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宮下奈都『スコーレNo.4』

2023/6/5(月)

宮下奈都小説の2つ目。

宮下奈都『スコーレNo.4』光文社文庫、2009年、単行本は2007年。

 

 

『羊と鋼の森』の主人公は男性だったが、今度は女性。

家族、中学、高校、大学、職場、恋愛。

視点は一つだし、あと100Pぐらい書き込んでもらってもきっと退屈はしなかっただろうと思う。

これは、演劇的な省略方法なのかも知れない。想像力で補う部分が結構ある。

主人公である長女津村麻子と次女七葉との関係は濃密で、歳の離れた三女紗英の叙述が少ないのは距離の差なので分かりやすい。

それに、大学の記述が就活からというのは、いかにも淡白に過ぎるんじゃないかとは思ったが、付き合う男との相性がとても悪いし、多分、親元から離れた国立大学に対しても、主人公は英検1級ぐらいの価値がなかったのかも知れない。

 

古道具屋(マルツ商会)が家業だ。

いま再放送でやっている『心』(1980,橋田壽賀子脚本)のとんかつ屋や小料理屋のような家業を誰が継ぐのか問題はそこにはない。ただ、祖母は掃除などを徹底する人で、でも、朝、どんなお茶を飲むかが決まっている日はいい日になるというような大事なことも話してくれる。

 

平凡だが幸せに近い家族だが、そんな家族にも隠された過去はあって、それは幻の蔵の映像として麻子に残っている。

麻子は、父親が古道具について語るのが好きだ。そして、ディスプレイの巧みさも体で知っている。母親の里子、かつては叔母よりも才能があったらしいが、早く結婚してそれを発揮はしていない。

 

輸入商社に就職したのに、すぐに、輸入高級靴屋に出向させられる麻子。

2年間で見違えるように、靴に興味を持ち、いい仕事をする。そこで役立ったのは、古道具屋での経験だった、それも意識しないでいたことの。

イタリア出張が、吊り橋効果(by紗英)になったのかも知れないが、同じ感覚を持つ相手が見つかったのは、その前の名画館での体験(デートにはならない従兄弟との交流)や、物に対する目利きの共有だった。

 

映画になっていないのかな。テレビドラマでもNHKBSとかだとやりやすいように思える。その時、ちょっと、タイトルは変えた方がいいかも。

 

<自由奔放な妹・七葉に比べて自分は平凡だと思っている女の子・津川麻子。そんな彼女も、中学、高校、大学、就職を通して4つのスコーレ(学校)と出会い、少女から女性へ変わっていく。そして、彼女が遅まきながらやっと気づいた自分のいちばん大切なものとは……。ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を淡く切なく美しく描きあげた傑作。>

https://reviewne.jp/contents/77609
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スコーレNo.4は宮下奈都の小説で、物語は4つの章からなる。スコーレとは学校を意味し、一人の不器用な女性が中学、高校、大学、そして就職するまでに4つのスコーレを体験して成長する姿を描く。 中学生の麻子は骨董屋の三姉妹の長女で、昔ながらの住居で家族と暮らしている。麻子は自分があまり器用な人間ではないと感じながら生きているのだが、一つ下の妹は可愛く聡明だったので、そんな妹と自分を比較して余計に惨めな気がしてくるのだった。高校を卒業し、親元を離れて大学に進学する麻子だが、相変わらず何かに引け目を感じながら生きていた。大学時代には恋人もできたが、就職してからはその関係もうまくいかない。ところが、就職した企業の研修先の靴屋で、麻子は自分の思わぬ能力に気づく。骨董屋で育ったせいか、靴の値段を正確に当てることができるのだ。その後も苦しみ悩む日々は続くのだが、少しずつ麻子は仕事にやりがいを見出し、自分の居場所を見つけていく。>

 

 

少し焼酎摂取量を落とす。

朝の目覚め、その前に観る夢が鮮明になる感じ。

 

月例会、グランドゴルフ。一つ入ったが、そんなによくない。

当番の月なので、新しく入った人に準備の仕方や片付け方を伝授。

いままで、二人でしていたので、一人入ると助かる。


by kogure613 | 2023-06-05 22:30 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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