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少しずつ体調も気持ちも戻る朝なり でも昨日完成して送ったはずの原稿が前のまま

あさ、ゆっくりと甜茶をすする。
昨日作ったレジュメを近大用に題名だけ変えてはい印刷。
それから、手持ちの原稿を開けて、っと。
おお。なにやらこれは昨日作業をするまえのものではないか!
むむ。保存しなかったのでは????
ありゃ。まあ、今日は大丈夫だけど、昨日の午前中の2時間の作業は何だったか!
打ち出したものは研究室にあるので、それを見ながらもう一度入力だなあ。疲れる。
でも、これもまたよし。今日はCAP HOUSEから2005年度活動報告及び2006年度活動計画が届いているし、寄付税制のことをもっと詳しく知りたいという話もあったので、これを使おう。
前半のイベント論だって、けっこう、深みに入ると長くなるし。

近大は12名。ゆっくりとね。イベント論は去年後期で2回分ぐらい使ったから、これを0.7回ぐらいにするのは結構しんどかった。イベントのように日常的に使っている言葉を分析することはなかなかに白いと感じてもらえたなとは思う。

アートシアターdB。3日間満員のダンス。新潟市芸術文化会館りゅーとぴあのレジデンスダンスカンパニーの公演。Noism06。金森穣という振付家。音はじめ五月蝿いだけ。全体的に退行しているのだろうか、あるいは、こちらが過大視していただけだろうか。
やっぱり日本でダンスを見る必要はいまのところほとんどないようである。

帰り、コンビニで飲料水を買う。私は、その商品を出しながら、袋はいらないから・・といつも言う。ところが今日もそうだったが、袋はご入用ですか?と聞かれるのだ。今日はかなり大きな声で言ったし、その女の子も聞いていたから、これはマニュアルでとっさに出た言葉だったのは確実。そこで、はじめに言わないで、あなたのその言葉を待ってあげたらよかったねえ。というと、ずっとマニュアルの顔をしていたその子が、素顔に変わった。この変化は実に劇的でしかも何気ない発見だった。こうして、どこにでもステージは作れるので、あんまりわたしはこけおどしのような大げさな装置がいらなくなったのだから、いままで観劇させてもらったものに感謝しなけりゃなあと思うのである。



 イベント論のレジュメ

(1)イベント化社会
参考書:茶谷幸治『イベント化社会~実践的イベント論序説』関西学院大学出版会2003
政治は劇場化し、経済もトークショー、企業活動もイベントの連続。「文化や芸術や宗教にいたっては、イベントでなければ表現できないかのようにみえます。・・私生活でもイベント的なパフォーマンスが日常的です。このような状況ですから、集客や人気取りがこの国の社会的価値の基準になっているように感じます。」

(2)イベントの要件
①意図的人為性(仕掛け性)    仕掛け(自然現象でも、それを面白がらせる仕掛けがあれば、イベントになる)
②時間と空間の共有(ライブ性)  疑似のものも多い ライブ参加性
③操作性・支配性(演出性)  「操作する対象は参加する者の心理である。操作を効果的にするために、操作者はさまざまな技術を駆使する。それが演出である」p19
④メッセージ性         強力な訴求力
⑤興奮性            「イベントは仕掛ける側にとってメッセージを伝えるためのものであるが、仕掛けられる方は興奮の体感を目的としている」p19

(3)イベントの特徴  (いまのいわゆるイベント)   
①仕掛け         仕掛けられたものである
②集客          集客がいつも要求される 大きいことはいいことだ
③別の目的        操作者の目的と被操作者の目的は別~何かの手段になっている
④匿名          群集心理 盲目化

(4)昔のイベント=祭りは、神様との交通が目的で、世俗的なものではない~何かの手段ではない
①手作り         共同による手作り(参加) 観客のみという立場はない
②節度を持つ       季節などで決まっているので一定の頻度・範囲 集客とは無縁
③宗教行事        操作する者・操作される者という関係はない
④陶酔          神と同一化 先祖と交わる(盆踊り) 

(5)イベントの目的~仕掛ける側の狙い
①産業・メディア系~宣伝(→利益)、集客(→消費)、イメージアップ・ニュースづくり(→視聴率)~
イ.お披露目 新商品(モーターショー)新サービス(体験)新規開店祝い 新しい企業CI・ブランド
ロ.商店街の大売り出し、ショッピングセンターの集客
ハ.テーマパークのアトラクション
ニ.メディアの視聴率(ニュース・放送ネタ)づくり スポーツショー・・・・
ホ.二つのタイプ
《タイプA》イベント自体がお金を生み出す
《タイプB》イベントで集客した結果、モノが売れる   (例示)市場芸術としてのJ-POP
②政治・行政系~人気(→集票)、啓発(→愛国などのイデオロギー)、反対(→威力・圧力)
イ.演説会、政党パーティ、選挙運動
ロ.抗議活動(デモンストレーション)
ハ.市制周年行事
ニ.各種啓発行事:女性映画祭、同和啓発演劇祭、道路の記念日、水を大切に、環境月間、国連障害者年、敬老の日
ホ.(①の産業振興も含まれるものだが)博覧会(イベントの王様:女王さまはスポーツイベントかな)

③宗教・冠婚葬祭系
イ.布教活動(クリスマス、お彼岸、お盆 → ゴスペル、説教語り、平家琵琶) 
ロ.勧進(寄付促進)行事→猿楽、相撲
ハ.民俗宗教→冠婚葬祭:メモリアル(記憶化)、通過儀礼、人生の区切り

(6)イベントに活用されるもの(イベントの手段~興奮させやすい 集客しやすい 競争で勝ち負けがはっきりする)
①スポーツ    ワールドサッカー・オリンピックから草野球・ママさんバレーまで
②見世物     物産展 フェア ゲーム 見世物小屋 お化け屋敷
③動物      ペットショー ギャンブル(闘鶏、競馬、・・)
④植物      盆栽展、菊人形
⑤芸能タレント  話題、流行の有名人 大道芸 サーカス 手品 
⑥音楽・演芸   コンテスト系  チンドン屋などで、イベントになじむ実演芸術 スペクタクルなもの
⑦美術・映像   美術展、工芸展、映像映画、つくりもの(飾り物)、山車

(7)イベントマネジメントとアーツ
①イベントをプロデュースするのは、集客・知名度アップ、マスコミの話題づくりなどの目的のため
②その手段として、どんなものをイベントの内容(メッセージ)にすれば、イベントの目的が達成できるかを考える:それがイベントマネジメントである
③アーツは、だいたいが、スポーツとか食の祭典などよりも大衆動員力に欠けるイベント素材
④アーツのうち、アイドル歌手、映画テレビドラマで有名な俳優、有名音楽家などぐらい

(8)まちづくりとイベント
まちづくりのイベントは、まちづくりの手段である。まちづくりは、以下のためにイベントを活用している
①集客 訪問者増加          一過性、一時的にならないか
②知名度アップ イメージづくり    有名人依存には注意
③住人の誇り やる気の喚起      市民の参画と継続が課題
④コミュニティ意識の芽生え         〃

(9)イベントには利用されえないアーツ
①アーツには、イベントとしては不向きな内容、態様のものが、実は大半である
②たとえば、小劇場演劇(「静かな演劇」)、即興によるために、事前に内容を告知できない実験的なもの
③また、社会を鋭く批評したり、いまの体制の嘘を告発するものも含まれる
④イベントプロデューサーの眼でアーツを見ると、アーツの価値を見損なう
⑤イベントとしてアーツをとらえると、アーティストは堕落することが多い

(10)まとめ
①イベントマネジメントとアーツマネジメントは、それぞれ独立したものである。
②いまのイベントは、本当の目的の手段となっているものが多く、注意が必要(盲目的な動員の恐れ)。
③ただし、選択肢を養い、自分の生活の中で自分らしいイベントを見つけだしたり、創り出すことは大切。
④その選び取り創り出したイベントを「真性イベント」と名づければ、それにアーツマネジメントは役立つし、
⑤その真性イベントのためにアーツマネジメントがありうるということさえできる
(だれでもアーツを促進するさきっぽアーツの役割推進を通じて)。
Commented by tsubasa at 2006-05-24 16:58 x
僕も始めに袋はいらないと言うのですが、その他に暖めてください、とか、領収証をください、とか言うと、彼らは袋のことは忘れてしまって、袋に入れようとします。
全く同じように、最初にわかりました、と答えているのに、その5秒後には袋を取り出し。劇的なる瞬間が必要なのかもしれませんね。
by kogure613 | 2006-05-23 09:16 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(1)

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