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黒川創『暗い林を抜けて』 菅義偉さんの「うねり」と二階俊博さんの「無理だったら」中止

2021/4/16(金)

読んだ小説。

黒川創『暗い林を抜けて』新潮社、2020.2

歴史的な考察が間に入る。結構、固めの新聞記事を読むように思えるのだが、それは、主人公の有馬章が、通信社の記者だからだ。そのなかで、シベリア抑留のこと、絵描きで助かった話なども出てくる(三波春夫も浪曲師だったので助かったと言っていたな)。

 

また、同志社大学が想定されそうな大学の新聞専攻で、ゼミ生たちが岩倉の開放病院を調べるという設定のなかで、ここも社会的歴史問題が浮かび上がってくる。

 

有馬章が主人公かどうかも、読み進む中でようやく分かる構造で、最初は、綾瀬久実(言語聴覚士になる)が、第一人称で登場。性別も分からないなあと思ったら、大学時代、有馬と一緒に寝たということが出てきて、あ、女性かと気づく。その後も性交のことも語られるが、実に淡白で、そんなことよりも、深く暗い林などの心象風景と実際の風景のモヤのような混じり合いの方がとても印象的である。

 

先妻の有馬ゆかりのところもなかなかに興味深い。ホーキング博士の話も出てきて、ベビー・ユニヴァースが、この小説の構造にも関連付けられる。

戦時中にやってきた、エタ・ハーリヒ=シュナイダーというピアニスト。リサイタルで収入がちゃんとあったということや、リヒャルト・ゾルゲとの交際のことなど、これはこれで短編になりそうな題材。

 

<会いたいときは、あの林に来てくれ。まだそのあたりをほっつき歩いているから――。五十を前にして病を得た記者の三十年の歳月。>

 

<京都での学生時代、駆け出し記者だった頃の結婚、十年後の離婚、新たな家庭と四十代にして初めて儲けた息子。東日本大震災の激務を経ながら癌を患い、現役記者を続けて六年。いよいよ最後の日々が近づいてくる――。『鶴見俊輔伝』で大佛次郎賞を受賞した作家が、ままならない人生のほのかな輝きを描く最新長篇。>

 

第I章 蜜の静かに流れる場所

II章 覚えていること

III章 暗い林を抜けて

IV章 夢みる権利

評者: いとうせいこう / 朝新聞掲載:20200509https://book.asahi.com/article/13358821

<これほど風通しのいい小説の中を通り抜けたことがあるか、読書中何度かページから目を上げて考えた。

 主人公と言えるのは有馬章という男性で、語り手は変化しながら、学生時代から中年での癌(がん)治療、結婚離婚、通信社記者としての仕事内容、そして老いていく感触などを綴っていくのだが、まさに「綴る」としか言いようのない語りだ。

 有馬の人生の場面と、彼が取材して得た世界史の事実などが、すいすいと縫い合わされる。勤め人だから転勤があり、大阪や長崎、金沢などを有馬は巡る。

 するとそこに雲仙普賢岳の噴火が描かれ、また記事の対象として旧満州での日本人支配層のふるまい、湯川秀樹が原爆をどう考えたかの推察、またサラエヴォの紛争などが点綴(てんてつ)される。

 縫い穴はざっくりと開いていて、したがって読者は自分の空想をもそこに縫い込むことが出来るような感覚になるのではないか。つまり点々と浮かんでくる連想が、知らず知らず小説の中に組み込まれてしまうのである。まさにそれがこの作品が持つ「風通しのよさ」だ。

 したがって、小説はどこかエッセーの質を持つ。一方、ゾルゲ事件とも交差する音楽家エタ・ハーリヒ=シュナイダーを描くタッチなど、歴史小説のようでもあり、一人の女性の恋と人生を甦らせる娯楽ものの様相さえあって、しかしそれらがごく自然に作者の思うままに書かれる。

 例えば人物の歴史を主人公が書いた記事でたどり、そのために調べられた事実を小説の本文でくわしく描き、さらに社内で同僚と記事を検討する様子を描写するなど、実は入れ子構造のような試みを持つ。

 けれどもそれが堅牢に作られた実験小説のようでなく、たまたま偶然そこにあった事柄をただただ書くような自由さがある。題名の「暗い林」とは、脳裏をよぎるそうした今を生きる痕跡の空間で、我々読者もそこを「抜ける」のだ。>

 

 

まん延防止等重点措置が拡大。

菅義偉さんが、まだ全国的なうねりになっていないという。

「うねり」と「波」。似ているようでちょっと違うなあ。第4波とかいうのは、縦の変動。うねりは、横波だからか。うねるとまん延しているので、緊急事態宣言になってしまうから、そういうが、科学的な根拠ではなく、トートロジーやな。

 

二階俊博さんの、「「これ以上無理だということだったら」という仮定の上で、無理だったら中止という発言。いままで、仮定の質問からアベスガ政権は逃げてきた。自分で、仮定などもってのほか。そういう自民党の暗黙ルールを軽々と越える二階幹事長。単なる口滑りなのか、壮大なる仕込みなのか、色々と推測が出たりもする。

 

自民・二階氏「五輪中止も選択肢」 コロナ再拡大に危機感か

202104151948分 https://www.jiji.com/jc/article?k=2021041500820&g=pol

「二階氏はTBSのCS番組の収録で、東京五輪・パラリンピックについて「これ以上無理だということだったら、すぱっとやめないといけない」と言明。中止の選択肢もあるかと問われ、「それは当然だ。五輪でたくさん感染病をまん延させたら、何のための五輪か分からない」と語った。」

 


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by kogure613 | 2021-04-16 22:00 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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