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脱資本主義社会に果たす文化政策、芸術営の役割―芸術ワークと商品化されない文化という「冨」を巡って―

脱資本主義社会に果たす文化政策、芸術営の役割

―芸術ワークと商品化されない文化という「冨」を巡って

2021.3.29 nobuo kogure

【方針】

1)地球環境の危機、制約を強く意識し、「グローバル・サウス」問題を見過ごさない。

2)経済成長主義から脱却し、全てを商品化する資本主義に替わる社会を模索する。

3)公共政策の新自由主義化に歯止めをかけ、パブリック領域を拡張する「コモン」を前面に出す。

4)芸術をはじめとする文化政策をコモン政策の一環として位置づける。

5)アソシエーションを社会の組織の中心に位置づけ、労働者協同組合などで営利企業に代替する。

6)芸術営(アーツマネジメント)も「コープ」的アソシエーションに対応し、市民営としていく。

7)商品(市場価値)としての芸術と使用価値としての芸術の区別を分類論に入れていく。

8)芸術政策・文化政策は、直接的経験を創出し、商品以外の「冨」を人々が享受するきっかけになる。

 

【ポイント】

1)文化と芸術の分類を、地球環境制約とコモン社会の観点から見直す。

1-1)コモン社会復権の説明:マーケット(営利領域)とパブリック(公的領域:国自治体)の間にコモン(コミュニティとアソシエーション)があるのだが、まず、コモンがパブリックとマーケットに侵食され、そのパブリックもマーケットに置き換わる極小の政府=新自由主義、市場万能主義が今である。

2)ヒトの活動を自然と文化に分けていたが、それを修正する。

3)ヒト=自然+文化 これを、ヒト=自然+人工 とし、人工には、自然を破壊する文明と、自然との物質代謝・相互交通を行う文化に分かれるとする。

4)ヒト=自然+人工 人工=文明+文化 文化=生活文化+制度文化+術文化 術=学術+技術+芸術

5)かつて、精神的人間活動を文化とし、物質的人間活動を文明とする考えがあった。小暮はこれを採用しないでいたので、「文明」という用語は使わず、文明も、広い意味での文化としていた。

6)しかし、ここでの文明は、自然を破壊する物質エネルギーのみならず、環境に配慮しない精神思想も入る。

6-1)現代では、文明の筆頭が資本主義であり、市場原理主義、競争による格差是認、貨幣崇拝の考え方である。

7)商品(貨幣で測定できる市場価値)としての芸術と、直接的経験を与える使用価値としての芸術が、いままでの分類との関係で考え直す。

7-1)市場芸術として分類していたものは、商品芸術とも言え、こちらの方が分かりやすいかも知れない。

8)いままでは、市場芸術、専門芸術、限界芸術という分類をしていたが、市場での交換することで価値を生む商品芸術とそうでない芸術。後者をなんと名付けるか。一応「直接芸術」としておく。

9)直接芸術とは、貨幣的な商品という市場を迂回しないで、芸術創出者から直接に芸術享受者へと届けられる芸術とする。そこで、芸営者(アーツマネージャー)はいらないのか?という疑問が生じる。

10)現実的に、専門芸術化すると芸営者(芸営組織)の必要性が大きくなる。その際、将来的には芸営者はコモン経済を担うことが前提になり、アソシエーション(労働者協同組合)として再組織されることが持続する要件になる。

 

11)直接芸術がコモン政策のなかで位置づけられると、いままで、資本による商品化と貨幣との無限ループ運動からの離脱のきっかけになる。

11-1)市場化から独立する芸術労働は、資本を増強する商品生産の部分労働ではなく、享受者との直接交通として位置づけられ、享受者は、商品購買ではない、芸術そのものの直接経験を得ることになる。ここに、冨としての芸術が浮かび上がる。

 

・・・(未完)

(参考文献)

斎藤幸平『人新世の「資本論」』集英社新書、20209

斎藤幸平編『未来への大分岐資本主義の終わりか、人間の終焉か?』集英社新書、20198

斎藤幸平『カール・マスクス 資本論』NHK100de名著 20211月放送

鶴見俊輔『限界芸術論』ちくま学芸文庫、199911


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by kogure613 | 2021-03-29 08:27 | 研究テーマ・調査資料 | Trackback | Comments(0)

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