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杉田俊介・藤田直哉 『百田尚樹をぜんぶ読む』 NHK土曜ドラマ『きよしこ』

2021/3/31(水)

見たNHK土曜ドラマ『きよしこ』。吃音の子供の成長物語。

結果が分かっているので、安心はできるが、言葉が出てこない、どもってしまうという辛さは、画面上だが心痛い。

相原和歌子・・勘違いしてしまう善人、ボランティア精神の山口大学教育学部の学生。彼女は清が同じ大学を受験すると信じている。

どんぐりのおっちゃん・・・どんぐりや松ぼっくりは遠くに運ばられるということや、「どんぐりころころ」の2番を知っているとすると、悲しい結末になる。そのときは、泥鰌である。

 

『きよしこ』 https://www.nhk.jp/p/ts/MK9M5ZRK7G/ <思っていることを上手に話すことができず、ひとりぼっちだった少年は、様々な人と出会うなか「伝えること」を諦めないおとなに成長していく

白石清:安田顕など

白石早織: 西田尚美

白石曜子:貫地谷しほり 清の母

白石賢一:眞島 秀和 清の父 転勤多し

室井哲男:吹越満「清の元担当編集者で野村の先輩」

野村幹人: 菊池風磨「清の担当編集者。吃音の少年の母からの手紙に対して自叙伝で返事をした清に当初は疑問を持つも、出来上がった作品を読み感動する。」

相原和歌子: 福地桃子「17歳時の清と親しい地元の国立大学の教育学部の1年生」

どんぐりのおっちゃん:千原せいじ

 

原作 - 重松清 『きよしこ』(新潮文庫刊)

脚本 - いとう菜のは

音楽 - 小山絵里奈 演出 - 狩山俊輔 制作統括 - 海辺潔(NHK)、三上絵里子(AX-ON

プロデューサー - 渡邉浩仁(AX-ON

 

 

私は一冊も読んでいないので、百田尚樹文学というものが、どんなものかの概要が分かって、とても興味を持って読んだ対談。

 

杉田俊介・藤田直哉 『百田尚樹をぜんぶ読む』集英社新書、2020.4。

<ベストセラー作家にして敏腕放送作家。そして「保守」論客。

作品が、発言が、そしてその存在が、これ程までメディアを賑わせた人物がかつて存在しただろうか。

「憂国の士」と担ぎ上げる者、排外主義者として蛇蝎の如く嫌う者、そして「何となく」その存在に触れた大多数の人々……

百田尚樹とは、何者か。

著作が「批評」される機会は思いのほか稀であった。

気鋭の批評家、文芸評論家が全作品を徹底的に論じる。

◆目次

序章 なぜ百田尚樹を読もうとするのか

第一章 揺籃 『永遠の0~『プリズム』

第二章 転回 『海賊と呼ばれた男』~『殉愛』

第三章 爛熟 『カエルの楽園』~『夏の騎士』

第四章 自壊 エッセイ・対談

終わりに

あとがき 杉田俊介>

 

(参考)

「百田尚樹をぜんぶ読む」 一人の人間に敬意を持ち、作品に対峙すること 藤田直哉(文芸評論家)

https://www.bookbang.jp/review/article/627441

<なぜ、百田尚樹を論じるのか? 企画の始まりを思い出そうとすると、もう既にモヤがかかっているが……杉田さんも藤田も、現在の日本の状況を非常に憂慮していた。特に私藤田は、東日本大震災後に政治運動にのめり込み、ツイッターなどで怒ったり叩いたり攻撃したりを繰り返していた。震災後、ネットを中心に、日本の言論状況はそういう状況になっていた。

 そのうちに、杉田さんがツイッターから消えた。思想がいくら「正しい」ものであったとしても、ひたすら攻撃と政治的な対立ばかりが繰り返される状況に参ったのだ。そのうちに、私藤田も、だんだんと嫌になってきた。思想的に共感し正しいと思っている側の欺瞞(ぎまん)や粗暴な振る舞い、教条主義や硬直、冤罪やリンチなどにゲッソリしてきた。対立と分断、もっと言えば「政治」そのものに失望してきていた。

 そんなときに、橋川文三(ぶんそう)の話を、杉田さんにしたのだったと思う。橋川は、第二次世界大戦中に、「日本浪曼(ろうまん)派」にハマっていた。神懸り的な国粋主義で、ファシズムにつながった禍々(まがまが)しい文学運動、と片付けられがちな運動にガチでハマっていた自分をなかったことにせず、その詩的魅惑と陶酔を描写しつつも鋭利に問題点を剔てつ抉けつする。そういう橋川が『日本浪曼派批判序説』で行った批評の態度について話し合ったのだ。

 これを再読した杉田さんは、批評家が作品に接するにはこういう態度であるべきだろうと感じたようだ。つまり、単にイデオロギーで断罪するのではなく、その魅力に肉薄し、内在的なところから対象に迫るという方法論である。

 現代日本の、政治と芸術、あるいは政治と美、政治とエンターテインメントが複合していく時代の、感性的・心理的な側面を分析するには、このような方法論が必要なのではないか、と話が盛り上がった。

 そののちに、紆余曲折があり、平成で一番売れた文庫本の著者である大ベストセラー作家・百田尚樹の作品を本気で読むべきだ、と杉田さんが持ちかけてこられた。差別主義的で、歴史修正主義的な保守思想家だと言われ、リベラル・左翼からは批難されるその作品は、読んでみると胸を打つ部分があるのだと言う。こういうのを馬鹿にせず、ちゃんと理解し、味わわないと、現代日本に生きる大勢の心は分からないのではないか。杉田さんはそう仰っていたと思う。

 闇雲に批判し糾弾するだけでは「分断」は激しくなる、であるならば、相手を一人の人間・作家として敬意を持ち、その作品に真剣に対峙する、そして、良いも悪いも正直に言う、そのことで「分断」や「友敵」の二項対立の構造を超えることができるのではないか。そんなことを、企画を始めるときに考えていたと思う。そして半信半疑で、百田尚樹の作品を、読んでいった。

 確かに、面白いものは面白いのである。本人の人柄や発言を知らず、小説だけを読んでいたら、普通に楽しんで、いい小説だと感じたであろうものもたくさんあった。しかし一方で、エッセイや対談などでは、非常に差別的で悪辣(あくらつ)な発言をしており、こちらにはかなり辟易させられた。ツイッターを見れば、派手な発言をしてファンからの喝采と批判者たちからの攻撃で「炎上」していた。

 この「分裂」は、一体どういうことか。ベストセラー小説家と、保守思想家と、メディアイベンターのような三つの顔を、どう統合していいのか分からなくなった。そこから、俄然、百田尚樹という人物に興味が湧いてきた。

 百田は、月に一度、安倍首相と電話で話す「友人」だという。二〇二〇年のコロナウイルスの騒動の渦中、二月二十八日という忙しい時に、わざわざ安倍首相は百田尚樹と会食をしている。安倍は、年末年始に読む本として『日本国紀』を写真付きでツイートしたこともある。百田には、なんらかの政治権力との密接なつながりが確かにある(個人的な推測で言えば、国民の支持を得なければいけない与党は、支持率を獲得するために、大衆の心を摑むに機敏なアンテナを持つ人物の知見を参考にするのではないか)。

 だから、百田尚樹を読むことは、現代日本のこの奇妙な政治的な状態や、社会的な雰囲気を理解することにもつながっていくはずだ、と思えた。その分析の結果は、ぜひ実物を読んでほしい。

 この本は、大袈裟に言えば、そんな「現在」を読みとろうとする大きな構えで作られた。異論や反論もきっとあると思う。それも含めて、多くの人が「この時代」を巡る議論に参加してくれたら嬉しく思う。>


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by kogure613 | 2021-03-31 22:30 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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