MONO『その鉄塔に男たちはいるという+(プラス)』アイホール
2020年 02月 13日
2020/2/13(木)
MONO『その鉄塔に男たちはいるという+(プラス)』アイホール。指定席。
て。19:02~19:44。休憩のあと、19:55~21:18。
入って驚くのは、舞台美術(奥村泰彦)。特に昔の公演を観た観客にとっい
MONOでは一番長い作品だと土田さん。「ごあいさつ」にあるように、集団の怖さ。
42分ほどの第一部、新作でも、吉村家という家族集団の怖さがテーマになる、あと、妹の思い出の中にある、離島社会による差別。
作・演出:土田英生
(役名:出演者)
吉村志織:石丸奈菜美・・吉村充の妻、観察力あり。吉村家に嫁いで色々苦しい。
吉村充:渡辺啓太・・すべて適当、すぐ忘れる。
吉村円香:立川茜・・気が強く、すぐに口に出す。ただ、離島の高校に行って(多分その前にもいじめられたりしたのだろう)、また、いじめにあい、教員実習生だった藤原柚月に助けられる。
藤原柚月:高橋明日香・・そのあと、婚約が差別の問題で破棄されて、南方の国に移住。離れる際に吉村円香が見送る。おじいさんが外国からの移民で島の人たちから差別を受けてきた。教育実習に戻ったのは、自分の母校だったからだろうな。
<戦意高揚のために送り込まれた慰問部隊。そこから逃げた4人は深い森の中に立つ巨大な鉄塔に隠れている。彼らは戦争が終わるまでそこで過ごすつもりなの だ。ある時、そこに一人の脱走兵がやってくる。彼の話によれば、四人がここにいることはばれているらしい。そして、終戦を迎えた時、彼らを取り囲んでいたのは銃を構えた日本人達だった。>
吉村陽乃介(はるのすけ):奥村泰彦・・吉村充・志織の子供。第一部では小学生でパントマイムで遊んでいる設定。いまもマイム中心の一座に所属。階段マイム。
笹倉万次郎:水沼健・・一座のメンバー。楽天的。木暮とTシャツの1件で随分揉める。
木暮要:尾方宣久・・陽乃介に落語を聞かせて寝かせる。だんだんに上岡側になる。
上岡雄吉:土田英生・・一座のリーダーが駐屯地に残ったので、リーダー風を吹かしていると言われるようになる。
城之内誠治:金替康博・・脱走兵。間に立つが役立たない。でも、階段マイムは陽乃介よりもうまいようで、なんか一座に入ろうかなという気分になっていた。
初演はアイホールだったが、見過ごしてしまっていた。1998年12月。
再演(2001年5~6月)を扇町ミュージアムスクエアで観て、かなり衝撃を受けた。でも、なぜか内容を書いていない。多分、最初「木暮、木暮」と暗闇で叫ばれたというの動揺、そして、非常時でやばい状況なのに、楽天的な二人、それに対してピリピリする二人(最初は一人)、間になってなにも役立たない人という絶妙な面白さにゆるんだところにくるラストシーン。
(参考)こぐれ日録
2001-6-3(日)
http://www.arts-calendar.co.jp/KOGURE/2001/June1-3.html#Anchor155362
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第6回OMSプロデュース『その鉄塔に男たちはいるという』。作・演出=土田英生。15:05に客電が落ちないままに、音楽。さきたはじめののこぎり音楽が流れる。イメージソングははじめにきよし「雨」。小さな音から始まるのが、あとの布石(戦争の大きな音が突然やってくる:音響/藤田赤目)となっていた。
美術プランは出演もしている奥村泰彦。ジャングルだから鉄塔と木の組み合わせの後ろのジャングルの緑は自然な演出だし、錆びた鉄が味を出している。Tシャツがムラギしマナヴによるということだが、後ろの席だったので、そんなによくは分からない。
音楽や衣装、そして振付(ENTEN)にしても、すごくこだわった人選なのに、さらりと15:08(客電落ちた時間)~16:39が過ぎる。中身はもう省略するけど、マジックメンズショーの出だしだけは耳にこびりつく。
人はどうして戦争をするのだろう。それも戦争の時、一番怖いのは味方同士の争いや猜疑心、嫉妬や残酷さであるということが、笑いながら、ビシバシと感じさせられる。それは、戦争という特別の状況だけではもちろんなく、あることを他者(他社)と競いながらやっていくあらゆる組織のマネジメントの問題でもある。
北方領土問題のことを思い出してみたり、戦争に協力した岸田國士のことを考えたりもした。戦争忌避のこと。ある面、残酷さが浮かび上がってしまう椅子取りゲームをコメディショーにするというのもなんとも皮肉。