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エリック・ロメール監督 『満月の夜』

12/19(火)
晃洋書房さんから電話。『アーツマネジメントみち』の教科書指定について。じつは、次年度は参考書扱いにしようと思っている。ほんとうは、もっとテキスト的な本を作る必要があるし、まあ、この本もいままで役立ってきたはずなのだが、いかんせん、いまの動きが早すぎるのだ。

ポレポレ東中野」という映画館のことを、ぜひ単館映画館(ミニシアター)を調べるゼミ生は詳しく調べてみることが大切だと思う。じつは、わたしは行ったことがないのだけれど、そこで上映されている映画たちのラインアップがすごすぎるのだ。これは、「朱霊たち」の予告編

同志社大学の大学院、今年は集中講義だったのだが、来年度は大阪成蹊大学芸術学部「美術文化政策」が隔年になりお休みなので、各週普通に講義することにした。火曜日の夜6限目になる予定。でも、再来年は大変かも知れないが、長岡天神から今出川までだから、十分余裕だ。

その美術文化政策研究第11回目。今年分は無事終了。地方自治法第1条の2。1999年の改正(これは確かに改「正」)。これが最後の講義のお話だった。
第1条の2 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。
2 国は、前項の規定の趣旨を達成するため、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担するとともに、地方公共団体に関する制度の策定及び施策の実施に当たつて、地方公共団体の自主性及び自立性が十分に発揮されるようにしなければならない
帰って、エリック・ロメール監督『満月の夜』1984年。102分。『緑の光線』の一つ前の作品。こちらの方が落ち着いて観られる(でも、主演のパスカル・オジエの運命をあとで読んでびっくり)。
オクターヴを演じるファブリス・ルキーニの犬のような小さく丸い目玉がきょろきょろ女たちを見ているあたりとか、細部におかしさが溢れている。もちろん、色彩は完璧。きちんとした構図、「キャメラ!」っていう感じの映像の切り取り。とくに、奥に少し垣間見られる空間の絶妙な構成。床の間づくりのような繊細さである。

映画・映像を探求している人たちのみならず、絵画や工芸、デザイン、インテリアなどを勉強している学生には最適な映像が満載である。もちろん、小物、雑貨ずきとか、うーん、何せランダムにまた場面を見たくなる。もちろん、会話もそうだが、やっぱりフランス語で分かればこの映画は数倍面白くなるのだろうし、だから脚本家にとっても学ぶべき部分がいっぱいある。

郊外都市はじつに殺風景である、テニスのような健康的スポーツしか出来ず、早起きできない人は働きにいけない時刻にがんじがらめの場所である、終電がいつも気になってパリで踊り明けせない田舎者である・・・たしかにそういう風にこの映画も撮っているようでもあるが、その室内とか青い色彩の縁取りとか、ニホンの金太郎飴の郊外スプロールではないところが、実にフランス!ということなのか、それともロメールならでは!ということなのか。
Commented by 佐久間新 at 2006-12-20 02:26 x
学生時代に何度となく、なぜか気に入って、「緑の光線」を見に行きました。「満月の夜」は、まだ見たことがないので、是非一度見てみたいです。
Commented by kogure613 at 2006-12-20 06:43
佐久間さん。コメントありがとうございます。「緑の光線」の方が映画芸術的にはずっと影響力があるとは思いますが、「満月の夜」の方もまた別の面白さ、小津映画を観るときのようなゆったりとした間があるので、この構図がいいねえ、とかいろいろ思えました。「緑の光線」はそんなことをあれこれ思う余裕なくけっこうシリアスに観たので、正月に家族でもっとゆったりと見直そうと思っています。こぐれ
by kogure613 | 2006-12-19 10:20 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(2)

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