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エリック・ロメール『冬物語』:めずらしく、子どもが重要な役目を担っている

2007/6/22(金)
雨が強い。京都橘高校へ。昨日はどうもうまくいかない日(そうはいっても、奥野さんのお話など収穫は多かったのだが)だったが、今日は、すっきり、なんとか乗り切った感じ。波がやっぱり隔日に来る。ただ、ブリッジ(フェスゲ8階もあと1ヶ月ちょいだ・・・)のライブ、ポジティブシンキング、19時と手帳に前から書いていて、どうしてそこに行こうと思ったかわからないまま、映画を2本見て早く寝たのだが、セレノグラフィカさんのブログを見ると、すごいラストだったとあって、なんだろうかと、neco眠るという謎のユニット名?とともに気になってしまう。

高校3年生の「文化政策」1学期も終わり近く。やっぱり、高校生も大学生も同じだが、自分たちで作業をしてもらうと生き生きする。高校生が大学生と違うのは、思い切りかな。模造紙に来週の発表内容を描かせ続けたのだが、一つのグループが大胆になっていくと、それに続いていい反応が連続する。

たまたまだったが、今日はじめて去年の発表模造紙を見せたのもいいタイミングだったかも知れない。先週は自分たちで内容を考えさせていたので、あとは表現の型をまねるのはまあ、いいかと思ったのだし、やはり、自分たちでも出来ると思わせるからだ。それにしても、先輩たちは何のモデルもなくよく作ったものだ。図書館の司書さん(いつもお世話になっている)にそう話すと、やっぱり、10名ほどクラスが多くなると、もうそのクラス運営は格段にむずかしくなるものですよ、とのこと。確かにサイズというのは大切で、これもワークショップ形式に近いのだから、42名だったら、もう一人ファシリテーターが必要なのだろうと思う。

見た映画は、エリック・ロメール『冬物語』(1991年、114分)と、クレール・ドゥニ『ガーゴイル』(2001年、100分)。この冬物語は、ロメールがシェークスピアの冬物語を見て、それで四季の物語を思いついたというもので、『緑の光線』のような展開(これって、これだけでネタバレになるかも知れない、『緑の光線』を見た人にとっては)。女主人公に3人の男。最初に出る男はロメール監督の映画にはないタイプ。ヒロインもやっぱりそうで、つまり、本棚に本が並ばない人たちが中心というのは、ほとんどないからかも知れない。
ヒロインがつれている小さな娘が重要な役割を持っていて、これはロメール映画では珍しいなと思う。同じく、劇中劇もね。

『ガーゴイル』は、小津安二郎を語る外国人たち(『小津と語る』)のなかに、クレール・ドゥニ監督がいて、そうそう、『パリ、18区、夜』という映画を見損なってしまったと思っていたことを想いだしたのだが、買えたのがこれだけだったというもの。まあ、そういう次第なので、感想もまあまあという感じで、ただ、ヴィンセント・ギャロも小津好きだということが分かったりはした。ベアトリス・ダルとの競演。すごい〔自分はあんまりそうは思わないが〕人たちを合わせるので、なんとか映画作ってね、という感じで作ったような感じがするばかりで、突き抜けない。映像はきれいだが、無駄な技巧があり、肝心な部分が抜けている。

この前、学生さんの持ち込み授業で、大人計画がアイドルなどを使った長く退屈なミュージカルを見た(途中で研究室に戻った)ときも思ったことだが、商業化すると、こうも残酷に薄くなる(見てくれはごてごてと派手で広告材料もいっぱいあるのに)ものだと思ったけれど、おなじことを、この映画を見ても(そこまでひどくはないが)思った。これは、ナマの小劇場演劇のなかでも、ドラマチックな仕立てがあったり、フラシュバックいっぱいで、異化作用ぽいこともしたり、映像を使ったり現代に飛んだりしたりと、ケレンが多いものに同じような感想を持つのと同じことかも。
by kogure613 | 2007-06-22 23:27 | こぐれ日録 | Trackback | Comments(0)

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