【衆院定数削減 憲政の常道に反する暴論だ】読売新聞社説 【スパイ防止法 治安維持法に通じる危うさ】京都新聞社説の紹介
2025年 12月 08日
2025/12/8(月)
マスコミについて
「オールドメディア」と呼ばれているが、
雑誌と新聞、そしてテレビの政治への向き合い方は随分違う。
はっきり言って、テレビはスポンサーからお金をもらっている。
NHKも政府による縛り・監視があるので、ニュートラルになりにくい。
選択的別姓問題は、大企業も推進派なので、テレビでもそちらに方向を出してもいいけれど、いまの髙市内閣の潜在的な強健性におびえていることもあって、政府への批評がなかなか出来ない。
せいぜい「おこめ券」ぐらいだ。
もちろん、新聞も内閣支持率が異様に高いので、世論を気にしているだろうことは容易に推測できる。
ただ、社説を眺めると、政府与党への広告記事ばかりではなく、それなりに、批判的な態度を取り、社なりの意見を言っている。
たとえば、読売新聞は自民党べったりだったように思うが、それなりに、批判的な論調も出している。
【衆院定数削減 憲政の常道に反する暴論だ】
2025/12/06 読売社説
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20251205-GYT1T00390/
<一方的に期限を設定して、その間に与野党で改革案をまとめられなければ、問答無用で衆院の定数を削減するという。
こんな乱暴な法案を、政権を担っている与党が提出するとは。見識を疑いたくなる。
自民党と日本維新の会が、衆院の議員定数削減の段取りを定めたプログラム法案を提出した。
それによると、現行定数465の「1割を目標」として、最低でも45議席を削減する。与野党各党が参加する協議会で選挙制度の見直しを含めて議論し、1年以内に結論を出せない場合には、自動的に定数を削減するという。
具体的な削減数として、現行の小選挙区比例代表並立制を前提に、小選挙区は「25議席」、比例選は「20議席」とも明記した。
選挙制度のあり方は民主主義の土俵である。定数も含め、与野党の幅広い合意を得て決めるべきものだ。そうした手続きを軽んじれば、立法府の権威を 貶 おとしめることになりかねない。
自動的に定数を削減する条項は、「身を切る改革」を掲げる維新の要求で盛り込まれた。与党入りしたからといって、自分たちの思い通りに物事を進められると思ったら、大きな誤りだ。
法案について、自民内からは「乱暴すぎる」といった反対意見が出ていた。それでも法案提出に踏み切ったのは、維新の連立離脱を避ける狙いからだろう。
法案の内容に問題があることを分かっていながら、連立維持を優先するとは自民もふがいない。
多党化時代を迎え、比較第1党の自民が、小政党の要求をのまなければならない場面は今後も出てくるはずだ。
だが、多数の民意を反映しているとは言えない小政党が極端な主張を唱え、大政党を振り回し、民主主義の根幹にかかわるような重要課題の行方を左右するのは、憲政の常道に反する。
自民と維新の危うい関係を見ていると、長年続いた自民、公明両党の連立の協力関係が政局や国会の運営にいかに注意を払っていたのかが、改めて分かる。
そもそも衆院の定数は、人口が7000万人余だった終戦直後の466と同水準だ。人口比で見ると、他の主要国より少ない。定数を削減して国民の代表を減らすことがなぜ、改革と言えるのか。
また国会では、現状でも多くの議員が複数の委員会を掛け持ちしている。これ以上の定数削減は、法律の制定や行政の監視といった機能に支障をきたしかねない。>
昨日の京都新聞の社説も、注目すべきものだ。
京都新聞社説:【スパイ防止法 治安維持法に通じる危うさ】
2025年12月7日 16:00
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1613644
< 破滅的な戦争に国民を駆り立てたのは、異論を徹底的に封じた軍国主義である。100年前、1925年に制定された治安維持法は、自由な言論を「非国民」と圧殺した。
その道につながりかねない「スパイ防止法」制定の動きが再燃している。折しも太平洋戦争の開戦からあすで84年。国家が統制と監視を強める危うさから目を背けてはなるまい。
外国勢力などから国の重要情報を守るとするスパイ防止法は、自民党の保守強硬派が「悲願」とし、高市早苗首相は日本維新の会との連立政権合意書で年内の検討開始を盛り込んだ。先日の党首討論では「速やかに法案を策定することを考えている」と答弁している。
野党の国民民主、参政両党もそれぞれ単独で今国会に法案を提出している。
いずれも東アジアの安全保障環境の厳しさを強調し、保守層への政治的アピールにつなげたい思惑が透ける。
なぜ新法が必要なのか。現行法で対処できない領域や事例について不明なままだ。そのこと自体に重大な懸念を抱く。
今年8月、政府は「各国の諜報(ちょうほう)活動がしやすいスパイ天国とは考えていない」との答弁書を閣議決定した。自民総裁選でも「新たな立法は必要ない」とした候補がいた。政権や自民内でさえ慎重論があるのは当然だ。
すでに重要情報に関する法制度はある。2013年には防衛、外交、スパイ防止、テロ防止の4分野の機密保全を対象とし、漏えいに重罰を課す「特定秘密保護法」が成立した。その後、経済安全保障の重要情報へのアクセス権を制限する法制度なども導入されている。
これまでの自民の議論によると、新法は外国勢のスパイ行為を規定した上で監視し、時に逮捕できるようにする包括的な内容を構想している。
外国政府・企業の代理人として日本国内で情報収集する人の登録制度の導入を目指す。内閣情報調査室を格上げして司令塔となる「国家情報局」とし、対外情報庁も創設するという。
自民は1985年にもスパイ防止を掲げ、機密の探知・収集を処罰する「国家秘密法」案を提出した。機密の範囲があいまいで政府次第なのは特定秘密法、スパイ防止法案と同じだ。思想・信条の自由といった人権侵害への恐れから、世論の猛反発でこちらは廃案となった。
戦前の治安維持法は反戦、労働運動、京都大などの学識者、さらには全国民にまで対象を広げていった。新法を公約とする参政党の代表は参院選で「極端な思想の人たちを洗い出すのがスパイ防止法」と述べた。
通底するのは国の一存で個人を監視し、異議を切り捨てる考え方だろう。その先に、民主主義の崩壊と戦争への道を再び開かぬよう、注意を向けたい。>

