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行成薫 『名も無き世界のエンドロール 』

2021/5/30(日)

映画『スパイの妻』のノベライゼーションが出版されていたので、この前、読んだ。とても面白く、映画とは別に楽しめるところが多かった。5/4

 

[行成薫『スパイの妻』 映画「スパイの妻」の小説版] https://kogure.exblog.jp/240959147/

 

ということで、まずは、デビュー作だろうと思い、タイトルからして、映画と関係がありそうな文庫を購入して、日曜日、ベランダでワクワクしながら読んだ。今年1月には映画になっているということ。

幼馴染のキダ(城田)とマコト(名字は変わる)。性格や体格は対照的だが、同じような境遇。凸凹コンビ。そこに転校生のヨッチ。このヨッチという女の子がまた独特、3人が小中高ぐらいまで、ずっと一緒だ。

そこに、3人とは別世界の女性、リサが真っ赤なスポーツカーで登場する。ヒール役?「大手飲食店グループの社長と一人娘で、生意気にもファッションモデル」p35。スポーツカーがこの世界ではかなり重要な役割。でも、県道46号にある押しボタン信号。何気ないもので、しかも、無視されることがほとんどのこの押しボタンが、スポーツカーとも絡みつつ、重要なシーンになる。おっと、映画が観たくなった。

 

書評や映画化の記事も引用しておく。

 

行成薫 『名も無き世界のエンドロール 』集英社文庫 20152

20133月に単行本。(『マチルダ』改題)

<幼なじみの俺とマコト。「ドッキリスト」のマコトが、一世一代の作戦と位置づける「プロポーズ大作戦」とは……?「美学」と「企み」に彩られた衝撃作。第25回小説すばる新人賞受賞作。(解説/藤田香織)

 

(参考1

書評:三浦天紗子

http://bunko.shueisha.co.jp/subaru/book2.html

<物語は、キダの語りで始まる。キダと小学一年で同じクラスになったマコトは、幼くして常日頃から人にドッキリを仕掛ける名人だ。その格好のターゲットがキダ。悪友同士としてつるんできたふたりなのだ。

<キダとマコトが交わす、辛辣かつ滑稽なブラックジョーク風の丁々発止。ドッキリを仕掛けられた側が怒る気を喪失してしまうような、屈託のないマコトの笑顔。ガタイは大きいくせに並外れたビビリであるキダの、面白リアクション。

 そこに花を添えるのが、小学五年生のときに転校してきて彼らの仲間になった女子〈ヨッチ〉との日々だ。ヨッチに自分たちと同じ匂いを感じたふたり。その予感通り、それは三人を固く結びつけていたのだが……

 受賞時のタイトルは「マチルダ」だったという本書。マチルダは、映画『レオン』で殺し屋に助けられる少女の名前だが、転校生だったヨッチが自分をマチルダに重ねていたと打ち明けるところはひとつのヤマで、実際このエピソードがあってこそ、マコトやキダのあの情熱と虚無の理由が胸にずしんと来る。

 そもそも本のタイトルから推して知るべしではあるが、『レオン』に限らず、『理由なき反抗』や『フォレストガンプ』など、名作映画へのオマージュが随所に。

 また、こうした映画ネタ以外の仕掛けも上々だ。激辛のナポリタン、押ボタン式信号の押ボタン、轢(ひ)かれた犬、完璧主義者、クリスマス等々。

 登場人物たちの会話や描写に出てくる一言半句たりとも、どんなささいな小道具たりとも、著者はおろそかにしていない。必ずそれは掬い上げられ、後々になって読者のツボを突いてくるのだ。デビュー作にして新人離れしたその目配りに驚かされる。>

 

(参考2

山田杏奈が岩田剛典に正直な気持ちを伝える 『名も無き世界のエンドロール』本編映像 2/8() 12:13 Real Sound

https://news.yahoo.co.jp/articles/2182d4a07ad6097cabd6a955aba5e1457eba46db

<本シーンの撮影は、岡山県の県道46号に位置する、見通しの良い十字路の交差点で行われた。劇中の象徴的なシーンで繰り返し登場し、まるで登場人物たち運命の分岐点を示すようなこの交差点での撮影について佐藤監督は、「あの交差点は車があまり通らないという設定で、2人の間を切り裂くように車が1台だけ通った後に無音となり、雨の降る音が響きます。キダの心情を雨音が表す印象的なシーンになりましたね」と振り返る。台本上では雨が降っているシーンではなかったが、佐藤の咄嗟の判断で、雨の中で傘をさして撮影することになった。>


by kogure613 | 2021-05-30 22:00 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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