎雛乃
宣伝美術・撮影:小泉しゅん〈Awesome Balance〉
イラスト:牛嶋千佳
制作:若旦那家康
出演者
牛嶋千佳 まえかつと 三村るな 若旦那家康〈以上、コトリ会議〉
野村有志〈オパンポン創造社〉
中村彩乃〈安住の地/劇団飛び道具〉
浜本克弥〈小骨座〉
作品について -コトリ会議・山本正典より|
いっとき、公共広告機構のCMで流れていたものです。スクランブル交差点をたくさんの人が行き交う中で、背広を着た大人同士が肩をぶつける、片方の大人は足を止めて、ムッとした表情で振り向くんです。すると、肩をぶつけたもう片方の大人も足を止めていて、こちらに向かって「ごめんね」とジェスチャーする。そうなるとムッとしていた大人も表情を崩して会釈する、えぃしーー、というやつなんですが、皆さんご存知ですか?僕もうテレビはあれだけを流してくださればそれだけでいいんでなかろかというくらい感動したCMなんです。なんでずっと流さないんだろう。テレビがやってくれないなら演劇でやれるかな。交差点で大人達は肩をぶつける、謝る、それぞれの生活へ、またぶつける、謝る、それぞれの生活へ、2時間弱繰り返す。え、すごく面白い演劇なんだけどいや違うくて、他人を、1人の誇りを持った人間として見ているのか私はあなたは、スクランブル交差点で、満員電車で、ということなんだけどな。「人」という漢字は支え合って出来ている、というのは分かってるんです、じゃあ人は人のどの部分を使って他人と支え合うのかな。分かんないよね。分かんない時は演劇を使おう。えぃしーー
コトリ会議(ことり かいぎ)|
2007年結成。SFやサスペンスなど寓話的な設定を用いることで、現代社会における弱者の問題を隠しつつ滲み出る戯曲と、笑えて軽妙で詩情のあるセリフによって、音に集中させる、テンポとボリュームを操る演出を得意とする。シアトリカル應典院演劇祭「space×drama2010」優秀劇団を受賞。2016年に地方3劇団協働でおこなった「対ゲキツアー」以降、ツアー公演を主にした本公演、イベント的な小規模公演、演劇祭に参加する際の神出鬼没な小作品など規模によって変幻自在な活動をしている。作家・山本正典の受賞歴として、2018年に第9回せんがわ劇場演劇コンクール劇作家賞、第25回OMS戯曲賞佳作を受賞。http://kotorikaigi.com
コトリ会議 紹介
2007年結成。関西を拠点に作家・演出家の山本正典の作品を上演することを活動の中心としている。
山本の作品は、現代社会の不条理なあらゆる別れを、SFや民話などの設定を借りて密やかに優しく描きだす。その密やかさは詩的なセリフは軽妙なリズムと空白の間、声の高低、ギリギリまで絞った照明の陰影をもって表現し、優しさは人だけではなく命のあるものすべてを等しく見つめている。
一見して、静かな会話劇でありつつ、視覚と聴覚を意識させるささやかな実験性を含んでいる。
近年の活動としては、拠点の関西以外でもフットワーク軽く長編公演をおこない、また短編イベントや劇場外を利用するイベントにも編成を変えて柔軟に出演している。
<主な活動歴>
平成22年、應典院舞台芸術祭「space×drama2010」にて優秀劇団を受賞。
平成26年、伊丹市立演劇ホールAI・HALLにて「次世代応援企画breaka leg」に選出される。
平成27年10月から平成28年4月にかけて、他地域の劇団と共催で初の5都市ツアーで作品を上演。
平成29年4月から8月にかけて劇団初の単独ツアーを5都市で上演。
平成30年5〜6月、大阪・東京・仙台3都市ツアーを上演。
平成30年7月、第9回せんがわ劇場演劇コンクールにてファイナリスト選出。山本が劇作家賞を受賞。
平成30年7月、山本が、第6回せんだい短編戯曲賞最終候補に選出。
平成30年9月、神戸アートビレッジセンター主催「KAVCアートジャック2018」へ参加。
平成30年11月、伊丹市立演劇ホールAI・HALL主催『現代演劇レトロスペクティヴ』にて上演。
平成30年12月、山本が、第25回OMS戯曲賞最終候補に初めて選出される。佳作を受賞。
平成31年2月、福岡きびる舞台芸術祭「キビるフェス2019」に参加。初めての九州公演。